WRCフィンランドのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。トヨタはチームの拠点、そして全ドライバーの母国ラウンドであるフィンランドで、若手のエサペッカ・ラッピとベテランのユホ・ハンニネンが、それぞれ初優勝、初ポディウムを飾った。チーム代表のトミ・マキネンは、チームの自信が高まっていることを大いにアピールしている。
●WRCポストイベントカンファレンス出席者
1位:エサペッカ・ラッピ=EL(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位:ヤンネ・フェルム=JF(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:エルフィン・エバンス=EE(MスポーツWRT)
2位:ダニエル・バリット=DB(MスポーツWRT)
3位:ユホ・ハンニネン=JH(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
3位:カイ・リンドストローム=KL(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
トミ・マキネン=TM(チーム代表、トヨタ・ガズーレーシングWRT)
Q:エサペッカ、なんとWRカーでの参戦4戦目で母国での優勝を獲得した。どんなドライバーでも勝ちたいと思うイベントだ。今の気分をどう表すか。
EL:今の気持ちを言い表すのは難しいね。かなりアメージングな週末だった。今の気持ちは、ホッとしたし、週末が終わった後の気力が抜けていく感じだ。特に優勝したことで、プレッシャーからは解放されたが、本当に特別な気持ちだ。こんなに早く実現するとは予想もしていなかった。ポディウムに上がれれば最高だと思っていたよ。
Q:ヤリ‐マティ・ラトバラとは、昨日の午後、彼がトラブルに遭うまで素晴らしいバトルを展開していた。昨日、彼のタイムには追い付けないと分かった時は、どんな気分だったか。いつも冷静だが、フラストレーションがたまったか。
EL:金曜日を終えて自分たちが首位に立っていると考えた時、優勝争いも現実的に可能だと思った。自分は勝ちたいと思っていたから、ターゲットを変更するのはフラストレーションがたまった。ヤリ‐マティは、自分が相手にするには走りが良すぎたし、追い付こうと無理をしてチャンスをフイにするようなことはしたくなかった。
Q:マシンを無事にフィニッシュさせなくてはならない時の気分はどのような感じか。ラスト2本目のステージでは、ちょっとドラマがあった。
EL:エアロもアクティブデフもあまり効果が出ない状況で、R5と同じように安全にドライブするのは楽じゃなかった。それで、あるコーナーで進入が少し早すぎた。その後巻き込んでいったので、リヤタイヤがラインを外れ、石にヒットしリムを破損した。何が壊れたのかよく分からなかったので、あの時は自分に腹が立った。クリス・ミークと同じあらすじをたどっている。彼も昨年、優勝の目前にドラマがあった。
Q:パワーステージを走る時の気持ちは? 緊張していたか。
EL:最終ステージの前は、とても緊張していた。こんな気持ちにはこれまでなったことがなかった。なぜなのか、自分でも分からなかったが、ステージの前の気分はよくなかった。スタートしたら、すぐに建て直すことができた。
Q:フィニッシュでは、トミ・マキネンが待っていて、大観衆が取り囲んでいた。特別な瞬間だっただろう。
EL:フィニッシュラインを越えたことで、本当に気持ちが楽になった。この週末に集まったスペクテイターの数は、信じられないよ! ポディウムの周りは、人でいっぱいだった。観戦に来てドライバーたちを応援してくれたみんなに、感謝したい。
Q:次はターマック戦が待っている。この路面でどのようなペースが出せると思っているか。
EL:さあね! ターマックでは2日間テストを行ったけど、まだ分からない。もしフィニッシュできればとてもうれしい。本当にトリッキーなラリーだからね。特に雨が降れば、ひどく難しくなる。グラベルクルーと仕事をするのは、本当に久しぶりなので、ほとんど初めてのようなものだ。
Q:エサペッカは、最終ステージの前に緊張したと行っている。彼にしては珍しいことだ。コ・ドライバーシートに乗っている立場としては、緊張していたか。
JF:もちろん。でも、少し意味が違う。ラリーでは、エサペッカも言ったように、ヤリ‐マティのことがあったので、アプローチが少し変わった。その前まではバトルをしていて、すべて“手に入れること”を考えていたが、あの後考えなくてはならなかったのはすべて“失うこと”。WRCのラリーで首位に立っているというのも、状況としては話が変わる。何て言えばいいのか、信じられない週末だったよ!
Q:エルフィン、今日はビッグバトルだった。ポディウムに上がるためにはリスクを負わなくてはならないと分かっていたか。
EE:攻めて行くべき要素はあったと思うが、少し難しい状況だった。Mスポーツにとっては、今年、マニュファクチャラーズタイトルを獲得することがとても重要だし、できる限りポイントを獲得してもらいたかったと思う。だから全力を尽くしたが、アルゼンチンのようなバカなことはしなかった。今日はもっと賢明に、いい走りをして、それが最終的にいい結果につながった。残念ながらテーム(スニネン)はミスをしてしまったが、ユホとは最後まで大バトルだった。
Q:ダン、フィンランドでの初めてのポディウムだ。今の気分は。
DB:とても特別だ。どのドライバーもコ・ドライバーも、何より勝ちたいと思っているイベントだと思う。だから、金曜日の時点では2位、3位争いをすることになるとは思っていなかったから、正直アメージングな気分だよ。1週間前は思いもしなかった。とてもうれしい。
Q:ユホ、初めてのWRCポディウムを母国ラリーで果たした。君にもチームにも、特別なのでは。
JH:もちろん、最後のステージのフィニッシュは、僅差ではあったが、それでも2位に入れなかったのは残念だった。昨日のことがあって、タイトバトルになることは分かっていた。自分も、今日最初のステージでミスをしてしまった。でも、全体としてはチームのためにも、とてもうれしい。みんな頑張ってきたので、いいリザルトだ。
Q:カイ、久しぶりのWRCポディウムだ。このリザルトの気分は。
KL:ポディウムに戻ってこれて、うれしいよ。最後に上がったのは、彼(トミ・マキネン)と一緒の時だったから、2003年じゃないかな!
Q:素晴らしい週末だったが、エサペッカは最終2本目でトラブルを抱えた。トミ、心配していたか。
TM:昨日はあまりいい1日にならなかった。最初のステージには観に行ったが、エサペッカが本当に大きなジャンプをして、その後6速でコースオフ寸前だった。その次のステージでは、ユホが6速全開でジャンプした。その後、このラリーを見るのは心臓に悪いと思ったよ! 今日はエサペッカは集中できると思っていたので、彼ならやれると絶対の自信を持っていたよ。
Q:スウェーデンで初勝利を飾った時には、今シーズン中にもっと優勝できるかと尋ねたが、それは可能か。
TM:モンテカルロの後のスウェーデンも、特別なイベントだった。何が起きても不思議ではないラリーだと確信していた。ヤリ‐マティはとても強かった。我々は、まだ優勝できる状態にはないと思っていたし、チームとしてもまだ強くはなっていないと思っていたが、メキシコ以降、ラフなコンディションで苦戦していることに気づいてからは、開発を続けなくてはならないと分かった。一歩一歩開発とテストを続けた。ポーランドでは、いいレベルにいると自覚した。ポーランドの後、フィンランドでかなり大規模なテストを行って、成長できた手応えをみんなが感じた。今は、これからのことに向けて自信がついたと言える。今年の間に、本当にたくさんのことをやり遂げてきた。強くなり、成長を続けていくことがターゲットだった。チームメンバー全員に感謝している。ドイツでは、チームのみんながこれまで以上に自信を持って臨んでいく。