WRCポーランド事前情報:高速グラベル3連戦の初戦、ハイブリッドなしラリー1が初登場 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCポーランド事前情報:高速グラベル3連戦の初戦、ハイブリッドなしラリー1が初登場

©FIA

WRCは、今週開催される第7戦ラリーポーランドから高速グラベル3連戦が始まる。前戦ラリーイタリア・サルディニアではタフでテクニカルなグラベル路面との格闘が繰り広げられたが、ここからはポーランド、ラトビア、フィンランドと、エキサイティングな夏イベントが続く。

昨年、ERCラウンドとして開催されたこのイベントを制したマルティン・セスクは、24歳になる今年、初めてラリー1マシンでの参戦に挑む。今回、セスクがドライブするフォード・プーマ・ラリー1は、ハイブリッドユニットを搭載しない状態での参戦となる。今季から規定では、ハイブリッドユニットの代わりに、ユニットに相当する重量のバラストを積載しての参戦を認めている。この規定は、ラリー2からラリー1へのステップアップを目指すドライバーの後押しとなることを目的にしている。セスクは、7月に母国で開催される次戦ラトビアでは、ハイブリッドユニットを搭載した通常のラリー1マシンで参戦する予定だ。

ラリーポーランドは、初開催が1921年で今回が80回目と長い歴史を誇る。1973年にWRCが創設された際にもカレンダーに含まれていた古参イベントだ。WRCラウンドとしての開催は2017年以来となる。

4WD車両に供給する公式タイヤサプライヤーのピレリは、ポーランドにはスコーピオンKXのハードとソフト、2種類のコンパウンドを用意。第1選択肢は冷涼で湿ったコンディション向けのソフト、第2選択肢として気温が上がりドライ用のハードを用意する。ラリー1車両に認められる使用本数は、木曜日のシェイクダウンを含めて28本。

■エントリー状況
ヒョンデ・シェル・モビスWRT:6戦を終えてティエリー・ヌービルはドライバーズ選手権首位をキープ。ヌービルは2017年にWRCポーランドを制している。前戦サルディニアで逆転優勝を飾ったオイット・タナックは、ドライバーズ選手権2番手に浮上してポーランドを迎える。3台目のヒョンデi20Nラリー1ハイブリッドのドライバーには、同じくラリーポーランド優勝経験者のアンドレアス・ミケルセンを起用する。

トヨタ・ガズーレーシングWRT:ラリーポーランド通算2勝のセバスチャン・オジエをエントリーしていたが、火曜日のレッキ中に一般車との交通事故により欠場。急遽、カッレ・ロバンペラを招集した。ロバンペラのラリーポーランド参戦は、今回が初めて。レギュラードライバーのエルフィン・エバンス、勝田貴元とともにトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドで戦う。

Mスポーツ・フォードWRT:アドリアン・フルモーは、ドライバーズ選手権5番手で高速グラベルラリーを迎える。グレゴワール・ミュンステールはポーランド初参戦だが、前戦サルディニアでは自己ベストの5位フィニッシュを果たしている。前述のとおり、昨年のラリーポーランド(ERCラウンド)の覇者、セスクが、ハイブリッドなしのプーマ・ラリー1でトップカテゴリーでの初参戦に臨む。

■サポートカテゴリー
WRC2部門には23台がエントリーしているが、現在選手権で首位、2番手につけるヨアン・ロッセル、ヤン・ソランスは、ポイント対象にノミネートしていない。選手権にノミネートしているオリバー・ソルベルグ、サミ・パヤリ、ニコライ・グリアジン、ガス・グリーンスミスは、いずれも今季1勝ずつ挙げており、ポーランドでは混戦が見込まれる。モータースポーツ・アイルランド・ラリーアカデミーの支援を受けるジョシュ・マクリーンはポルトガルでWRC2のポディウムに上がっているほか、その後に続いたラウリ・ヨーナもポーランドの登場する。

ポーランドの英雄、カエタン・カエタノビッチは、ERCでは3回タイトルを獲得している。同郷のミコ・マルチェクは、ポーランド選手権を2回制している。いずれも、ラリーポーランドの優勝経験者だ。ドイツのアルミン・クレマー、ポーランドのミカル・ソロウは、WRCマスターズカップにエントリーしている。

WRC3部門には10台がエントリー。2025年のWRC昇格が発表されたパラグアイからは、ディエゴ・ドミニゲスが登場。そのほかチェコのヤン・チェルニー、地元ポーランドのヤコブ・マツルカが参戦する。

■ラリールート

TOYOTA

首都ワルシャワから北にクルマで3時間ほど、絵画のように美しいマスリア湖水地方のミコワイキを拠点とする今年のラリーポーランドは、2023年の開催から大きく変わった。昨年から変更がないのは、ミコワイキ・アリーナとSwietajnoのみとなる。

ミコワイキ中心の広場で伝統のセレモニアルスタートを行った後、競技は27日木曜日、サービスパークに隣接するミコワイキ・アリーナに特設される2.50kmのコースでの2台並走のバトルから始まる。

金曜日はStanczyki、Wieliczki、Oleckoの3本を、オレッコでのタイヤフィッティングゾーンを挟んで2回ループ。Stanczykiは29.40kmとイベント最長ステージ。Oleckoは、有名なロソチャッキージャンプが待ち受けるが、ステージの走行方向は前回と逆になる。この日は、ミコワイキ・アリーナの2回目の走行で締めくくられる。

土曜日は、124.10kmとイベント最長のステージ距離が設定される。この日も、Swietajno、Goldap、Czarneと3本を2ループした後に、ミコワイキ・アリーナの3回目で締めくくる。

日曜日は、Gmina MragowoとMikolajkiを2回ずつ走行。10.73kmのMikolajkiは、2回目の走行がパワーステージに指定されている。

■ラリーデータ
開催日:2024年6月27日〜30日
サービスパーク設置場所:ミコワイキ
総走行距離:1375.64km
総ステージ走行距離:303.16km(SS比率22.0%)
総SS数:19

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]

エルフィン・エバンス(#33)
カッレ・ロバンペラ(#69)
勝田貴元(#18)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
オィット・タナック(#8)
アンドレアス・ミケルセン(#9)

[Mスポーツ・フォードWRT]
アドリアン・フルモー(#16)
グレゴワール・ミュンステール(#13)

■2023年ラリーポーランド最終結果
1 M.セスク/R.フランシス(シュコダ・ファビアRSラリー2)1:34:57.8
2 H.パッドン/J.ケナード(ヒョンデi20Nラリー2) +39.6
3 M.マルチェク/S.ゴスポダルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:04.9
*ERCとしての開催

■近年のウイナー
2023年 M.セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)
2022年 M.マルチェク(シュコダ・ファビア・ラリー2Evo)
2021年 A.ルキヤナク(シトロエンC3ラリー2)
2020年 Covid-19により開催キャンセル
2019年 A.ルキヤナク(シトロエンC3 R5)
2018年 N.グリアジン(シュコダ・ファビアR5)
2017年 T.ヌービル(ヒョンデi20クーペWRC)
2016年 A.ミケルセン(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)
2015年 S.オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)
2014年 S.オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)



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