全日本モントレー:初の国道占有SSで話題の一戦、新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で圧勝 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本モントレー:初の国道占有SSで話題の一戦、新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5で圧勝

©Tadayoshi Nakajima

■レグ2
ラリー2日目は「Sakamaru(8.02km)」と「Grandma.Kimura(12.54km)」の2SSを、サービスを挟んでリピートする4SS、41.12km。サービスをスタートした時点でのコンディションはドライとなったが、空には低く雲が立ち込めており、突然の雨に見舞われる可能性もある。前日、足まわりを壊した福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)はマシンを修復し、無事再出走を果たした。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5) / Hiroaki Ibuki

首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は、初日の段階で2番手につける勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)に19.2秒差をつけており、「レグポイントを考える必要がありますが、無理をするタイム差ではありません」と冷静にコメントし、サービスを後にした。3番手の田口勝彦/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)を挟み、4番手の奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)と5番手の新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)の差は8.8秒と、こちらはまだ分からない。

この日最初のSS7は、新井大輝が勝田に4.2秒差の一番時計。続くSS8も勝田を0.7秒上まわる連続ベストタイムを刻み、その差を24.1秒に広げてサービスへと戻ってきた。新井敏弘と4番手を争う奴田原は、ふたつのSSをサードベストでまとめ、こちらもアドバンテージを19.3秒に拡大している。

サービスを挟んだ午後のセクション。心配された降雨はなく、新井大輝は残されたステージでもベストを並べ、終わってみれば最終日の全SSでベストタイムを獲得。前戦丹後に続く今シーズン3勝目と、レグポイントを含めたフルポイントを持ち帰った。30.0秒差の2位に勝田、1分31秒6差の3位には田口が入り、今回もR5/ラリー2勢が表彰台を独占している。

奴田原が1分59秒8差の4位。奴田原に差を拡大されてしまった新井敏弘は、2分19秒9差の5位。3分9秒5差の6位に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)、4分55秒8差の7位に眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)が入った。

選手権制覇に向けて貴重なポイントを積み重ねた新井大輝は「大きなトラブルもなく、無事にフィッシュすることができました。今回フルポイントを獲得できたことは、選手権を考えても大きかったです。この後のグラベルラリー2戦も参戦する予定です」と、喜びを語った。

Hiroaki Ibuki

新井大輝のスピードを前に敗れた勝田は「頑張ったけど、ダメでしたね……。最後のループは、タイヤをソフトに変えて攻めてみました。フィーリングは良かったんですが、大輝選手の方が速かったですね。結果がついてこなかったですし、課題がいくつも見つかりました」と、悔しさをのぞかせた。

ラリーチーム・アイセロは、次戦から療養を続けていたヘイキ・コバライネンが復帰を予定。ラリー2での最後の参戦を3位表彰台で締めくくった田口は「シーズン2回目のポディウムですが、今回の方がいい走りができたし、出来も良かった気がします。奴田原さんと新井さんの上にいけたこともうれしいですね。次はヘイキが戻ってくると思うので、壊さずにバトンを渡せたのが一番です。ラリー2は楽しかったし、いい経験をさせてもらいました」と、チームへの感謝を語った。

JN-2クラス優勝の大竹直生/竹藪英樹(トヨタGRヤリス) / Jun Uruno

JN-2クラスは、オープニングのSS7で前日3番手の山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)が、三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)に0.8秒差のベストを刻む。これで初日首位の小泉敏志/村山朋香(トヨタGRヤリス)は3番手にポジションダウンし、三枝がクラス首位に、山田がクラス2番手に続いた。4番手の大竹直生/竹藪英樹(MCC:トヨタGRヤリス)までが、2.5秒差内で争う大混戦だ。続く12.54kmのSS8は小泉がベストをたたき出し、クラス首位を奪還。2番手に山田、3番手に大竹、4番手に三枝と順位が激しく入れ替わる。

サービスを挟んだ午後のセクション、SS9ではこの日初ベストの大竹がトップに浮上。3.8秒差で三枝、さらに0.8秒差で小泉が続く。MORIZO Challenge Cupのタイトルを重視した山田はペースを抑え、ポジションキープに切り替える。迎えた最終SS、三枝が3.1秒差をつける渾身のベストタイムをたたき出すが、大竹がわずか0.7秒差で首位の座を守り切り、JN-2クラスとMCCでの今季初勝利を達成した。2位に三枝、全日本初優勝まで目前というところまで迫った小泉は、大竹に11.8秒差の3位。JN-2クラス4位/MCC2位に入った山田は、MCCの初代チャンピオンとして暫定表彰を受けた。

厳しいシーズン前半戦を経て、ついに勝利を手にした大竹は「ようやく優勝できたことにホッとしています。アクシデントやトラブルなど厳しいラリーが続いていたので、本当にうれしいです。今回、チームの皆さんからは『全開でアタックしてこい』と言っていただきました。それもあって、スタートから楽しく走ることができました」と、喜びを爆発させた。僅差でシーズン4連勝を逃した三枝は「最後はフルプッシュして、いいまとめができました。3連勝中の意地は見せられたと思います。見ていても面白かったはずですし、4台で攻め合ってすごく楽しかったです」と、笑顔で振り返った。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) / Jun Uruno

JN-3クラスは、この日も山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)と長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)がベストを獲り合う展開。オープニングのSS7は山本、SS8は長﨑、サービスを挟んだ SS9は山本が一番時計をマークする。4.4秒差で迎えた最終のSS10は長﨑がベストを刻むが、山本が3.8秒差で逃げ切り、開幕戦三河湾以来となるシーズン2勝目を手にした。3位の上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)は、山口清司/澤田耕一(トヨタGR86)を3.4秒差で抑え切り、苦手と公言するターマックで3位表彰台を獲得している。

長﨑と緊張感のあるバトルを制した山本は「最後に競り勝った感じですね。今まではセットアップを変えても、あまりいい方向に行かなかったんですが、初日からサービスごとにセットアップを変えて、少しずつタイムを上げることができました。この後のグラベルはポイント係数が高いので、絶対に落としたくないです」と、早くも意識は次戦カムイに向かっている。一歩届かなかった長﨑は「手の届くところにあっただけに、正直悔しいです。何かクルマの不調ではなく、ドライバーの差だと今回は分析しています。それでもシリーズを考えると、2位は悪くない結果だと思っています」と、コメントしている。

JN-4クラス優勝の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno

JN-4クラスは、初日首位の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が、この日すべてのステージを制し、前戦丹後に続く連勝を飾った。2位は前戦でのクラッシュの影響を感じさせない走りを披露した高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)、3位には筒井克彦/石田裕一(スズキ・スイフトスポーツ)が入っている。

ラリーウイーク中に誕生日を迎えた西川は「最終日のSSも群馬のラリーで使っていたので、比較的有利に戦うことができましたね。2ループ目は路面コンディションが悪くなりましたが、タイム差があったので安全なペースで走ることができました」と、喜びを語った。2位で走り切った高橋は「まずは完走して良かったです。チームにしっかりとマシンを直してもらって感謝しています。ここで優勝は難しいと思っていましたし、3位に入れれば、タイトルも見えてくると思っていたので、2位という結果は上々です」と、チームへの感謝を口にしている。

JN-5クラス優勝の嶋村徳之/小藤桂一(トヨタ・ヤリス) / Jun Uruno

JN-5クラスは、初日トップの嶋村徳之/小藤桂一(トヨタ・ヤリス)がペースをコントロールし、残されたステージでも安定した走行を披露。トップフィニッシュを果たし、うれしい全日本ラリー選手権初勝利を決めた。熾烈を極めたのは、0.9秒差で前日を折り返した松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)と大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)による2番手争いだ。SS7は松倉がベストを獲り、大倉との差を0.9秒から4.2秒に拡大。SS8は大倉が制し、逆に4.2秒差をつけて2番手を奪取する。SS9は大倉が総合でも19番手に入る渾身の走りで連続でベストタイムをマークし、最終ステージを前に8.1秒にまで拡大する。最終のSS10は松倉が意地のベストをたたき出すが、大倉に3.3秒届かず。大倉が2位表彰台を持ち帰った。

地元イベントで全日本初勝利の嶋村は「文句なく、最高にうれしいです。今シーズンから全日本への挑戦をスタートして、やっと勝てました。今回は碓氷峠もありましたし、地元で負けないぞ……と頑張りました。初日のマージンを生かしつつ、無事に1位で戻ってこられて良かったです」と、満面の笑みで喜びを語った。松倉との激戦を制して2位を獲得した大倉は「松倉選手の上でフィニッシュしないとシリーズ争いが厳しくなってしまうので、本当に良かったです。SS10はシステムを立ち上げる前にスタートしたり細かいミスが色々とありましたが、レグポイントも獲得できたのでよかったです」と、安堵の表情で語っている。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) / Hiroaki Ibuki

JN-6クラスは、初日トップの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が全ステージを制して、第3戦以来となるシーズン4勝目。2位に清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)、3位に鷲尾俊一/菅野総一郎(ホンダCR-Z)、4位に中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z)と、初日のオーダーでラリーを終えている。

危なげなく2戦ぶりの勝利を決めた天野だが「勝てたのは良かったですが、今回はたくさん課題も見つかりました。それを今後のラリーに向けてどのように潰していくか、次戦までのインターバルを使って考えたいです。グラベル2戦は、ここまでのターマックとは異なることを行う必要があるでしょうし、頭を使うことになりそうです」と、グラベルに向けて課題を語っている。

全日本ラリー選手権第5戦モントレー 最終結果
1 JN-1 新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)1:19:45.7
2 JN-1 勝田範彦/木村裕介(トヨタ GRヤリス・ラリー2) +30.0
3 JN-1 田口勝彦/北川紗衣(トヨタ GRヤリス・ラリー2) +1:31.6
4 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(トヨタ GRヤリス・ラリー2) +1:59.8
5 JN-1 新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4) +2:19.9
6 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +3:09.5
7 JN-1 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT) +4:55.8
8 JN-1 柳澤宏至/竹下紀子(トヨタGRヤリス) +5:20.7
9 JN-2 大竹直生/竹藪英樹(トヨタGRヤリス) +5:47.0
10 JN-2 三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI) +5:47.7


14 JN-3 山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) +6:45.1
18 JN-4 西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +7:20.6
23 JN-5 嶋村徳之/小藤桂一(トヨタ・ヤリス) +8:26.2
41 JN-6 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) +14:02.5

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