TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は6月28日〜30日、陸別サーキットで『MORIZO Challenge Cup』(MCC)のエントラント向けに、グラベルトレーニングを行った。2月に富士スピードウェイで行った合同トレーニングと同様、講師としてフィンランドのTGR-WRTからヨウニ・アンプヤとマルコ・サルミネンが参加し、各選手にアドバイスを送った。
現在、国内では舗装路で開催されるラリーが多くなっており、MCCに参戦するドライバーたちも、グラベルラリーの参戦経験は限定的、あるいはまったくないという状況だ。「世界のラリーでの活躍を目指すためには、グラベルでの経験は必須」というTGR-WRTからの提案もあり、経験を積む環境を整えるのが難しいグラベルトレーニングの場をTGRがサポートする形となった。今回の練習会には、マーシャルスタッフ、メカニックとしてトヨタの凄腕技能養成部、トラッキングスタッフとしてRALLY STREAM、そしてシリーズにタイヤを供給するダンロップがサポートとして参加するなど、万全の体制が整えられた。
初日はペースノート作成のトレーニングから開始。クルーのレッキ車にトレーナーが同乗し、占有した近隣の林道を2回走行してレッキを行った。グラベル路面でペースノートを作成するのは初めてというクルーも多く、トレーナーからのアドバイスを受けながら、コーナーの角度やストレートの距離、形状の表現など様々なスキルを積んだ。また、日没後にも同じ道をコンボイで走り、夜間のレッキを実施した。この意図についてトレーナーは「昼間には見えない路面状況が、夜間にライトを照らしながら見ると、細かいクレストやアンジュレーションが見える。そのことを経験してもらいたかった」と伝えている。
2日目は、陸別サーキットでトレーニングを実施。オフロードサーキットのショートコースではサルミネンがレッキ車に同乗して、再びグラベルでのペースノート作成。スラロームコースでは、TGRが用意した2台のGRヤリス・ラリーカーを使い、アンプヤ同乗のもとでグラベルでの基礎的な運転技術を学んだ。午後は、ショートコースを使ってラリーカーでの走行トレーニング。連続で走行することで、ラリーのステージ1本分を想定した距離を走行した。
ステージコースにも意図的にパイロンをおいてスラロームセクションを設定した。アンプヤは「ここでは荷重移動を意識してください。今日のコースはそれほど速度は高くありませんが、速度域が上がってくると荷重移動がより重要になるので、確認しながら身に付けていってください」とアドバイス。また、練習会全体のポイントとして「今回はタイムは気にせず、グラベル路面での経験を積みフィーリングをつかむことに集中してください。みんなでラリーカーを共有しているので、責任を持って走行してください」と、指示を与えた。最終日の3日目は、前日のショートコースを逆走で使い、コースをレッキした後に実走。午後には総まとめとして、サーキット周辺の林道を走行し、トレーナーが外から走りを確認した。
トレーニングの締めくくりとしてアンプヤは「今回のトレーニングで、要所要所を取り出してみると、それぞれに課題が見つかったと思います。今後、そのひとつひとつをつなげて練習していくことで、ラリーのステージでのドライビングにつながっていくと思います」とまとめた。
アンプヤとサルミネンは、10月18日〜20日に開催される全日本ラリー選手権最終戦ラリーハイランド(ターマック)の際にも来日することが伝えられた。トレーナーのふたりは2月の合同トレーニング以降は、参戦時のオンボード動画をチェックしながらリモートでサポートを行ってきたが、MCC勢のラリー参戦現場に帯同するのは、これが初めてとなる。