1月19日から開幕するラリーモンテカルロで18年ぶりのWRC復帰の日を迎えるトヨタは、TOYOTA GAZOO Racingチーム総代表である豊田章男社長のメッセージを発表した。
総ステージ走行距離約380kmのラリーモンテカルロは、最もトリッキーなラリーの1つと言える。天候と路面コンディションが変わりやすいため、タイヤ選択やクルマのセットアップが難しく、アイスノートクルーの情報が勝負を左右する。
トヨタは、ヤリ-マティ・ラトバラとユホ・ハンニネンにヤリスWRCのステアリングを託し、いよいよ復帰の日を迎える。
チーム総代表豊田章男からのメッセージ(全文)
トヨタがWRCの道に戻る日を迎えます。
WRCに戻りたい…戻ろう…と、私が決めるに至ったのは、
“熱いファンの皆様から寄せられた声”、
そして“偉大なる先人達への感謝の想い”であることは、
昨年末の発表会に際したコメントで皆様に伝えさせていただきました。
発表会の直前、我々のヤリスWRCのハンドルを握る、
もう一人のドライバーがヤリ‐マティ・ラトバラ選手に決まりました。
彼とは、2014年のラリーフィンランドの時に、偶然、出会い、言葉を交わしたことがあります。
当時は、フォルクスワーゲンのドライバーです。
その時、彼はスマートフォンを取り出し、自身が初めて乗ったラリーカーであるカローラGTや、
初めて実戦経験したWRカーであるカローラWRCの写真を見せ、トヨタへの熱い想いを私に語ってくれました。
おそらく、トヨタの社長である私にではなく、
同じクルマ好き、大のトヨタ好きである私に語ってくれたのではないかと思います。
トヨタが、WRCに再び参戦できるようになるとは思っていませんでしたし、ましてや、
彼が、私どものクルマに乗り、一緒に戦う仲間になるとは夢にも思っていませんでした。
彼との契約が決まったと聞いた時、
当時の彼の表情が浮かび、不思議な縁があったに違いないと感じました。
テスト先から駆け付けた過日の体制発表会の場で、彼は我々の言葉を引用し
「Let’s make “ever-better rallycar”!(もっといいラリーカーを作ろうよ!)」と語ってくれました。
実際、その後のテスト走行でも、彼は、ヤリスをもっと強くするためのアドバイスを挙げ、
日々、クルマを鍛えあげていってくれていると聞いています。
また彼は、「トヨタに久しぶりに帰ってきた」とも言ってくれました。
私からも、彼を迎える言葉は「トヨタにお帰りなさい」です。
WRC初戦「ラリーモンテカルロ」へ向けた私の気持ちは、彼を迎えたことで、
一層、心強くなり、そして待ち遠しくなりました。
開発当初からヤリスWRCを鍛え続けてきた、ヤリスを一番よく知るドライバー、ユホ・ハンニネン。
トヨタに乗ってキャリアをスタートさせ、数多くのWRC勝利経験を持つドライバー、ヤリ‐マティ・ラトバラ。
彼らの相棒である、カイ・リンドストロームとミーカ・アンティラ。
この4人のドライバー、コドライバーが、
トミ・マキネンをはじめとするチームの皆が作ったヤリスWRCで走り出します。
もっといいクルマづくりに携わるトヨタ自動車の皆、
我々の想いに賛同いただき一緒に戦ってくださるパートナーの皆様、
そして、応援くださるファンの皆様…
多くの仲間と、もっといいクルマづくりに向けた“トヨタの新たな旅”が、ついに始まります。
我々は“負け嫌い”です。
ですから、もちろん負けたくはありません。
ですが、そう簡単に勝てる世界でもありません。
多くの皆様に、応援いただければ、
それが力となって、チームに…、クルマに…、ドライバーに…
必ずや届くと思います。
皆様、トヨタのWRCへの挑戦に応援、よろしくお願いいたします。
トヨタ自動車株式会社 取締役社長
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team総代表
豊田章男