2024年シーズンWRC第3戦サファリは、3月31日(日)に最終日の6SSを走行し、トヨタのカッレ・ロバンペラが今季初優勝を決めた。2位はサファリで3度目の表彰台となる勝田貴元、勝田は2021年、22年に続いての表彰台フィニッシュだ。3位にはMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーが入っている。フルモーは前戦スウェーデンに続いて2戦連続での3位という結果になった。
競技最終日はSS14〜SS19の6SS、74.38kmで争われる。オープニングのSS14は、日本時間3月31日の13時02分にスタートする。競技3日目を終えた段階で、首位を走るロバンペラと総合2番手の勝田には、2分10秒3という差がついている。勝田と総合3番手のフルモーは1分4秒4差と、こちらもやや大きな差がついている状況だ。この日曜日単独の順位に対しては、上位7位まで7-6-5-4-3-2-1ポイントが与えられる。
オープニングステージとなったSS14「Malewa 1(8.33km)」では、ティエリー・ヌービルを先頭にオィット・タナック、エサペッカ・ラッピとヒョンデ勢がSSタイムのトップ3を占める。勝田はこの荒れたステージで左フロントタイヤをパンクし、ベストタイムのヌービルから25.8秒遅れのSS8番手タイム。総合順位に変動はなく、フルモーとの差は56.3秒となった。
SS15「Oserian 1(18.33km)」は総合4番手のエバンスが制し、タナック、ヌービルというオーダー。タナックはこれでカエタン・カエタノビッチとジュルダン・セルデリディスをかわして総合8番手に浮上している。エバンスは続くSS16「Hell’s Gate 1(10.53km)」も制して2連続ベスト。2.6秒差のSS2番手にタナック、3.4秒差のSS3番手タイムに勝田が入っている。このSSは午後のループでパワーステージとして使用されるが、散乱した岩だけでなくトリッキーなステージに各選手とも警戒を隠さない。このSSでは総合5番手のヌービルが右リヤサスペンションを破損したが、なんとかステージを完走、サービスでマシンを修復、総合順位もキープして午後のステージへと挑む。
SS17ではそのヌービルがベストタイムをマーク。1.1秒差のSS2番手にタナック、4.9秒差のSS3番手にラッピが入り、1ループ目と同じくヒョンデ勢がトップ3を占めることとなった。勝田は午前中にパンクを喫したこのステージを慎重に走りSS6番手タイムとしている。SS18は、タナック、ヌービル、ラッピの順で再びヒョンデ勢がトップ3タイムをマーク。9.9秒差のSS4番手にフルモー、15.8秒差のSS5番手タイムでミュンステールが入り、Mスポーツ・フォード勢が続いた。
最終ステージのSS19は、SS16の再走となる「Hell’s Gate 2(10.53km)」。WRC2の上位陣、ヒョンデi20Nラリー2のニコラ・シアマンからコースイン。WRC2はガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)が今季WRC初出場ながら勝利を獲得した。続くラリー1勢は、再出走組のグレゴワール・ミュンステールからアタックを開始。続いてコースインしたラッピが5分29秒1という暫定ベストタイムをマークした。チームメイトのタナックは渾身のアタックでラッピのタイムを1.5秒上更新、パワーステージポイントを狙うヌービルはタナックのタイムを0.5秒上まわってフィニッシュ。後続の走りを待つこととなった。
続くエバンスは暫定SS4番手、フルモーは暫定SS5番手タイムをマーク、3位表彰台以上を確定した。勝田は確実に走り切ることに焦点をあてた走りで暫定SS6番手。これで2位以上を決めてラリーをフィニッシュしている。勝田は「タフな週末でしたが、チームのおかげで走り切ることができました。ミスやパンクもしてしまいましたが、このクルマを信頼して、ステージを攻めることができました」と振り返った。そして最終走者のロバンペラはSS4番手タイムをマーク。トヨタにとっての今シーズン初勝利であり、ロバンペラにとってはキャリア12回目の勝利となる。
これで最終SS終了時点での総合順位はロバンペラ、勝田、フルモー、エバンス、ヌービルというトップ5。パワーステージはヌービル、タナック、ラッピ、ロバンペラ、エバンスがトップ5に入り、それぞれボーナスポイントを獲得した。なお、土曜日までのポイントと日曜日のポイント、そしてパワーステージでのボーナスを合計すると、ウイナーのロバンペラが20点(18点+0点+2点)、2位の勝田が18点(15点+3点+0点)を獲得。一方、5位のヌービルは日曜日に11点を稼ぎ出し、19点(8点+6点+5点)を得ることに成功している。
この結果、ドライバーズランキング上位はヌービルが67点で首位をキープ、以下エバンス61点、フルモー46点、タナック33点、ロバンペラ31点、勝田30点という並びとなった。マニュファクチャラーズポイントは、トヨタが131点、ヒョンデが127点、Mスポーツ・フォードが72点となっている。
次戦は4月18日〜21日に開催される第4戦クロアチア。首都ザグレブを拠点として行われるターマックラリーで、グリップレベルが低く難易度が高いことでも知られる。昨年はトヨタのエルフィン・エバンスが勝利を収めている。なお、今回勝利を挙げたロバンペラは4月6日(土)〜7日(日)に開催されるフォーミュラドリフトジャパン開幕戦(富士スピードウェイ)にGRカローラで参戦予定となっている。
WRCサファリ 暫定結果
1. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:36:04.0
2. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:37.8
3. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +2:25.1
4. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:20.2
5. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +10:17.5
6. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +18:05.4
7. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +19:28.5
8. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +21:02.0
9. J.セルデリディス(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +26:13.3
10. K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +26:34.4