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ジャパン:大荒れの2日目はエルフィン・エバンスが首位。序盤不運の勝田貴元は3連続ベストで挽回

©Jun Uruno

2023年シーズンWRC第13戦ラリージャパン(ターマック)は、11月17日(金)に競技2日目の7SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位を走行。1分49秒9差の2番手にセバスチャン・オジエ、2分6秒6差の3番手にカッレ・ロバンペラと、トヨタがトップ3を独占した。4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブした勝田貴元は序盤にアクシデントに見舞われながらも、終盤3連続ベストを刻み、5分7秒9差の総合9番手まで挽回している。

16日(木)の夜、豊田スタジアムでセレモニアルスタートとスーパーSSを実施。明けて金曜日から、本格的なラリーが幕を開けた。この日は愛知県の豊田市と設楽町を舞台とする「Isegami’s Tunnel(23.67km)」、「Inabu Dam(19.38km)」、「Shitara Town(22.53km)」という昨年も走行した3本のステージを、中間サービスを挟んでリピートし、1日の最後に「TOYOTA Stadium SSS(2.10km)」で締めくくる7SS、133.26km。早朝から日没後まで走り続ける、ラリー最長の1日だ。

この日は予報どおり前日夜半から雨が降り、コンディションはフルウエット。苔が残り、枯葉が踏み固められた路面は、水が乗ったことでさらに滑りやすくなっている。レッキを終えた勝田貴元は「金曜日は少しのミスが命取りになる」と警戒心を隠さない。多くのクルーがウエットタイヤ6本を積む中、トヨタのセバスチャン・オジエと勝田貴元、オィット・タナック(Mスポーツ・フォード)、ダニ・ソルド(ヒョンデ)の4人が、ウエット5本でサービスを後にした。

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今回最長の23.60kmを走行するSS2。多くのアクシデントが起こった伊勢神トンネルは、路面が舗装され、ダストなどのリスクが抑えられている。先頭スタートのロバンペラは、路面に残る松葉に苦しめられて大きくタイムロス。序盤のスプリットで一時30秒近くリードしていた勝田が、スタートから11.8km地点で痛恨のスピンを喫し、右フロントとラジエターにダメージを負ってしまう。EVモードでの走行となり、スローダウンを余儀なくされた勝田は2分30秒以上をロス。早々に優勝争いから脱落してしまった。

この勝田と同じポイントでは、ダニ・ソルド(ヒョンデ)とアドリアン・フルモー(Mスポーツ・フォード)がクラッシュ。どちらもマシンのダメージが大きくラリー続行を諦めている。さらに、この時点で赤旗が出され、以降のクルーはステージスルーとなり、ノーショナルタイムが与えられることになった。

波乱のSS2でベストタイムを刻んだのはエバンス、4.0秒差の2番手タイムにオジエ。トヨタの2台から少し離れた20.8秒差の3番手にティエリー・ヌービル(ヒョンデ)、32.3秒差の4番手にロバンペラが入った。この結果、エバンスがトップに立ち、オジエが3.8秒差の総合2番手に浮上。初日首位のヌービルは総合3番手にドロップし、以下、ラリー2で参戦するアンドレアス・ミケルセン(シュコダ)、オィット・タナック(Mスポーツ・フォード)、ロバンペラ、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)のオーダーで続く。

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SS3は比較的高速かつワイドセクションが中心。雨脚が強まるなか、首位のエバンスが連続ベスト。10.1秒差の2番手タイムを刻んだヌービルだが「これだけ危険なコンディションで走ったことはない。走るべきじゃない」と警鐘を鳴らす。フロントウインドウが曇ってしまったクルーは軒並みペースを落とし、オジエは38.8秒差の3番手タイム、ロバンペラが1分5秒0差の4番手タイム、ラッピが1分5秒2差の5番手タイム。この結果、ヌービルがオジエを捉えて、首位のエバンスから26.0秒差の総合2番手に浮上した。

走行中にウインドウを拭くことを余儀なくされたタナックは、ベストから2分44秒2差と大きく遅れ、トップ10圏外へ。前のステージでラジエターに大きなダメージを負った勝田はリエゾンで応急処置を施し、スタートTCに7分の遅着。1分10秒のペナルティを受けてSS3をスタートし、ペースを抑えながらもフィニッシュ。首位から5分以上も遅れているが、「完全に直すのは不可能、とにかくサービスを目指します」と厳しい表情で語る。

SS4は雨に加えて霧が深く立ち込めており、ヘリコプターが飛ぶことができずに、主催者は安全を理由にキャンセルを決定。クルーは安全なスピードで通過し、豊田スタジアムのサービスへと戻ることになった。

豊田スタジアムでのサービスを挟んだ午後のセクション、サービスパークでは雨が上がったものの、ステージは降ったり止んだりの小康状態。ウエットコンディションが続くことを想定し、ラリー1勢はラッピのみがソフトタイヤ2本をチョイスし、それ以外のクルーはウエットタイヤを選んでステージへと向かった。

午前中、多くのアクシデントが発生したSS5は、依然として深く霧が立ち込めている。SS2でのダメージをサービスで修復した勝田が、ヌービルに3.3秒差をつけて今回初のベストタイム。「午前中のアクシデントは悔しいですが、まだ諦めずに1台ずつ前を狙っていきます」と勝田は挽回を誓う。

首位のエバンスは「マシにはなったけど、フルアタックができるような状態じゃなかった。ここにいるのが重要だよ」と語り、18.8秒差の4番手タイム。これで首位エバンスと総合2番手につけるヌービルとの差は10.5秒に縮まった。ステージ終盤のディッチで左リヤをアウト側に落としたオジエは、マシン左サイドにダメージを負って10秒近くをロス。首位から40.0秒差と、優勝争いから一歩後退している。

コンディションが回復しつつあるなか、まだドラマは終わっていなかった。総合2番手のヌービルが、SS6のスタートから100m地点で路面の継ぎ目に乗ってコースオフ。立木に激突し、マシンに大きなダメージを負い、リタイアを決めた。このステージ、「チームが完璧にクルマを仕上げてくれた」と語る勝田が、首位エバンスに0.3秒差の連続ベストタイム。ヌービルが脱落したことで、オジエとロバンペラがポジションを上げ、トヨタの3台が上位を独占している。

総合4番手にミケルセン、総合5番手にグレゴワール・ミュンステール(フォード)、総合6番手にニコライ・グリアジン(シュコダ)とWRC2のクルーが並び、総合7番手にラッピ、総合8番手にマシンにトラブルを抱えながら走るタナックがつけている。

Toyota

晴れ間がのぞき始めてきたが、依然として路面は滑りやすい箇所が多数存在する。午前中はキャンセルとなったSS7、ここでも勝田がエバンスに1.1秒差をつける3連続ベストタイム。林道ステージを走り終え、首位のエバンスは総合2番手につけるオジエとの差を50.9秒に拡大。総合3番手のロバンペラはすでに2分7秒4も離れている。3連続ベストの勝田はトップ10まで順位を戻してきた。

この日を締めくくるのは、初日も走行した豊田スタジアムのスーパーSS。直前まで降雨があったこともあり、非常に滑りやすいコンディションとなるなか、サイド・バイ・サイドのバトルを制したのは、ヒョンデ勢で唯一生き残ったラッピ。オジエと勝田が1.0秒差の2番手タイムで続いた。

総合2番手のオジエがSS8のTCに6分間の遅着で、1分間のペナルティ。これにより首位のエバンスは1分49秒9のアドバンテージを持って2日目を終えることになった。2分6秒6秒の総合3番手は、先頭スタートに苦しんだロバンペラ。総合4番手から総合6番手は、ミケルセン、ミュンステール、グリアジンとWRC2勢が入り、総合7番手にラッピ、後半のセクションで電気系統のトラブルに見舞われたタナックは総合8番手で走り切っている。

オープニングステージでのアクシデントで大きく遅れた勝田は、首位から5分7秒9遅れながらもポイント圏内の総合9番手。「まだラリーは長いですし、プッシュを続けます。明日はトリッキーなステージが多いですし、何が起こるか分からないですからね」と、さらなる上位進出を諦めていない。

競技3日目はSS9〜SS16の8SS、SS走行距離は85.36km。オープニングのSS9は、11月18日の8時4分にスタートする。

WRCラリージャパン SS8後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 1:25:22.7
2. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:49.9
3. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:06.6
4. A.ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:00.2
5. G.ミュンステール(フォード・フィエスタ・ラリー2) +3:05.0
6. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:29.6
7. E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1) +3:44.3
8. O.タナック(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +4:42.8
9. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +5:07.9
10. H.コバライネン(シュコダ・ファビアR5) +5:56.0

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