6月21日〜22日に開催されるベルギーラリー選手権イープルラリーに、フレディ・ロイクスがトヨタGRヤリス・ラリー2で参戦する。今回は、マシンがGRヤリス・ラリー2になるだけでなく、コ・ドライバーシートには、PTRレーシングのチームボスでドライバー、コ・ドライバーの両方でイープルラリーの優勝経験を持つピーター・チューンを迎える。
イープルラリーでは、これまでに通算10勝をマークしているロイクス。1996年に初優勝を飾った際にドライブしたのは、トヨタ・セリカだった。
「GRヤリス・ラリー2に乗るというアイデアは、チューンが出したもの。ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタのWRCチーム代表)を通じて、WRCクロアチアが開催された時に、ターマックでテストをする機会に恵まれた。この時は完全にテストで、この時はチームがテストをするだけでなく、彼らは自分からのフィードバックにも興味があったようだ。あの一日を終えて、GRヤリス・ラリー2で出ることを決めた。自分のキャリアの中で、テストドライバーも何度も務めてきたので、この経験を活かすことができる」とロイクスは経緯を語っている。
初めて乗るのがクロアチアだったのは、苦労が伴ったようだ。「調整がこんなに難しいとは思っていなかった。3気筒ターボエンジンなので、これまで自分がドライブしてきたクルマとはまったく違う。エンジン音で混乱してしまう。シフトチェンジのタイミングを測るために、シフトランプを見なければならない。4気筒エンジンなら、感覚的にできるんだけどね。それに、どれだけのトルクとパワーが来ているのか、音やスピードで把握することもできない。だから、調整が大変だ」
ロイクスは、シュコダで10年以上テストドライバーを務めており、数々のラリーカーの開発に携わってきた。しかし、今回のことがトヨタのテストドライバーとしてのセカンドキャリアの始まりになるわけではなさそうだ。
「それはないね。自分にはそれを務める時間がないから。でも、GRヤリス・ラリー2は、今年のモンテカルロでのデビュー以来、格段に進化している。この5カ月、チームはたくさんの経験やデータを収集して、マシン開発に注入してきた」
昨年のイープルラリーでは、一時ベルギー勢最上位につけてポディウム目前だったロイクスだったが、パンクに見舞われて逃している。
「今年はラリーに出る回数が少ないから、リズムもつかみにくい。それに、短い時間でGRヤリス・ラリー2を自分好みに仕上げなくてはならない。あまりリザルトは気にしていない。今年のベルギー選手権は争いが厳しいことも分かっているからね」
今季のベルギー選手権は、ロイクス自身が指南するニールス・レインボエット(シトロエンC3ラリー2)がシリーズリーダーに立っている。
「ニールスにはポテンシャルがある。3年前は雨が降ってトップドライバーがみんなリタイアを喫したなかで、ベストタイムをマークした。あの頃はパフォーマンスがまだ安定していなかったが、それも経験。彼は、自転車レースでも長い経験を持っている。今では成長して落ち着きを持ち、攻めどころや限界点も分かるようになった。ラリーを通して、どんなペースでプッシュできるかを判断するセンスがいい」
WRCイベントとして開催されたこともあるベルギー選手権最大級イベント、イープルラリーは、6月21日(金)午後にセレモニアルスタートを行った後、夕方から競技がスタート。この日は4SSを2ループする8SSを走行する。22日(土)はさらに10SSが設定されている。
エントリーは部門1と土曜日のみ走行する部門2に分かれ、それぞれ93台、46台と多数の参戦を集めている。