WRC第8戦ラリーフィンランド(グラベル)、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamはセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが今季3勝目を飾った一方で、SS19では、首位に立っていたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンがリタイアと厳しい結果にも見舞われた。今回、チーム拠点である国のWRCイベントでは、5台のラリー1マシンを走らせたほか、チーム代表のヤリ‐マティ・ラトバラがトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門2位に入るなど、多くの話題を集めた。
この結果を受け、TOYOTA GAZOO Racing WRTの豊田章男会長がコメントを寄せた。
(以下、コメント全文)
豊田 章男 (TGR-WRT会長)
6年前のラリーフィンランドでは「Welcome to my home roads」と書かれた大きなヤリスの看板が街に掲げられていました。ヤリスの里帰りを喜んでくれるメッセージが、とても嬉しかったことを覚えています。当時フィンランドに里帰りしたヤリスはエサペッカ、オィット、ヤリ-マティの3台でした。
6年後のラリーフィンランド、ユバスキュラに里帰りしたGRヤリスは、なんと全部で14台。トップカテゴリーのRally1に5台、その内の1台は地元フィンランドの若者サミ・パヤリのRally 1デビューです。あとの9台は、ラリーの裾野をもっと拡げたいと願ってフィンランドで開発を重ねてきたRally2。WRCにチャレンジしている日本の若者たちが、その内の2台に乗り、1台はTOYOTA GAZOO Racingの”走るチームプリンシパル”ヤリ-マティです。そして残りの6台はGRヤリスでラリー・フィンランドを走りたいと、このクルマを選んでくださったプライベーターのお客様たちでした。Rally1からRally2へクルマの裾野が拡がると共に、若者やジェントルマンドライバーへとドライバーの裾野も拡がっていく……。私が頭に描いていた光景を、数年でここまで実現してくれた全ての仲間たちに、先ずは深く感謝したいと思います。
そして……今年のラリー・フィンランド。セブ、ヴァンサン優勝おめでとう! 今シーズン、2人がラリーに出てくれた週末は、必ず優勝か2位で帰ってきてくれています。2人の安定感にチームは本当に支えられています。ありがとう。カッレとヨンネは、あれだけ沢山の勝利を重ねているのに実現できていないことがありました。“母国のファンの前で勝つ”ことです。2人とも「今年こそ」という強い気持ちでラリー・フィンランドに臨んでいたと思います。最終日までトップを守っていたのに本当に悔しいリタイアでした。サミとエンニは初のトップカテゴリーで4位完走。多くのドライバーがフィンランドの道に苦労していた中で、すごい結果だと思います。
ヤリ-マティは今年もドライバーとして出てくれました。昨年はRally1、今年はRally2での出場です。実際にどんなクルマでドライバーたちが走っているかを現場確認するのも、TOYOTA GAZOO Racingでは“チーム代表の大切な仕事”です。……とは言いながら、SNSで見るヤリ-マティとユホは本当に楽しそうでした。楽しみながら、クラス2位で帰ってくる2人は流石です。GRヤリスのRally1とRally2、それぞれでWRCの道を走った経験を持つドライバーは、ヤリ-マティとサミの2人しかいません。私は、まだサミには会えていませんが、今度会えたら、Rally1、Rally2それぞれについて、ヤリ-マティも交えながら、色々教えてもらいたいと思っています。
最後に、今回、プリンシパル代行を引き受けてくれたカイ。ヤリ-マティに代わって、朝早くから夜遅くまでチームメンバーに声を掛けてまわっていたと聞きました。スポーティングディレクターとの兼務おつかれさまでした。沢山のGRヤリスに囲まれ、表彰台にも乗れて、思い出に残るバースデーウィークになったと思います。誕生日おめでとう!
次のラリーは1ヶ月後。夏休みも少なく、チームのみんなはハードだと思います。今回もマニュファクチャラーズランキングトップ奪還は叶いませんでしたが、残り4戦、チャンピオン獲得に向けて、引き続き、努力を重ねていきましょう。