WRCは3月27日〜31日、ケニアのナイバシャを拠点とする今季最初のグラベルラウンド、第3戦サファリ・ラリーケニアを迎える。カレンダー唯一のアフリカ大陸イベントは、今年が72回目の開催となる。
開幕2戦を終えた時点で、ドライバーズ選手権首位に立つティエリー・ヌービルとエルフィン・エバンスの差は、わずか3ポイント。マニュファクチャラーズ選手権では王者チームのトヨタとヒョンデが同ポイントで並び、Mスポーツ・フォードもポディウムの一角を獲得するなど、タイトル争いの序盤はエキサイティングな展開となっている。
2021年からWRCカレンダーに復帰したサファリ・ラリーケニアは、当時は6月に開催していた。しかし、今年はイベントとしては伝統的なイースターホリデーの開催に早まり、シリーズとしては今季最初のグラベル戦となる。この時期はケニアの雨期に当たり、水浸しの路面がこれまで以上に懸念される。
カレンダー屈指のチャレンジングなイベントと位置づけられるこのラリーでは、WRCドライバー陣は東アフリカの地形を走破しなくてはならない。道は主に粘土質のため、濡れると非常に滑りやすくなるが、灼熱の温度のために乾くまでにはそれほど時間がかからない。そのため、 WRCのほかのグラベルイベントのように砂利掃きの負担はそれほど大きくはないが、雨の可能性が高いため、各デイのスタート順が重視される。
■エントリー状況
ヒョンデ・シェル・モビスWRT:ドライバーズ選手権で首位に立つヌービルは、サファリ初制覇を狙う。チームメイトに2019年王者のオィット・タナックに加え、前戦スウェーデンを制したエサペッカ・ラッピが加わる。
トヨタ・ガズーレーシングWRT:サファリがWRCに復帰した2021年以降、連勝を続けているトヨタは、エルフィン・エバンス、2021年のサファリで初めてWRCのポディウムに上がった勝田貴元、2022年のサファリ覇者、カッレ・ロバンペラの布陣でイベント4連覇を狙う。
Mスポーツ・フォードWRT:スウェーデンでは自身初のWRCポディウムを飾ったアドリアン・フルモーは、2021年のサファリでWRCでの初ステージウインをマークしている。チームは、このほかグレゴワール・ミュンステール、ジョルダン・セルデリディスと、3台のフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1を走らせる。
■サポートカテゴリー
WRC2部門は、併催のアフリカラリー選手権のドライバー陣にとって、世界で戦うライバルを相手にスキルを披露する絶好の機会となる。アフリカ選手権からは、2023年王者のカラン・パタル、2021年王者でケニアタイトルを何度も獲得しているカール・タンドが登場する。
選手権常連組では、トクスポーツWRTのオリバー・ソルベルグが、スウェーデンの優勝を経て選手権リーダーとして参戦。ニコラ・シャミンは、これが初めてのサファリ参戦となる。カエタン・カエタノビッチは、WRC2チャレンジャー部門のタイトル防衛シーズンを始動させる。2023年のWRC2部門で2位に入ったガス・グリーンスミスは、トクスポーツWRTのシュコダ・ファビアRSラリー2で今季初のWRC参戦。2021年に91歳でサファリ・ラリーケニアに参戦したソビエスワフ・ザサダの孫、ダニエル・シュイストもファビアRSラリー2で参戦する。2023年のジュニアWRC王者ディエゴ・ドミニゲスは、シトロエンC3ラリー2でWRC2部門初挑戦。グレゴワール・ミュンステールの弟、チャールズ・ミュンステールはヒョンデi20Nラリー2で参戦する。
■ラリールート
会期が早まる今年のサファリだが、設定される19SS・367.76kmのルートは、2023年からは大きな変更はない。イベントは3月28日、ケニアの首都ナイロビに設定されるスーパーSS、Super Special Kasaraniで開幕した後は、ナイバシャを拠点に展開される。
本格的な競技初日となる29日金曜日は、ナイバシャ湖を挟んだ両側に設定される3SSを2ループする6SSを走行。SS4/SS7 Kedongは、ミティムビリに新しいセクションが加わり、2023年とは逆走となる。
土曜日は、ナイバシャの北にあるエルメンテイタ湖周辺を舞台に3SSを2ループする。SS10/SS13 Sleeping Warriorは、昨年の31.04kmから、終盤が延長されて36.08kmとなり、今大会最長ステージとなる。
最終日の日曜日は、最初のステージMalewa(SS14/SS17)は、9.00kmから8.33kmに短縮。昨年はOserianという名称となっていたOserengoni(SS15/SS18)は、ステージのある野生動物保護区の地名に由来して新たな名前が与えられた。10.53kmのHell’s Gate(S16/SS19)はパワーステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2024年3月28日〜31日
サービスパーク設置場所:ナイバシャ
総走行距離:1267.57km
総ステージ走行距離:367.76km(SS比率29.0%)
総SS数:19
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
エルフィン・エバンス(#33)
勝田貴元(#18)
カッレ・ロバンペラ(#69)
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
オィット・タナック(#8)
エサペッカ・ラッピ(#4)
[Mスポーツ・フォードWRT]
アドリアン・フルモー(#16)
グレゴワール・ミュンステール(#13)
■2023年サファリ・ラリーケニア最終結果
1 S.オジエ/V.ランダイス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)3:30:42.5
2 K.ロバンペラ/J.ハルットゥネン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)+6.7
3 E.エバンス/S.マーティン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +2:58.5
■近年のウイナー
2023年 S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2022年 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2021年 S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年* B.チャージャー(三菱ランサーエボリューションX R4)
2018年* C.タンド(三菱ランサーエボリューションX R4)
*WRC外としての開催