WRC第6戦ラリーイタリア・サルディニアは、競技初日の5月31日にSS1〜SS4を走行。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが首位に立った。勝田貴元/アーロン・ジョンストンは表彰台圏内まで1.3秒差の4番手で続いたが、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンはSS1でパンクに見舞われ6番手に留まっている。
(以下、チームリリース)
第6戦ラリー・イタリア サルディニア デイ1
オジエが2本のベストタイムでラリー初日をリード
勝田は総合4位、エバンスは総合6位につける
5月31日(金)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリー・イタリア サルディニアの競技初日デイ1が、サルディニア島北西部の「アルゲーロ」を起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が首位に立ち、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合4位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合6位につけました。
2024年のラリー・イタリア サルディニアは、コンパクトな競技スケジュールが採用され、セレモニアルスタートは木曜日の夜にアルゲーロのハーバーで行われましたが、シェイクダウンは通常よりも一日遅い金曜日の午前中に行われ、午後からデイ1として競技がスタート。アルゲーロのサービスパークを起点に2本のステージを各2回走行し、4本のステージの合計距離は77.82kmでした。午前中にイティリのラリークロス・サーキットで行なわれたシェイクダウンでは、オジエが3番手タイムを記録。勝田が4番手タイムをダニ・ソルド(ヒョンデ)と分け合い、エバンスは8番手タイムでした。
午後2時33分からスタートしたオープニングステージのSS1は、好天に恵まれ路面はドライ。道の表面は大量のルースグラベルに覆われ、出走順がはやい選手たちにとっては不利な路面コンディションでの走行になりました。今シーズンはスポット出場ながら、第4戦クロアチア・ラリー、第5戦ラリー・ポルトガルと2戦連続で優勝を飾ったオジエは、今回のサルディニアでも好調を維持。今大会最長となる25.65kmのSS1では、2番手タイムのオィット・タナック(ヒョンデ)に7.7秒差をつけるベストタイムを記録し首位に立ちました。続くSS2では確実性を重視した走りで5番手タイムとなり、差は1.8秒に縮小。しかし、SS1の再走ステージであるSS3では再びベストタイムを刻み、デイ1最終のSS4を3番手タイムで終え、総合2位タナックに4.5秒差をつけ首位で競技初日を締めくくりました。
今回はマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとしての出場となる勝田は、安定した走りで4、5番手タイムを記録。総合3位のソルドと1.3秒差の、総合4位でデイ1を走破しました。また、2番手という不利な出走順でステージに臨んだエバンスは、SS1でスローパンクチャーを喫し8番手タイムに。デイ1は走行距離が短いことから、スペアタイヤを1本しか搭載していなかったため、残る3本のステージを確実性を最優先して走ることになりました。それでも再走ステージでは6、5番手タイムを記録。ドライバー選手権のライバルであるティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と、20.7秒差の総合6位まで順位を挽回してデイ1を終えました。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
全体的にはとても満足のいくスタートを切ることができました。シェイクダウンの時点で、既にセブが大きな自信を持っていることを感じていましたし、実際、彼は非常に力強くラリーをスタートしました。セブが素晴らしいパフォーマンスを発揮し、初日にトップに立てたことを本当に嬉しく思います。貴元はやや慎重にスタートしましたが、どんどんペースを上げていったので、彼にとっても全体的にいい初日になったと思います。残念ながら、エルフィンはステージ開始早々にタイヤにダメージを負ってしまい、以降のステージを走破するために慎重な走りを余儀なくされました。それでも、全体的にはラリー序盤の我々のパフォーマンスには満足しています。なぜなら、このイベントはこれまで我々にとって決して容易なものではなかったからです。明日もきっと厳しい一日になると思いますが、いい戦いを続けたいと思っています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
自分たちにとっては厳しいスタートになってしまいました。1本目のステージ終盤でのパンクは、理想的とは言い難いものでした。また、2本目のステージを2回走行するのも大変でした。なかなかいいフィーリングを感じることができず、スペアタイヤがもう残っていなかったこともあり、慎重な走りをせざるを得ませんでした。そのような状況に、早々に陥ってしまったのはとても残念です。なぜなら、タイヤの摩耗をマネージするのが非常に難しくなってしまったからです。ラリーはまだまだ長く、厳しい戦いが続くと思うので、自分たちは前進を続け、どうなるか様子を見るつもりです。このような路面で学び続け、改善すべき点を見つけ、自分たちが目指している場所に到達できるように努力し続けなくてはなりません。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
トップに立つことができたので、今夜はポジティブなスタートを切ることができたと思います。ゴムがすり減りやすく、タイヤに大きな負担がかかるセクションを含む難しいループを予想していましたが、実際とてもタフでした。とくに、最初のオージロ-テルグのステージを今回の進行方向で走るのは自分にとって初めてのことだったので、なおさら大変でした。それでも、スペアを1本しか搭載しないというアグレッシブなタイヤ選択で初日のステージに臨み、いくつかのセクションでは少しタイヤをケアして走る必要がありましたが、ラリーをリードすることができたので良かったです。今日はポジティブな一歩を踏み出し、明日に向けて最適な走行順を得ることができました。それでも2位との差は僅かなので、明日も激しい戦いが続くと思います。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今夜の順位は決して悪くないと思います。それでも、自分自身の走りには、完全には満足していません。大部分のステージで少し苦戦しましたし、明日、より良い出走順を獲得するために、ひとつ上の順位で一日を終えることができなかったのは少し残念です。それでもまだ先は長いので、明日に向けて自分のドライビングで改善できる点を見つけ、さらに自信を持ってプッシュできるようにする必要があります。明日はミッドデイサービスがないので、日中クルマのセッティングを大きく変更することはできません。そのためドライバーには適応能力が求められますが、そのチャレンジを楽しみにしています。
ラリー・イタリア サルディニア デイ1の結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 53m43.1s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +4.5s
3 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +33.2s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +34.5s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +36.6s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +57.3s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m09.2s
8 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +1m34.6s
9 ピエール=ルイ・ルーベ/ロリス・パスコー (シュコダ Fabia RS Rally2) +1m52.9s
10 ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m03.2s
(現地時間5月31日19時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技2日目となる6月1日(土)のデイ2は、サービスパークを起点に、デイ1よりもさらに東側のエリアでステージが行われます。午前中は2本のステージを各2回走行し、その後パッターダに設定されるタイヤフィッティングゾーンでのタイヤ交換および簡便な整備作業を経て、午後は、午前中よりも南側のエリアで2本のステージを各2回走行。SS9とその再走ステージとなるSS11「モンテ・レルノ」は、有名な「ミッキーズ・ジャンプ」を含むこのラリーのアイコン的な名物ステージです。8本のステージの合計距離は149.00kmと3日間でもっとも長く、全ステージの合計距離の半分以上を一日で走行。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は587.90kmとなります。