2024年シーズン全日本ラリー選手権開幕戦「Rally三河湾2024 Supported by AICELLO」は、3月3日(日)に6カ所のスペシャルステージを走行し、トップカテゴリーのJN-1クラスは勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)が、新井大輝/金岡基成(シュコダ・ファビアR5)に21.2秒差をつけて勝利を飾った。3分00秒7差の3位には福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が入っている。
ラリー2日目は、『岡崎桑谷山(10.69km)』と『豊川宮路山(10.72km)』という10kmを超える林道ステージ2本に、サービスパークに設定されたショートステージ『KIZUNA(0.58km)』を、午前と午後でリピートする6SS、43.98km。前日、アクシデントによりデイリタイアした新井敏弘/井上草汰(スバルWRX STI)と、眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)はマシンを修復し、無事リスタートしている。
10kmを超える林道ステージが4本残された最終日、初日後半は新井大輝に差を詰められていた勝田だったが、SS9で5.1秒差のベストタイムをマーク。続くSS10では新井大輝に8.8秒差をつける連続ベストを刻み、その差を26.7秒にまで拡大してみせた。新井大輝は手持ちのパーツではツイスティなステージに合わず、思うようにペースを上げることができない。また、SS10では再出走にまわり、SS9では勝田、新井大輝に続く3番手タイムをマークしていた新井敏弘が、ギヤボックストラブルから戦列を去っている。
多くの観客が集まったショートステージのSS11。先頭スタートの勝田がレッキ時と看板などの設置位置に違いがあったことから、スタート直後にミスコースを喫してしまう。あわや3分のペナルティかと思われたが、その後のクルーでも同様の事態が続いたことを受けて、主催者はSS11のキャンセルを決定した。午前中と同じルートを走行する午後のセクション。安全圏とも言えるアドバンテージを手にした勝田は、SS12をセカンドベスト、SS13をベスト、SS14は4番手タイムでまとめ、トップでフィニッシュ。スタートから一度も首位の座を譲ることなく、ホモロゲーションを取得したGRヤリス・ラリー2での全日本ラリー選手権初勝利を達成した。
「昨年のプロトタイプとは全然違う印象で、すごく乗りやすかったです。安心してプッシュすることができました。でも三河湾のステージは狭くツイスティで、驚きました(笑)。新井大輝選手がかなり速かったですし、ヘイキ(コバライネン)選手も復活してくるはずですし、今シーズンも厳しい戦いが続きそうです」と、勝田は開幕戦勝利にも浮かれた様子はない。
21.2秒差の2位には、スタート直前までマシンの準備に追われながら、しっかり表彰台圏内でフィニッシュした新井大輝。
「午前中の走りを踏まえてセットアップを大幅に変えたんですが、やはり道に全然合っていませんでした。もっと色々詰めなければならなくて。そうなってくると、デファレンシャルも含めて、色々と手を入れる必要があるでしょうね。それでも方向性が見えたことが、一番の収穫です。次戦の唐津までにはミッションを直したり、色々やることが多そうです」と、悔しさのなかにも手応えを語っている。
福永は上位2台のペースには付いていくことができなかったものの、表彰台圏内を確保した。今回が、GRヤリス・ラリー2初ドライブとなった奴田原文雄/東駿吾は、マシンの習熟に努めながら、首位から3分19秒1差の4位で完走。7分44秒5差の5位は、ヘイキ・コバライネンの代役として、こちらもGRヤリス・ラリー2をフィニッシュまで持ち帰った田口勝彦/北川紗衣が入っている。
今シーズンから、JN-2クラス内に設けられた若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup」は、最終盤までリードしていた貝原聖也/⻄﨑佳代子がSS13でスローパンクチャー。最終SS(SS14)でもタイムダウンを余儀なくされた。この結果、最終ステージで逆転した山田啓介/藤井俊樹が、MORIZO Challenge Cup優勝と、JN-2クラス優勝を手にした。