2024年シーズン全日本ラリー選手権第6戦「2024 ARKラリー・カムイ」の初日は、7月6日(土)に6カ所のスペシャルステージを走行。トップカテゴリーのJN-1クラスは、新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)が、勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)に26.3秒差をつけて、初日トップに立った。34.1秒差の総合3番手には新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)がつけている。
開幕から5戦連続でターマックイベントが開催されてきた全日本ラリー選手権は、第6戦カムイでシーズン初のグラベルラリーを迎えた。ラリーは今年も『ニセコアンヌプリ国際スキー場』駐車場にサービスパークを設置し、北海道虻田郡ニセコ町周辺のグラベル路を走行する。
SS総走行距離は2日間合計で90.90km、グラベルラリーのため、ポイント係数は1.2が掛けられる。初日は「STREAM(7.13km)」、「SCHUNK REVERSE(5.32km)」、「MAGNOLIA REVERSE (7.94km)」の3SSを、午前と午後でリピートする6SS、40.78kmを設定。SS3/SS6が行われる「MAGNOLIA REVERSE」は、コース内に舗装セクションが含まれており、多くのクルーが勝負の鍵になると指摘している。
ラリーチーム・アイセロは、上行大動脈瘤の開胸手術を受けシーズン前半を欠場していたヘイキ・コバライネンが復帰。田口勝彦からバトンを受け、北川紗衣とコンビを組み、待望のトヨタGRヤリス・ラリー2のステアリングを握る。ジョギングなどのリハビリを経てはいるものの、手術後初のラリーカーでの実戦となるため、少しずつペースを上げていくことになりそうだ。また、事前テストにおいて、シュコダ・ファビア・ラリー2 Evoをクラッシュさせていた福永修/齊田美早子は、マシンを修復。無事にステージへと向かった。
曇天となった初日、朝から小雨が落ちており、路面の一部が濡れている状態だ。SS1でベストタイムをマークしたのは、丹後、モントレーと2連勝中の新井大輝。3.7秒差の2番手に新井敏弘、4.2秒差の3番手に福永、5.1秒差の4番手に勝田、7.3秒差の5番手に奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)が続く。
新井大輝はSS2とSS3でも連続ベスト。SS2で総合2番手に浮上した勝田に、午前中のループだけで13.4秒差をつけてみせた。16.6秒差の総合3番手には新井敏弘、17.0秒差の総合4番手に奴田原、19.9秒差の総合5番手に福永と、2番手以下は僅差の争いとなっている。今回がGRヤリス・ラリー2初ドライブとなるコバライネンは41.2秒差の総合6番手につけている。
サービスを挟んだ午後のセクション。雨が強さを増し、さらに最初のループで深い轍が刻まれた中でも新井大輝はペースを落とすことなく、SS4で新井敏弘に6.5秒差、SS5で勝田に1.9秒差、SS6でも勝田に1.7秒差をつける一番時計。終わってみれば、この日行われたすべてのステージを制し、2番手以下との差を26.3秒に広げて初日を終えた。
「午後は轍の走り方を模索しながらになりました。それでも2番手と約26秒差なので、全体としては悪くないですね。明日もしっかりこのペースを維持して、レグポイントも狙って行きたいです。ただ、久しぶりのグラベルなので、どの程度ペースをキープすればいいのか、まだ探っている状態ですね」と、新井大輝は振り返った。
2番手を走行する勝田は、路面コンディションを警戒したSS4で新井敏弘に0.4秒差にまで迫られた場面があったものの、その後連続セカンドベストをマークし、新井敏弘との差を7.8秒として初日を終えた。
「午後の1本目は雨が強くなってコンディションが危険だったので、かなり抑えて走りました。道の状況は最初のループよりも悪かったほどです。あと、クルマに少しトラブルが出ているようなので、サービスでしっかり直します。大輝選手がかなり速いので、明日は追いつくのは厳しいかもしれませんね」と、勝田は厳しい表情を見せている。
スバルWRX S4での待望のグラベルラリーに挑んだ新井敏弘は、コンスタントにトップ3のタイムを並べ、首位から34.1秒差の3番手につける。39.9秒差の4番手に奴田原、40.8秒差の5番手に福永と続き、復帰戦のコバライネンは、1分7秒5差の6番手。「マシンのフィーリングもいいし、ここに戻ってこられて嬉しいよ。僕はグラベルが得意ではないけれど、復帰戦としては今のところうまくいっている」と、コバライネンは笑顔を見せた。