WRCフィンランド:トヨタはセバスチャン・オジエが今季3勝目 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCフィンランド:トヨタはセバスチャン・オジエが今季3勝目

©TOYOTA

WRC第8戦ラリーフィンランド(グラベル)は、競技最終日となる8月4日にSS17〜SS20の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamはセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが今季3勝目を飾った。前日首位でこの日を迎えたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは、SS19で不運なアクシデントによりリタイアとなった。このステージでは、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンもリタイアを喫した。一方で、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネンは、ラリー1マシンでの初ラリーを総合4位でフィニッシュ。勝田貴元/アーロン・ジョンストンは、パワーステージを含め2本のステージウインを奪取して、スーパーサンデーではトップタイのタイムで締めくくった。

トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に参戦したチーム代表のヤリ‐マティ・ラトバラとユホ・ハンニネンは、部門2位でフィニッシュした。
(以下、チームリリース)


WRC 第9戦ラリー・フィンランド デイ4
オジエが今シーズン3勝目を飾り、
ドライバー選手権2位に順位を上げる

TOYOTA

8月4日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・フィンランドの最終日デイ4が、ユバスキュラのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が優勝。サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(5号車)は総合4位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合41位でフィニッシュしました。なお、首位につけていたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)はSS19でコースオフによりリタイア。前日のデイリタイアを経てデイ4で再出走したエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)も、同ステージでコースオフによりリタイアとなりました。

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ラリー・フィンランドの最終日は、サービスパークから比較的近いエリアで「サーロイネン-モクシ」、「ラーヤヴォーリ」という2本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。その合計距離は41.66kmでした。天気は曇り、路面はやや湿り気を帯びていました。

前日のデイ3で6ステージのうち5本でベストタイムを記録し、総合2位のオジエに44.2秒という大きな差を築いたロバンペラは、最終日も好調を維持。オープニングのSS17とSS18でベストタイムを記録し、総合2位のオジエに対するリードを45.8秒に拡げました。ところが、再走ステージの1本目であるSS19で、ハイスピードな左コーナーの途中にあった岩に乗り上げてコントロールを失い森の中の木に激突。地元初勝利まであと2ステージというところで、リタイアとなってしまいました。幸いにもロバンペラとハルットゥネンに怪我はなく、GR YARIS Rally1 HYBRIDの強さが改めて証明されました。また、このステージでは前日のデイリタイアを経て再出走したエバンスもクラッシュ。コ・ドライバーのマーティンも含めて怪我はありませんでしたが、TGR-WRTは、SS19で2台がリタイアするという厳しい現実に直面しました。

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一方、ロバンペラに代わり首位に立ったオジエは、ほぼ3年ぶりの超高速グラベルラリー出場だったにも関わらず、しっかりと最後まで走り切り優勝。2013年以来2度目となるラリー・フィンランド優勝を果たしました。これまでフィンランド人以外のドライバーでラリー・フィンランドを複数回制したのはセバスチャン・ローブ、オィット・タナック、エバンスの3人のみでしたが、そこに今回オジエの名が並ぶことになりました。オジエは今シーズンここまで6戦に出場し優勝3回、総合2位3回という好成績を残しており、今回の勝利によりドライバー選手権では、首位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と27ポイント差の2番手に順位を上げました。

今回初めてRally1でWRCイベントに出場した地元の新鋭パヤリは、最終日も落ち着いた走りで4本のステージを走破。ロバンペラのリタイアもあり、前日よりもひとつ順位を上げ、フィンランド人選手最上位となる総合4位でRally1の初戦を締めくくりました。また、デイ2でのデイリタイアを経てデイ3で再出走した勝田は、最終日もハイペースで走行。再走ステージのSS19、そしてパワーステージのSS20でベストタイムを記録し、日曜日の合計タイムだけで競われる「スーパーサンデー」では、トップのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)と同タイムの2位を獲得しました。

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今回ドライバーとしてGR Yaris Rally2のステアリングを握った、TGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、前日よりもさらに総合順位を上げ6位でフィニッシュ。WRC2カテゴリーでは2位を獲得しました。ラトバラが今回「選手」の立場で経験したことやフィードバックは、今後GR Yaris Rally2の改善を進める上で有効活用されます。なお、今回GR Yaris Rally2をドライブしたミッコ・ヘイッキラ(ステップ5モータースポーツ)はWRC2で4位を、ゲオルグ・リンナマエ(レッドグレイ)は5位を、ローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)は6位を獲得しました。

カイ・リンドストローム (スポーティング・ディレクター)
苦いような、甘いような日曜日でしたが、それでもラリー・フィンランドで優勝することは我々のチームにとって常にポジティブなことなので、まずはそのことを喜ぶべきでしょう。週末を通して本当に素晴らしい仕事をしたセブとヴァンサンを心から祝福したいと思います。それでもやはり、最終日スタート時点での我々の順位を考えると、チャンピオンシップに関してはもっと良い結果になっていたはずですし、最後から2番目のステージで2台を失ったことは非常に残念です。貴元は、パワーステージで非常にいい走りをしましたし、見事でした。また、サミもいいデビュー戦を飾りました。彼とエンニのこの週末の仕事ぶりは、とても素晴らしかったと思います。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
朝は全てを上手くコントロールできていて、リスクを冒すことなく日曜日のポイント獲得を目指して戦っていました。最後から2番目のステージも安定したペースでごく普通に走っていたのですが、ステージのほぼ最後のコーナーの途中に大きな石が転がっていて、それを避けることができず道から飛び出してしまいました。自分たちにはどうしようもできない状況だったので、現実とは思えないような感覚でした。事実を受け入れるのはかなり厳しいですが、一方で、そこまで自分とヨンネは完璧な週末を過ごしていましたし、これ以上のことはできないと思えるほどでした。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
残念ながら、最後から2本目のステージでクラッシュしてしまいました。そのステージを1回目に走行した時は上手くコーナーをクリアできたのですが、2回目は轍(わだち)で少しアンダーステアが出て、コースアウトしてしまいました。トリッキーなコーナーであることは分かっていたのですが、スピード超過というよりも、轍に入った時のクルマの反応によってコントロールを失ってしまいました。完全に私のミスですし、大きな代償を払うことになりました。この週末は物事が良くない方向へと進み、最悪の結果になってしまいました。しかし、これがモータースポーツですし、このようなことも起こります。今シーズンはあと4戦残っていて、まだタイトルの可能性は残されているので、最後の最後まで全力を尽くして戦います。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
たとえ望んでいた形ではなかったとしても、やはりフィンランドでの優勝は嬉しいものです。チームは素晴らしいクルマを用意してくれて、週末を通して圧倒的な強さを発揮しました。カッレとヨンネは他の選手たちとは別次元の走りを見せていましたが、不運にもコーナリングライン上に転がっていた岩に当たってしまいました。チームの力を考えると、さらに良い結果を残せていたはずなので残念でなりません。シーズン前半戦のラリー・イタリア サルディニアで私は運悪く勝利を逃しましたが、今回ここで取り戻した形です。長い間この世界に身を置いてきて、様々な結果や感情的なシーンを経験してきました。そして、ほとんどの場合、幸運に恵まれてきましたが、今日に関してはそう思うことができません。2位でフィニッシュしたかったというのが正直な気持ちですが、モータースポーツでは時に不公平なことも起こります。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
昨日のセッティング変更が功を奏し、今日はクルマが非常に好調でした。朝からフィーリングが良く、プッシュすることができました。パワーステージで優勝し、最大ポイントを獲得できたのは良かったです。また、スーパーサンデーでトップと並ぶ合計タイムを記録し、多くのポイントを獲得できたのも良かったです。しかしそれでも、チームに良い最終結果をもたらすことができなかったことを、本当に申し訳なく思います。速さはあったので、もっといい結果を残すことができたはずです。今週末は多くのドライバーがミスを犯しましたが、ラリーは週末を通して戦う長い競技であり、スプリントレースではないのです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)

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Rally1カーでの初ラリーを無事に終えることができて、ほっとしています。今週は感情が激しく揺れ動いた、まるでジェットコースターのような一週間でした。ラリー・フィンランドで初めてトップカテゴリーに挑戦して、フィンランド人最高位の4位を獲得し、初めてベストタイムを記録するなど自分にとって素晴らしいラリーになりましたが、まだまだ改善の余地は多くあります。今回はもっと安定していて、リラックスして戦うことができるイベントになると思っていたのですが、そうはなりませんでした。過去ラリー・フィンランドでこれほど天候が厳しかったことは記憶にありません。チームにとっては最高の週末にはなりませんでしたが、自分自身のパフォーマンスに関してはポジティブな面を見つけることができたので嬉しく思います。GR YARIS Rally1 HYBRIDでホームラリーに出場することは夢だったので、トヨタと、チームの全員に感謝します。

ヤリ-マティ・ラトバラ (GR Yaris Rally2 39号車)
私もユホも、ラリーの最後に最高の気分を味わうことができました。我々の目標はWRC2でトップ5に入ることでしたが、ラリー開始直後からほぼずっと総合2位をキープし、表彰台フィニッシュを達成することができました。ステアリングを握る週末は本当に楽しく、自分のパフォーマンスにもとても満足しています。しかしながら、チームにとっては辛い日曜日になりました。ここで再び優勝できたのは素晴らしいことですが、日曜日に2台のクルマがリタイアしたのは、選手権を考えると痛手です。しかし、我々のチームは決してあきらめないということを私は知っていますし、今後のラリーも全力を尽くして戦います。

ラリー・フィンランドの結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h25m41.9s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +40.1s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m14.1s
4 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m54.5s
5 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m15.5s
6 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m54.5s
7 ラウリ・ヨーナ/ヤンニ・フッシ (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m29.4s
8 ミッコ・ヘイッキラ/クリスチャン・テモネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m32.0s
9 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +9m51.2s
10 ゲオルグ・リンナマエ/ジェームズ・モルガン (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m07.0s
41 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +51m44.8s
R カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)
R エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)
(現地時間8月4日16時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

第9戦 終了時点でのドライバー選手権順位
1 ティエリー・ヌービル 168ポイント
2 セバスチャン・オジエ 141ポイント
3 オィット・タナック 137ポイント
4 エルフィン・エバンス 132ポイント
5 アドリアン・フォルモー 119ポイント
6 カッレ・ロバンペラ 86ポイント
7 勝田 貴元 76ポイント
8 エサペッカ・ラッピ 33ポイント
9 アンドレアス・ミケルセン 29ポイント
10 ダニ・ソルド 27ポイント

第9戦 終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 395ポイント
2 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 375ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 207ポイント

次回のイベント情報
WRC次戦は、9月5日(木)から8日(日)にかけて、ギリシャで開催される第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」です。2021年にWRCのカレンダーに復帰したこのグラベル(未舗装路)ラリーは、1951年に初めて開催され、WRC初年度の1973年からシリーズの一戦に組み込まれたクラシック・イベントです。ステージの路面はここ3戦のスムースでフラットなグラベルと大きく異なり、大きな石が転がる山岳ステージは路面が荒れているところも多く、通常は気温も高いため、クルマにもタイヤにも選手にも厳しい「ラフグラベル・ラリー」として知られています。



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