オーストラリア・ラリー選手権(ARC)第4戦ギップスランドラリー(グラベル)が8月9日(金)~11日(日)、オーストラリア・ビクトリア州東部のギップスランドを拠点に開催された。今回、日本からトヨタ・ガズーレーシングの全日本ラリー選手権チーム(TGR-WRJ)が参戦。トヨタGRヤリスをドライブした大竹直生/竹藪英樹が総合7位、プロダクションカップ、クラス3位で完走を果たした。
TGR-WRJは、オーストラリアを拠点にARCを戦うトヨタ・ガズーレーシング・オーストラリア(TGRA)、チーム運営を担うオーストラリアの名門ワークショップ、ニール・ベイツ・モータースポーツ(NBM)と相互交流を目的に、ギップスランドラリーへの参戦を決定。マシンは日本からGRヤリス JP4仕様を持ち込み、P5クラス対象に。さらにプロダクションカップにノミネートされた。ドライバーはMORIZO Challenge Cupを戦う大竹、コ・ドライバーは今季2戦で大竹と組んでいる経験豊富な竹藪が務める。
日本でのグラベル仕様のテストを経てオーストラリアへと乗り込んだTGR-WRJだったが、事前テストにおいて思わぬアクシデントに見舞われることになった。テスト序盤に大竹がコースオフを喫し、エンジンにまでダメージを負ってしまったのだ。急遽、TGRAとNBMがGRヤリスのエンジンを手配し、シドニーから10時間をかけて輸送。日本から派遣されたメカニックがエンジン交換とボディの修復を行い、無事にスタートに間に合わせている。
ギップスランドラリーは、オーストラリアらしい硬い地盤の上に細かい砂が乗った高速ステージから、川渡りを含む曲がりくねったツイスティなセクションまで、バリエーションに富んだグラベルロードが特徴。この時期は真冬に当たる南半球、山間部にはラリー前に降った雪が残っているセクションもあり、ラリーカーの走行によってコンディションの変化も予想されていた。
ドライコンディションとなった8月10日のラリー初日。「まずは、すべてのステージを走り切ることをターゲットにスタートします」と語った大竹は、少しずつペースを上げる戦略を採り、SS6ではクラス3番手タイムをマーク。さらにSS7ではクラス2番手タイムをマーク。その後、SS8でもクラス3番手タイムを並べ、クラス3番手・総合9番手でラリー初日を終えた。
「無事に初日を走り切れてホッとしています。一番、感じているのは、このラリーを心から楽しめたということ。今日のステージはハイスピードでクレストも多くて、レッキをしていても『ここはラリーカーで走ったら、楽しいだろうな』と思っていました。ツイスティなセクションでも、コ・ドライバーの竹藪選手とのコンビネーションがバッチリで、走っていて楽しくて仕方がなかったです。正直、終わって欲しくないと思うほどでした(笑)」と、大竹は笑顔を見せた。
ラリー最終日、大竹はコンスタントにクラス2番手タイムを並べてみせる。クラス順位こそ変わらなかったものの、SS11では上位クラスのリタイアもあり、総合では8番手に浮上した。午後のセクションを前に細かいトラブルが発覚したためペースは抑えたものの、残りのステージを危なげなく走り切った大竹は、初挑戦のオーストラリア選手権においてプロダクションカップ、P5クラスで3位、総合7位でフィニッシュした。
「テストでクラッシュをしてしまいましたが、スタートまでにしっかりと直して頂きました。まずはチームの皆さん、協力して頂いたオーストラリアのスタッフに心から感謝したいです。最終日はステージの特徴ががらりと変わったので、前日と比較するとクルマをケアしながら走ることを心がけました。今回は走り切ることが目標だったので、次戦、全日本のラリー北海道は、しっかり結果を求めてプッシュしていきたいです」と、大竹は感謝を語った。
ラリーは、来月のラリー北海道への参戦が決まっているTGRAのハリー・ベイツ/コーラル・テイラー(トヨタGRヤリス・ラリー2)が、チームメイトで弟のルイス・ベイツ/アンソニー・マクローリン(トヨタGRヤリス・ラリー2)に2分32秒3差をつけて総合優勝を飾っている。
ARCギップスランド 最終総合結果
1 H. ベイツ(トヨタGRヤリス・ラリー2) 1:55:44.7
2 L. ベイツ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +2:32.3
3 E.マグアイア(シュコダ・ファビアR5) +4:05.7
4 M.テイラー(スバルWRX STI) +7:08.9
5 J.ルフ(トヨタGRヤリスAP4) +8:05.9
6 B.リーディング(スバル・インプレッサ) +8:27.3
7 大竹直生(トヨタGRヤリス) +9:21.9
8 S.ペダー(シュコダ・ファビアR5) +11:35.4