全日本ラリー丹後:波乱の展開のなか、新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で2勝目 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー丹後:波乱の展開のなか、新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で2勝目

©Takuji Hasegawa

■レグ2
ラリー初日のSS3「Tsunotsuki Reverse 1」で火災が発生し、ステージが中断。主催者は公式通知を発行し、修正した2日目のアイテナリーとともに「山林火災は鎮火はしたが、現場検証等が行われるためSS6『Tsunotsuki 2』とSS7『Tsunotsuki Reverse 2』をキャンセルとする」と発表した。修正後のアイテナリーでは、SS5「Oouchi 1(4.84km)」とSS8「Oouchi 2」を、45分のサービスを挟んで走行。この結果、この日のステージ走行距離は当初予定されていた31.22kmから、9.68kmと大幅に短縮されている。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5) / Jun Uruno

この日の予報は雨。ただ、朝のサービスパークに降雨はなく、多くのクルーがドライタイヤを選んでサービスを後にした。オープニングのSS5、首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は、勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)に1.1秒差のベストタイムをたたき出す。このステージ、ウエット寄りのセットアップで走った奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)は4.1秒差の5番手タイムに沈み、首位新井大輝との差は9.3秒に拡大。逆に総合3番手の勝田が0.3秒差にまで迫ってきた。

サービスを挟んだ午後のセクション、予報どおりに雨が降り始め、路面は少しずつ濡れ始める。SS5をリピートするSS8の距離はわずか4.84km。首位の新井大輝はウエットタイヤを選び、ベストタイムでラリーを締めくくった。

今季からファビアR5にマシンをスイッチし、第2戦唐津以来となるシーズン2勝目を飾った新井大輝は「最終ステージはスタートから2kmくらいで雨が降ってきました。色々とあったラリーだったので、普通の勝利よりも嬉しさがあります。今回は何事もなく無事に帰ってこられました。ただ、前回のトラブルもあり、自分たちはフルポイントを獲るしか選手権タイトルを狙うことができません」と、タイトル獲得に向けて表情を引き締める。

JN-1クラスの表彰式 / Hiroaki Ibuki

奴田原と勝田による2位争いは、最終SSでセカンドベストを決めた勝田が奴田原をわずか0.7秒上まわり、0.4秒差で逆転。最後の最後で2位表彰台を手繰り寄せた勝田は「奴田原選手と僅差になりましたが、勝てて良かったです。最後は距離が短くなりましたが、自分なりに納得のいく走りができました」と、笑顔を見せた。前日は僅差の首位争いを展開しながらも、最終日にポジションを落とした奴田原は3位。「今日はセッティングの選択を誤りました。ウエット寄りのセッティングを選んだことがすべてです。特に路面が乾いていたSS5で決まってしまいましたね」と、悔しさを露わにしている。

福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)は、トップ3のペースについていくことができず、18.5秒差の4位。40.0秒差の5位に新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)、1分5秒9差の6位に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が入っている。

JN-2クラス優勝の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRXSTI) / Takuji Hasegawa


JN-2クラスは、首位の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)が、7秒のアドバンテージを持ってスタートしたが、2番手の小泉敏志/村山朋香(トヨタGRヤリス)と3番手の塙将司/西村正義(トヨタGRヤリス)が猛追。SS5は小泉がベスト、塙がセカンドベストを刻み、首位三枝との差をそれぞれ3.0秒差、4.8秒差にまで縮めてみせた。最終のSS8は塙が小泉に1.0秒差のベストタイム。一方の三枝は、このステージは5番手タイムに終わったが、小泉を0.7秒、塙を1.5秒凌ぎ切り、トップを守ってフィニッシュ。唐津から続く連勝記録を3に伸ばした。2位に小泉、3位に塙が続き、自身初めて全日本ラリーでの表彰台に上がっている。4位でラリーを走り切った山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)はMORIZO Challenge Cupを制してMCCでの4勝目を挙げている。

ふたりの追い上げをかわし3連勝を決めた三枝は「もう最後は心臓がバクバクでした。小泉選手が凄まじいプッシュで追い上げてきて、7秒差あったのが0.7秒差にまで迫られてしまいました。最終SSはフィニッシュ後に小泉選手を待って、タイムを聞いてようやくホッとしました。まだまだ要修行です」と、安堵の表情で語る。0.7秒差で優勝を逃した小泉は「めちゃくちゃ悔しいです。これまでウエットは苦手だったんですが、それでもコンマ7秒まで追いつけました。チームが自分の意図するセッティングに合わせてくれたんですが、ちょっと足りなかったですね」と、悔しさを露わにした。

JN-3クラス優勝の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86) / Jun Uruno

JN-3クラスは、首位の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)がオープニングのSS5でベストタイム。ウエットとなったSS8は曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)が一番時計をマークしたことで、全SS制覇こそ叶わなかったものの、長﨑が2位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)との差を7.4秒に拡大し、第2戦唐津以来となるシーズン2勝目を飾った。3位には曽根、4位には上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)が入った。

今回の勝利とデイポイントを積み上げたことで、選手権リードを広げた長﨑は「(距離が短縮され)もっと走りたかったという気持ちがありますが、今回は距離に助けられた部分があったような気もします。最終SSもベストを獲得できれば全SSをベストで揃えられたので、そこは少し心残りです」と、笑顔で振り返った。思うようにタイムが伸ばせなかった山本は「大変なラリーでした。これだけ短いと、1秒がすごく大事になるので、その意味でも初日の最初のループがキモだったと実感しています。セットアップの方向性が見えてきたので、次は一段階上にいきたいです」と、モントレーでの挽回を誓う。

JN-4クラス優勝の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / Takuji Hasegawa

JN-4クラスは、オープニングのSS5で初日首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)が、ガードレールにマシンをヒットし、フロントセクションとギヤボックスを壊してストップ。これで2番手につけていた西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が首位に立った。最終のSS8を前に首位西川と2番手の前田宜重/岡田誠(スズキ・スイフトスポーツ)の差は3.2秒。3番手の鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)、4番手の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)も僅差で続く。雨が降り一部がウエットとなったSS8は、内藤が2番手以下を大きく引き離し全体でも12番手に入るタイムでステージを制し、一気に2位までジャンプアップ。トップの西川が1.5秒差で逃げ切り、嬉しいシーズン初勝利を手にした。内藤に抜かれたものの、前田は3位表彰台を手にした。

高橋のリタイアがあったとはいえ、待望のシーズン初勝利に西川は「最後に内藤選手から怒涛の追い上げをくらいましたが、なんとか逃げ切りました。ここまで追い上げられてしまったのは、タイヤ選択よりもドライバーの責任です。ここで勝てたことで、ようやくポイント的にも選手権を戦える状況になったと思っています」と、笑顔で振り返った。初日のスピンが響き、優勝を逃してしまった内藤は「ギリギリ届きませんでしたね。トップとの差を考えると、初日のスピンがすごく悔しいです。それでもシリーズ争いには残っていますし、次のモントレーも頑張ります」と、前向きに語った。

JN-5クラス優勝の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) / Jun Uruno

JN-5クラスは、初日首位の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、不安定な天候を受けてウエットタイヤで走行。ベストタイムこそなかったものの、2位の吉原將大/伊豆野健太(トヨタ・ヤリス)を抑えて、久万高原に続く2連勝を飾った。3位に松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)、最終SSでベストタイムをマークした嶋村徳之/小藤桂一(トヨタ・ヤリス)が4位に入っている。

SS1から一度もトップを譲ることなくシーズン2勝目を飾った大倉は「リードしている以上、リスクを負えないので、ウエットタイヤがベストだったと思っています。吉原選手や嶋村選手も速かったですし、松倉選手や河本選手もいる。JN-5は粒が揃っていて、すごく楽しいです。今回、クルマがコースの特性に合っていたようで、フルプッシュしなくても、いいタイムが出てくれました」と、勝因を分析した。最終日、ドライタイヤを履いて逆転を狙った吉原は「2本目は大倉選手がウエットで行っていたので、起死回生を狙ってドライで行きました。悔しさが残りますが、そんなに甘くないのはよく分かっています。今回、スタートまでチームには色々と助けてもらいましたし、チャンスがあるのであれば、良い形で返したかったです」と、悔し涙とともにチームへの感謝を語った。

JN-6クラス優勝の清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリスHEV)/ Jun Uruno

JN-6クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)を、SS5でベストタイムをマークした清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)が逆転。最終SSは天野がベストを獲り返すが、清水が4.4秒差で逃げ切り、1983年のDCCSウインターラリー以来となる全日本ラリー選手権勝利を決めた。3位には復活戦を表彰台で飾った海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット)、4位は前戦に続いてホンダ・フィットで参戦した中西昌人/山村浩三が入っている。

絶対王者の天野を破り、待望の勝利を決めた清水は「83年以来の全日本ラリー選手権勝利になりました。やはり天野選手のような目標になってくれる存在が大きかったです。ラリーはこんなに面白いのに、多くの人に知られていないのが残念です。自分のYouTubeで、これからもアピールしていきます」と、満面の笑みで語った。2位に終わった天野は「SS5で、リタイア車を避けるためにマージンを取りすぎたのが敗因です。距離が短いラリーでは影響が大きかったですね。ステージがもう2~3本あれば獲り返せましたが、どうしようもないです」と、肩をすくめながらも、清水の勝利を笑顔で祝福した。

全日本ラリー選手権第4戦 ラリー丹後最終結果
1 JN-1 新井 大輝/松尾 俊亮(シュコダ・ファビアR5) 27:25.4
2 JN-1 勝田 範彦/木村 裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2) +10.5
3 JN-1 奴田原 文雄/東 駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2) +10.9
4 JN-1 福永 修/齊田 美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +18.5
5 JN-1 新井 敏弘/井上 草汰(スバルWRX S4) +40.0
6 JN-1 鎌田 卓麻/松本 優一(スバルWRXSTI) +1:05.9
7 JN-1 眞貝 知志/安藤 裕一(トヨタGRヤリスDAT) +1:06.7
8 JN-2 三枝 聖弥/船木 一祥(スバルWRXSTI) +1:11.8
9 JN-2 小泉 敏志/村山 朋香(トヨタGRヤリス) +1:12.5
10 JN-2 塙 将司/西村 正義(トヨタGRヤリス) +1:13.3


15 JN-3 長﨑 雅志/大矢 啓太(トヨタGR86) +1:23.3
20 JN-4 西川 真太郎/本橋 貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +1:44.1
29 JN-5 大倉 聡/豊田 耕司(トヨタGRヤリスRS) +2:06.0
46 JN-6 清水 和夫/山本 磨美(トヨタ・ヤリスHEV) +2:58.3

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