トヨタ・ガズーレーシングWRTは、1月25日〜28日にかけてモナコ、フランスを舞台に開催される2024年WRC開幕戦ラリーモンテカルロ(アイス&ターマック)に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストンという3台のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドをエントリーする。
(以下チームリリース)
WRC 第1戦 ラリー・モンテカルロ プレビュー
2024年WRCがラリー・モンテカルロで開幕
2年連続となる優勝を目指す
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、1月25日(木)から28日(日)にかけて、モナコおよびフランスで開催される、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦「ラリー・モンテカルロ」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)の、3台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。WRCで最も長い歴史と伝統を誇るラリー・モンテカルロで、2年連続優勝を狙います。
過去3年連続でマニュファクチャラーズ・タイトル、ドライバーズ・タイトル、コ・ドライバーズ・タイトルを獲得してきたTGR-WRTは、2024年も三冠の獲得を目標にシーズンを戦います。参戦3シーズン目を迎えるGR YARIS Rally1 HYBRIDは、常に開発および改良作業が続けられ、2024年車に関しては低速域でのレスポンスと、トルクカーブを改善するためエンジンがアップデートされました。また、クルマのカラーリングも大きく変わり、新たにマットブラックをベースとする大胆なカラーリングでシーズンを戦います。
2024年のテクニカル・レギュレーションに関しては大きな変化はありませんが、ポイントシステムには抜本的な変更が加えられました。その目的はラリー最終日となる日曜日をよりエキサイティングなものとするためであり、まず土曜日終了時点の総合順位に基づき、1位から10位までの選手およびマニュファクチャラーに18-15-13-10-8-6-4-3-2-1ポイントが付与されます。ただし、これらのポイントを獲得するためには、日曜日も最後までステージを走りきる必要があります。それとは別に、日曜日に総合1位から7位に入った選手およびマニュファクチャラーには7-6-5-4-3-2-1ポイントが付与されます。さらに、これまでと同じようにラリー終盤の「パワーステージ」では、トップ5タイムを記録した選手とチームに対し、最大5ポイントのボーナスが与えられます。
TGR-WRTは、2023年にこのラリーで記録的な9勝目を挙げたオジェを含む、3人のドライバーラインナップで今年も優勝を目指します。過去2年間、ラリー・モンテカルロはモナコのサービスパークを中心に行われてきましたが、2024年はフランス南部のギャップに拠点を戻します。ギャップはフレンチ・アルプスに囲まれた風光明媚な町であり、山岳地帯のターマック(舗装路)ステージは多くが雪で覆われています。また、ギャップはオジエにとってホームタウンといえる町であり、多くのファンが地元のヒーローの活躍を心待ちにしています。2年連続で世界王者に輝いたカッレ・ロバンペラが、今シーズンは全戦への出場を行なわないことを決めたため、今シーズンはエバンスがチームを牽引する立場となります。エバンスは昨年、最終戦のラリージャパンを含むシーズン3勝を挙げてドライバー選手権ランキング2位を獲得。ラリー・モンテカルロでは2021年に2位表彰台を獲得しています。そして、昨年をもってTGR WRCチャレンジプログラムを卒業した勝田は、今シーズンよりファクトリーチームのフルタイムドライバーを務めます。モンテカルロに関しては、トップカテゴリーに過去4回参戦し、その全てでポイントを獲得しています。
ラリー・モンテカルロは、ターマックの路面を氷や雪が覆うステージが多く、天候が非常に変化しやすいため、最も過酷なイベントのひとつと言われています。路面のコンディションが変わりやすいためタイヤ選びは非常に難しく、ドライ用、ウエット用、雪道用のスタッドレスタイヤ、金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれたスタッドタイヤなど、様々なタイプのタイヤが用意されます。
ラリーの中心はギャップのサービスパークとなりますが、ラリーの幕開けを祝うセレモニアルスタートは、これまでと同様モナコで行われます。木曜日の午後に行われるセレモニアルスタートに続いては、ギャップの近郊でデイ1として2本のナイトステージが行われます。金曜日のデイ2は、ギャップの東側でミッドデイサービスを挟んで3本のステージを各2回走行。土曜日のデイ3も同様のフォーマットとなり、ギャップの西側エリアで3本のステージを各2回走行します。最終日となる日曜日のデイ4は、早朝ギャップのサービスパークを出発した後、大会三度目となる「ラ・ブレオル/セロネ」のステージを走行。続いてクラシックステージの「ディーニュ=レ=バン/ショドン=ノラント」、有名なチュリニ峠を含むパワーステージ「ラ・ボレーヌ=ベジュビー/コル・デ・チュリニ」という3ステージを走行した後、モナコでフィニッシュを迎えます。4日間で17本のステージを走行し、その合計距離は324.44km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1649.89kmが予定されています。
ラリー・モンテカルロは、GR YARIS Rally2のWRCデビュー戦でもあり、異なるカスタマーチームから4台が出場します。サミ・パヤリはプリント・スポーツから、ステファン・ルフェーブルはバートン・レーシングから、ブライアン・ブフィエはEレースWRTから、ヤン・ソランスはテオ・マーティン・モータースポーツからのエントリーとなり、そのうちパヤリ以外の3選手はWRC2カテゴリーにエントリーをしています。
なお、木曜日のセレモニアルスタートを前に、モナコのカジノ広場で現地時間14時45分(日本時間22時45分)から、オジエおよびロバンペラ監修のGR YARIS特別仕様車が公開される予定です。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
私たちはここ数シーズン素晴らしい成功を収めてきましたが、2024年も当然その好調を保ちたいと考えています。ただし、さらに大きな挑戦となることが予想され、全てのタイトルを防衛するのはさらに難しくなるでしょう。マニュファクチャラー選手権で再び勝つことが我々の一番の目標であり、ドライバーズ・タイトルとコ・ドライバーズ・タイトルも獲得することができれば、それは本当に素晴らしいボーナスになるでしょう。私たちのチームはシーズンを通して開発を続け、より良いクルマにするため常に努力しています。シーズンは最も過酷なラリーのひとつであるラリー・モンテカルロから始まりますが、良い週末になったならば、大きな自信を得ることができるでしょう。それもあってエルフィンと貴元はシーズンを最高の形でスタートさせようと考えているでしょうし、セブがこれまで得意としてきたホームロードを我々と一緒に走るのはエキサイティングなことです。さらに、GR YARIS Rally2が実際に走るのを見るのも楽しみです。テストを終えてクルマには自信を持てるようになりましたが、どのレベルにあるのかを実際に確認し、今後の開発のためのフィードバックを集めることができるのは、コンペティションに初めて参加する今回からとなります。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
新しいシーズンの始まりはいつもワクワクしますし、それがラリー・モンテカルロであればなおさらです。2023年は我々にとって大きな進歩があり、正しい方向に進んでいることを示すことができました。もちろん、2024年はさらに上を目指したいと思っていますが、それを達成するのは簡単ではありません。競争が厳しいのは毎年のことなので、チームとして常に改善を続けてきましたし、今シーズンもベストを尽くす準備はできています。ラリー・モンテカルロは今年再び開催地が北に移動するため、冬型のコンディションになる可能性が高そうです。ラリー前のプレイベントテストはトリッキーなコンディションとなり、いい練習になりましたが、このラリーは対峙するコンディションにどれだけ上手く合わせられるかが全てといえます。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
今年も新しいシーズンを迎えられることを嬉しく思いますし、このチャンスに全力で取り組みたいと思います。ここ2、3年はチームと楽しく仕事を進めてきて、いい結果を残すことができましたので、できればこのアプローチを今後も続けたいと思っています。そして2024年は、もちろんラリー・モンテカルロから始まります。私にとってモンテカルロは絶対に出なくてはならないラリーですし、多くの期待を抱いています。コンディションが非常に厳しくなることが多く、何も保証されないという点で、他のどのイベントよりも謙虚に臨まなければならないラリーだと思っています。自分にとって数字は一番のモチベーションではありませんが、もしこのラリーで10勝目を挙げることができたとしたら、それは非常に特別なことです。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
モンテカルロ周辺の山々に戻るのは嬉しいですし、新しいシーズンに向けての準備はできています。毎年、期待は大きくなっていきますが、僕はそのようなプレッシャーが好きですし、トップで戦いたいと思っているので、2024年はより良い結果を出せるように頑張ります。コンスタントに表彰台争いに加わり、初優勝を狙いたいと思っています。チャレンジを楽しみ、限界まで攻め続け、ハードワークを続けるつもりです。エンジニアたちはクルマをさらに改善するため一生懸命仕事に取り組んでいますし、ファクトリーでは全員がハードに働いていることを感じているので、昨年よりもさらに良くなると確信しています。ラリー・モンテカルロはコンディション的に最もトリッキーなラリーのひとつで、タイヤ選びも難しいですが、チャレンジする準備はできています。