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WRCサルディニア:WRCチャレンジプログラム2期生は山本雄紀が完走、小暮ひかるがリタイアと厳しい学び

©山本・サルミネン組 / TOYOTA

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかる、山本雄紀は、5月31日〜6月2日に開催されたWRC第6戦ラリーイタリア・サルディニア(グラベル)に、トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に参戦。小暮は土曜日にクラッシュでリタイア、山本は土曜日のデイリタイアの後に再スタートを果たし、部門31位で完走した。4輪駆動マシンでのグラベルラリー実戦はこれが2戦目というふたりは、今回も貴重な学びを得た。次は7月に開催されるERC、高速グラベルイベントのラリーエストニアに参戦する。
(以下、発表リリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム
2期生の小暮と山本がタフなサルディニア島の道にチャレンジ
厳しいステージの洗礼を受けるも貴重な学びを得る

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、5月31日(金)から6月2日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」に、GR Yaris Rally2で参戦。小暮はクラッシュで土曜日にリタイアを喫し、山本は土曜日のデイリタイアを経て完走を果たしました。

地中海に浮かぶサルディニア島を舞台とするこのラリーは、島北西部の都市「アルゲーロ」を起点とするグラベル(未舗装路)ラリーです。ステージの多くは道幅が狭くもハイスピードで、道のすぐ近くには木や大きな岩が迫り、小さなミスが大きなアクシデントに繋がります。また、路面は目の細かな砂状のグラベルに覆われていますが、その下には硬質な岩盤があり、同じステージを1回目に走行する時と、2回目に走行する時ではタイヤのグリップレベルが大きく変わります。路面温度も比較的高く、タイヤの摩耗に厳しい路面も少なくないため、タイヤマネージメントも非常に重要なラリーとして知られています。

前戦、WRC第5戦「ラリー・ポルトガル」で初めて、4輪駆動のRally2車両でグラベルラリーに臨んだ小暮と山本は、デイ2でリタイアを喫するも貴重な経験を得ました。そして、今回のラリー・イタリア サルディニアでは、ポルトガルでの経験を活かし、さらに多くの距離を走ることを目標にしていました。彼らは確実性の高い走りを心がけ、競技初日となった金曜日の4本のステージを順調に走行。小暮はWRC2カテゴリー18位、山本は19位で初日を終えました。競技2日目のデイ2は、3日間で最長の一日であり、小暮と山本はさらに多くの経験を積むべくデイ2に臨みました。しかし、彼らは1本目のSS5で戦列を去ることに。小暮はコーナー進入時のブレーキングが僅かに遅れ、アウト側の土手に激突。クルマはサービスで修理され翌日に再出走することができる状態でしたが、小暮は右肩に痛みを感じ、検査の結果骨折はしていませんでしたが、大事をとって再出走を断念。残念ながらリタイアとなりました。

小暮・ルフティネン組 / TOYOTA

一方、山本はコーナー内側の茂みの中に隠れていたコンクリート片をヒットし、サスペンションを破損。スペアパーツを搭載していたため自力での修理を試み、再び走れるようにはなりました。しかし、次のステージの出走リミット時刻を過ぎてしまい、デイリタイアを余儀なくされました。翌日、山本は再出走を果たし、日曜日の非常にトリッキーな4本のステージを走破。貴重な経験を積んでラリー・イタリア サルディニアを終えました。

小暮ひかる
サルディニアの道は幅がとても狭く、急なコーナーが連続して現れるなど、ポルトガルとはまったく異なる難しさでした。アイテナリーは通常のWRCイベントよりも少し短かったのですが、それでも選手たちがやるべきことは多くありました。自分は、SS5の狭いセクションでミスをしてしまいました。その直前にハイスピードな区間があり、ペースノートに記していた情報が少し甘かったため、ブレーキが遅れてコーナー外側の何かにぶつかってしまいました。メカニックたちは素晴らしい仕事でクルマを直してくれましたが、ラリーに復帰することはできずとても残念でした。次のラリーに向けて、何が起こったのか分析し、学ばなくてはなりません。

山本雄紀
ラリーを最後まで走り切ることが最大の目標だっただけに、複雑な気持ちです。土曜日の朝、レッキでは見つけることができなかった、茂みの中に隠れていたコンクリート片にぶつかってしまいました。ステージの途中で止まり、何とか自力でクルマを修理したのですが、次のステージのスタートリミットに間に合いませんでした。ポルトガルでは長い距離を走るチャンスを失い、サルディニアでは全てのステージを走り切ることがとにかく重要だっただけに、ダブルで失望を感じました。日曜日に再出走したときは、全てのコーナーから学び、パワーステージはこれまで走った中で最もラフな道でしたが、より良いフィーリングを感じて走ることができました。距離は短かったとはいえ、いい経験になりました。次回はもっと我慢強く、そして賢く走らなければならないと実感しました。

山本・サルミネン組 / TOYOTA

ユホ・ハンニネン(インストラクター):
金曜日はふたりともミスも問題もなく走り、いいスタートを切りました。土曜日に関しては、1本目のステージが大きなチャレンジになるであろうことは、我々もドライバーたちも十分理解していました。恐らく、今回もっともトリッキーなステージだったと思います。非常に残念なことに、とても貴重な経験になったであろう、その後の150km近いステージを彼らは走ることができませんでした。ただし、経験が十分ではない時は、いくら注意をしていてもミスをしてしまうものです。彼らにとって、今回のようなテクニカルなグラベルラリーへの出場は、クルマの種類に関係なく初めてでした。また、Rally2は、これまで彼らが乗ってきたクルマと比べるとかなり大きなステップアップです。そのため、現時点では大きなチャレンジであることは間違いなく、今後、様々な路面やタイプが異なる道で経験を積むためにはどうするべきか、考えなくてはなりません。雄紀は日曜日に再出走し、独特なコンディションのステージを経験することができました。きっと驚くようないい経験になったでしょうし、知らない道やコンディションを学ぶためには、ただ普通にステージを走り切ることがいかに重要か、気づいたのではないかと思います。次戦のエストニアは彼らが知っているステージにより近いラリーなので、彼らにとってイージーかつ、いいイベントになることを願っています。

ラリー・イタリア サルディニアの結果(WRC2クラス)
1 Sami Pajari/Enni Mälkönen (Toyota GR Yaris Rally2) 3h13m19.0s
2 Yohan Rossel/Benjamin Boulloud (Citroën C3 Rally2) +32.3s
3 Jan Solans/Ricardo Sanjuán (Toyota GR Yaris Rally2) +39.3s
4 Martin Prokop/Michal Ernst (Škoda Fabia RS Rally2) +2m52.0s
5 Kajetan Kajetanowicz/Maciej Szczepaniak (Škoda Fabia RS Rally2) +2m55.9s
6 Robert Virves/Aleks Lesk (Škoda Fabia RS Rally2) +3m18.5s
31 山本 雄紀/マルコ・サルミネン (Toyota GR Yaris Rally2) +1h22m45.3s
R 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2)

■次回のイベント情報
小暮と山本の次戦は、7月5日から7日にかけて開催されるFIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦「ラリー・エストニア」です。ラリー・エストニアのステージは、流れるようなコーナーが続くハイスピードなグラベルで、南ヨーロッパのラフで速度がやや低いラリーとは大きく異なります。彼らにとっては初めて出場するERCイベントとなり、Rally2車両が最上位クラスとなるERCにおいて、ふたりがドライブするGR Yaris Rally2は、総合優勝を狙うことも可能なトップカテゴリー・ラリーカーとなります。



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