全日本ラリーカムイ:新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5での初のグラベルラリーを完勝 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリーカムイ:新井大輝/松尾俊亮がシュコダ・ファビアR5での初のグラベルラリーを完勝

©Jun Uruno

■レグ2
ラリー2日目は「NEW SUN-RISE(3.64km)」、「STREAM(9.11km)」、「ORCHID SHORT(12.31km)」の3ステージを、サービスを挟んでリピートする6SS、50.12km。SS9/SS12として行われるORCHID SHORTは、今回最長の12.31kmを走行するだけでなく、前日の「MAGNOLIA REVERSE」同様に舗装セクションが含まれており、特に路面が汚れる2回目の走行では注意が必要となる。

前日に続き、この日も朝から断続的に雨が降っており、コンディションはウエット。首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は、初日だけで2番手の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)に26.3秒のアドバンテージを確保しているが、それでも「タイトルのためには、レグポイントも獲らなければならない」とペースを緩めるつもりはない。

その言葉どおり、新井大輝はオープニングのSS7では奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)に2.4秒、勝田に2.8秒差をつける一番時計。このステージでは前日まで3番手につけていた新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)が、ミスによりコースオフを喫し、走行復帰までに30秒近くをロス。これで新井敏弘は5番手にドロップし、代わって奴田原が3番手、福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が4番手に順位を上げた。

新井大輝はSS8とSS9でも連続ベストを並べ、2番手勝田との差を41.7秒に拡大。午前中の全SSでセカンドベストを記録した奴田原が、勝田との差を10.3秒に縮めている。以下、4番手に福永、5番手に新井敏弘、6番手にヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)、7番手に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)のオーダーで続く。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5) / Takuji Hasegawa

サービスを挟んだ2ループ目。雨は止んだものの、依然として滑りやすいコンディションのなか、新井大輝は残された3本のSSでもベストタイムをマーク。特に最終のSS12は電装系トラブルの兆候が見られるなかでもスピードを緩めることなく走り切り、2番手勝田との差を1分00秒8にまで広げてみせた。

勝田はSS10こそコバライネンに2番手タイムを奪われたものの、SS11、SS12とセカンドベストを刻んで奴田原を引き離して、2位でフィニッシュ。奴田原は前日からひとつ順位を上げて、1分13.6秒差の3位表彰台を獲得した。1分42秒4差の4位に福永、表彰台圏内を守れなかった新井敏弘は1分57秒4差の5位。鎌田は前日からひとつ順位を上げ、3分37秒6差の6位でラリーを終えた。今回、GRヤリス・ラリー2での初参戦となったコバライネンは、最終SSの序盤でブレーキトラブルに見舞われてスローダウン。首位から9分46秒5差の11位ながらも復帰戦を走り切っている。

JN-1クラスの表彰式 / Hiroaki Ibuki

久々のグラベルラリー、R5マシンでは初の路面で完全勝利を飾った新井大輝は「改善点はまだありますが、その中でもまとめることができました。もっと速く走らせるためにどうすればいいのか、具体的に理解できたのは大きな手応えになりました。あらためてファビアR5はバランスの取れた、すごくいいクルマだと実感しています」と、笑顔で語った。

新井大輝に1分以上も離された勝田は「マシンのポテンシャルはあるんですが、僕がそれを出し切れていない。ラリー北海道に向けて、セッティングだけでなくドライビングも含めて色々と考え直していきたいと思っています」と、悔しさをにじませた。3位表彰台の奴田原は「今回、勝田選手と同じレベルで走れるようになりました。次は、それ以上のスピードで走るにはどうすべきか、ラリー北海道に向けて考えます」と収穫を語っている。

JN-2クラス優勝の松岡孝典/北田稔(トヨタGRカローラ) / Jun Uruno

JN-2クラスは、約10秒のアドバンテージを持って最終日を迎えた首位の松岡孝典/北田稔(トヨタGRカローラ)が、朝のサービスアウトに遅れてしまい、SS7のスタートTCに1分の遅着。これで10秒のペナルティを課されてしまう。これで逆転も見えてきた2番手の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)はSS8でベストタイムをマーク。しかし、直後のSS9で右リヤアッパーアームが破断してしまい、ステージは走り切ったもののラリー続行はかなわず、悔しいリタイアとなった。これで石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)が2番手、長尾綱也/尼子祥一(スバルWRX STI)が3番手にポジションアップ。首位の松岡は残された3つのSSもベストでまとめ、うれしい全日本初勝利を決めた。2位には開幕戦三河湾以来の表彰台となった石川、3位には自身初の全日本参戦に挑んだ長尾が表彰台に上がっている。

ラリーを通して「粛々と走り切るだけ」と徹してきた松岡は「全日本で勝つのは今回が初めてですし、GRカローラも初優勝となり、本当に良かったです。今朝はサービスアウトで遅れたことで10秒のペナルティを科されて振り出しに戻りましたが、途中から楽な展開になりましたね」と喜びを語った。久々の表彰台となった石川は「チームに良い結果を持ち帰りたかったので、しっかりペースを抑えて走りました。大人の走りですね(笑)。勝てなかったのは少し悔しいですが、ラリー北海道ではもっと上で勝負できるように頑張ります」と、次戦への意欲を語った。

JN-3クラス優勝の曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86) / Takuji Hasegawa

JN-3クラスをリードする山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)は、前日に続きウエットとなった最終日も順調に走行。SS7からSS9まで3連続ベストを記録し、この日を迎えた段階で16.0秒だった曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)との差を27.9秒に拡大する。山本は、サービス後にSS11、SS12でもベストを並べていたが、最終のSS12でまさかの事態に見舞われてしまう。フィニッシュまで5kmを切ったあたりで、駆動系のトラブルにより痛恨のストップ。この結果、曽根がシーズン初勝利、2位には山口清司/島津雅彦(トヨタGR86)が入った。

最終的に完走はわずか2台とサバイバル戦となったJN-3クラスで、予想外の勝利を手にした曽根は「山本選手が止まった後は、かなりペースを落としました。予想以上に道が悪かったので、とにかく完走できて良かったです。最初のループで山本選手を捉えようと頑張ったんですが、ダメだったので完走狙いの2位キープに切り替えました。それでもこうやって優勝が転がり込んできたので万々歳ですね」と、笑顔を見せた。最後まで生き残り2位表彰台を獲得した山口は「後ろもいないので、完走を目指してクルマを壊さないように抑えて走りました。プッシュして、グラベルでどれくらいの走りができるのか確認したかったんですが、周りがいなくなったので、走り切った方がいいと判断しました」と、冷静に振り返っている。

SS11では、この日走行順22番手のJN-2クラスの堀田信/河西晴雄(トヨタGRヤリス)がコースを塞いだことで、以降の走行がストップしてノーショナルタイムが与えられ、競技車は迂回してSS12へと向かった。

JN-4クラス優勝の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ) / Hiroaki Ibuki

JN-4クラスは、初日首位の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)がSS9以外のSSを制して、第3戦久万高原以来となるシーズン2勝目。2位に、SS8で内藤とタイトップ、SS9で単独ベストタイムをマークした高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)、3位に西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、前日どおりのオーダーでラリーを終えている。

荒れたグラベルで強さを見せた内藤は「タイトルを考えると、どうしてもレグポイントを獲りたかったので、ふたつめのセクションでは新品のタイヤを投入して気持ちを入れ替えて頑張りました。SS11とSS12は路面がかなり荒れていたんですが、自分にとっては走りやすかったようで、優勝とレグポイントを獲得できました。ラリー北海道に向けていいデータが取れたので、連勝できるように頑張ります」と、喜びのコメント。2位の高橋は「なんとか帰って来られました。とにもかくにも、フィニッシュまでたどり着けたのが一番です。最後にパンクもしましたし、走っている途中から調子が悪くて、とにかくキツいラリーでした」と、安堵の表情で語っている。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ) / Takuji Hasegawa

松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ)が、ラリー初日に大きなリードを築いたJN-5クラス。この日は、松倉がリードを活かしてペースをコントロールした一方、2番手で追っていた大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、SS9のスタートから500m地点でコースオフ。これでさらに余裕ができた松倉は、2ループ目も問題なく走り切り、開幕戦の三河湾以来となるシーズン2勝目を飾った。2位はSS7、SS8と連続ベストを刻んだ吉原將大/藤井俊樹(トヨタ・ヤリス)が、SS8で河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)をパス。吉原が、新チームでの初戦となった第4戦丹後に続いて表彰台に上がっている。

タイトル連覇に向けて貴重な勝利を持ち帰った松倉は「サービスの後も、抑えながらも速く走れたので良かったです。SS11が走れなくなったのでタイムがどうなるかわかりませんが、(タイトルを争う)大倉選手がリタイアしたので、レグポイント2位でも十分だったと思っています。次のラリー北海道でしっかり勝って、タイトルを決めたいですね」とコメント。2位に順位を上げた吉原は「今回は、ラリー北海道に向けた準備のつもりでしたし、松倉選手と勝負できるとは思っていませんでした。今回でやるべきことも見えてきました」と、次戦への意欲を語った。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) / Hiroaki Ibuki

JN-6クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、危なげなくフィニッシュ。シーズン2戦を残して早くもタイトルを確定させた。天野は11年連続16回目、コ・ドライバーの井上は実に15年連続17回目の全日本タイトル獲得となった。2番手争いでは、3番手の清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)に39.3秒差のアドバンテージを持って最終日をスタートした中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z)が、徐々にその差を詰められてしまう。ノーショナルタイムが与えられたSS11を挟んで迎えた最終SS12で、清水が中西に24.5秒差をつける激走で逆転。最終的に、中西に9.4秒差をつけて、2位表彰台を得ている。

今シーズンも早々とタイトル獲得を決めた天野は「最後までクルマが壊れなくて良かったです。グラベルでのテーマは、クルマをいかに労って走るか。リタイア車が多かったので、避ける時に壊さないように気を遣いました。今回も4分差くらいつけたので、あまり去年と変わらずにタイトルを決めることができましたね。ただ、みんなハイブリッドのドライブに慣れてきているので、これから面白くなりそうです」と、コメント。最後の最後で中西をかわした清水は「SSがひとつなくなったので逆に火がついて、最後まで頑張りました。12kmで15秒詰めれば逆転だ、と自分を奮い立たせてプッシュしました。絶対に壊せないし、SSがなくなったので逆にテンションが上がった感じですね」と、笑顔で振り返った。

全日本ラリー選手権第6戦ラリー・カムイ 最終結果
1 JN-1 新井大輝/松尾俊亮(Ahead Skoda Fabia R5) 1:03:59.5
2 JN-1 勝田範彦/木村裕介(GR YARIS Rally2) +1:00.8
3 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVAN KTMS GRヤリスラリー2) +1:13.6
4 JN-1 福永修/齊田美早子(OSAMU焼肉ふじ☆CTE555ファビア) +1:42.4
5 JN-1 新井敏弘/井上草汰(SUBARU WRX S4) +1:57.4
6 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(WinmaX DL シムス WRXSTI) +3:37.6
7 JN-1 柳澤宏至/竹下紀子(MATEX-AQTEC DL GRヤリス) +5:56.2
8 JN-1 今井聡/高橋芙悠(AKM・MOTORSPORTS・C3R5) +6:31.4
9 JN-1 眞貝知志/安藤裕一(GR YARIS GR4RallyDAT) +6:33.3
10 JN-2 松岡孝典/北田稔(ラックDLモビリティ東名古屋GRカローラ) +6:35.9


15 JN-4 内藤学武/大高徹也(YH TEIN アーリット スイフト) +11:38.5
16 JN-5 松倉拓郎/山田真記子(DL☆Gセキネン鹿ソニックラブカデミオ) +11:50.3
17 JN-3 曽根崇仁/竹原静香(P.MU☆DL☆INGING☆GR86) +11:56.7
28 JN-6 天野智之/井上裕紀子(TRT・DLアクアGR SPORT) +17:44.5

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