2024年シーズンWRC開幕戦ラリーモンテカルロは、1月27日(土)にラリー3日目の6SSを走行し、ヒョンデのティエリー・ヌービルが、トヨタのセバスチャン・オジエに3.3秒差をつけて首位に立った。前日まで首位のエルフィン・エバンス(トヨタ)は、34.9秒差の総合3番手に後退している。
土曜日は、ギャップの西部を走る3SS「Esparron / Oze(18.79km)」「Les Nonieres / Chichilianne(20.04km)」「Pellafol / Agnieres-en-Devoluy(21.37km)」をループする6SS、120.44km。この日の終了段階でトップ10に入っていたクルーは、最終日を完走することを条件に「18-15-13-10-8-6-4-3-2-1」の配分でポイントが与えられる。
オープニングのSS9、凍結箇所の残る滑りやすいコンディション下で、ヌービルがエバンスに9.6秒差をつける会心のベスト。総合2番手に浮上しただけでなく、首位エバンスとの差も6.5秒まで一気に削ってみせた。僅差の総合2番手につけていたオジエは、コンディションを警戒しすぎてタイムロス。このステージだけでベストのヌービルから18.8秒遅れてしまい、総合3番手にポジションを落とした。
後方では、総合6番手につけていたアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデ)がスタート直後にコースオフ。40秒以上をロスし、グレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ・フォード)に抜かれ、総合7番手にドロップしている。
SS10、前のステージでペースを落としすぎたオジエがヌービルに2.1秒差のベストタイム。ここまで快走してきたエバンスだったが、ハイブリッドシステムが使えず、9.5秒差のSS8番手タイムに沈み、首位の座をヌービルに明け渡してしまった。「ちょっとした問題があったが、問題ない」とエバンスは冷静にコメント。総合3番手のオジエも5.1秒差で追っており、トップ3の争いがいよいよ激しくなってきた。
午前中最後のステージとなるSS11は、ヌービルとオィット・タナックのヒョンデ勢が同タイムの一番時計。オジエは2.6秒差のSS4番手タイム、エバンスは4.2秒差のSS5番手タイムと、ヒョンデ勢に一歩届かず。SS3番手タイムの勝田貴元(トヨタ)がWRC2勢を一気にパスして、総合8番手に順位を戻している。
ギャップでのサービスを挟んだ午後のセクション、午前中の走行により路面はインカットの泥が掻き出された状態だ。SS12は「タイヤへのリスクはあったが、プッシュした」と振り返ったオジエが、ヌービルに5.5秒差のベスト。オジエが首位のヌービルに2.2秒差の総合2番手に浮上した一方、厳しいコンディションを警戒したエバンスは16.9秒差のSS6番手に沈み、僅差の優勝争いから一歩後退している。
総合6番手を走行していたミュンステールは、スタートから6.3km地点の左コーナーでコースオフ。ガードレールにヒットし、ラリー続行を断念。これにより、後続のミケルセンが総合6番手、勝田が総合7番手と、それぞれひとつずつ順位を上げた。
SS13は前半こそドライだったものの、中盤以降はマディでスリッパリーなコンディション。ヌービルに3.0秒差をつけ、連続ベストを刻んだオジエが、ついに今ラリー初のトップに立った。0.8秒差ながらもヌービルをかわしたオジエは「最高のバトルだね。このステージはプッシュし続けたよ」と、納得の笑顔を見せる。グリップの低いセクションでペースを上げられなかったエバンスは、7.6秒差のSS3番手タイム。トップふたりとは20秒以上も離れており、優勝争いからは一歩後退してしまった。
この日の最後を締めくくるSS14、「完璧に近い走りができた」と語ったヌービルがオジエに4.1秒差のベスト。再び首位を奪還し、オジエに3.3秒差をつけて3日目を走り切った。僅差の総合2番手となったオジエは「まだトップとは3秒差だし、面白い展開になりそうだ」と、不敵に笑う。首位スタートながらも、トラブルがあり、ずるずると後退したエバンスは34.9秒差の総合3番手。以下、タナック、アドリアン・フルモー(Mスポーツ・フォード)、ミケルセン、勝田のオーダーで続いている。
最終日はSS15〜SS17の3SS、SS走行距離は52.12km。オープニングのSS15は日本時間1月28日の15時4分にスタートする。
WRCモンテカルロ 3日目暫定結果
1. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) 2:37:58.5
2. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3.3
3. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +34.9
4. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +1:46.9
5. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:54.0
6. A.ミケルセン(ヒョンデi20Nラリー1) +4:21.2
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7:34.0
8. N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) +8:55.7
9. P.ロペス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:55.9
10. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +9:02.6
WRCモンテカルロ 土曜日終了時点暫定ポイント
1. T.ヌービル 18
2. S.オジエ 15
3. E.エバンス 13
4. O.タナック 10
5. A.フルモー 8
6. A.ミケルセン 6
7. 勝田貴元 4
8. N.グリアジン 3
9. P.ロペス 2
10. Y.ロッセル 1