10月22日にスタートを切る2009年WRC最終戦、ウェールズラリーGB。焦点はなんといっても、ミッコ・ヒルボネンとセバスチャン・ローブの一騎打ちだ。現在ふたりの得点差はわずか1点(ヒルボネン84点、ローブ83点)。得点圏内でどちらか上位にはいったものが王座を手にすることとなる。もっとも、同点となった場合は勝利数差(ローブ6勝、ヒルボネン4勝)により、ローブの6連覇が決まることとなるため、どちらかといえばローブが優勢とみられている。
最終決戦を前に、ふたりのドライバーがそれぞれの心境を語った。
自身初の王座を目指すヒルボネン。GBでのハードファイトに対する準備はできていると言う。
「とにかくワクワクしているよ。ラリーのスタートが待ち切れないね!
マニュファクチャラーズタイトルが決まっているセブは全力で走るだろうし、GBのコースだって簡単じゃあない。GBは間違いなく今シーズンで最も激しい戦いになるだろう。かといって今の僕にプレッシャーはない。言っておくけど、決して見くびっているわけじゃないからね。
僕は2007年にいちどGBで勝っている。このラリーではいつも厳しい戦いを強いられていたけど、雰囲気はよく分かっているつもりさ。もし勝負するラリーを選ぶことができるなら間違いなくフィンランドを選ぶけど、その次はきっとGBだよ。意外に思うかもしれないけれど、ヘタすりゃフィンランド以上に高速な場所もある。だから、ここの道は僕に合っていると思うんだ。今年は開催時季が早いから、雪が降ったり道が凍ったりはしないだろうけど、そうなったらカンペキだったのにね」
しかしポイントリーダーである彼は、先頭走者としてGBのグラベルロードに挑まなければならない。
「もし雨が降ったりして路面がマッドになれば先頭走者の方が断然有利だよね? たとえドライだったとしても、もともとGBは先頭と2番手以降の差がそれほどつくイベントじゃないから、さして不利だとは思ってないよ。むしろ喜んで一番走者を拝命するね!」
冗談さえ交えた、しかし落ち着いた語り口のなかに確固たる自信が見え隠れするヒルボネン。
一方のローブも前人未到6連覇に向けて精力的にテストをこなし、準備万端のようだ。
「僕らに課せられたミッションは単純明快だ。ミッコの前でフィニッシュし、ポイントを獲得すること。それだけだよ。もちろんささいなミスが命取りになることはミッコも僕もイヤってほどよく分かっている。考えたって仕方のないことだけど、リスク覚悟で攻めていくしかないさ。できるだけ自分の走りに集中してね。
テストはとてもうまくいったよ。C4のフィーリングはとてもいい。ウェールズの路面にも合っているしね。そういえばミッコは今週末のラリーでコースカーを務めているだろう? 僕も日曜日にテストを追加することにした。だから、僕とミッコはお互い最高のコンディションでカーディフに現れると約束するよ! 僕らはノルウェー、フィンランド、オーストラリアでかなりやり合っている。ウェールズでもきっといいバトルができることを期待しているよ」
最終戦ではセバスチャン・オジエとコンラッド・ロウテンバッハに加えて、ペター・ソルベルグとアーロン・ブルカルトがシトロエン・ジュニアチームからエントリーしている。
このなかでローブとヒルボネンのポジションに割って入れる実力を持つのはソルベルグだが、そうなればチームオーダーが下される可能性も考えられる。
状況はやはりローブが優勢とみて間違いないが、この包囲網を正面突破できるかどうか、ヒルボネン戴冠の資格はその一点に絞られたとみていいだろう。
ふたりの対決まであと1週間。勝負の行方はどうなるか、誰にも分からない。ちなみに、RALLY PLUS.NETではリアルタイム速報を実施予定だ。