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WRCアクロポリス事前情報:選手権屈指のラフグラベルラリー、アテネのスーパーSSは土曜日に移動

©TOYOTA

9月5日〜8日に開催されるWRCは、第10戦アクロポリス・ラリーギリシャでは、クルーやマシンが選手権屈指の悪路ステージで、限界ギリギリの過酷な試練を与える。

夏のブレイクを経て投入するシーズン終盤戦、タイトル争いも佳境を迎える。4戦を残した時点で、ドライバーズ選手権ではヒョンデのティエリー・ヌービルが168ポイントで首位をキープ。しかし、スポット参戦ながら勝利を重ねてきたトヨタのセバスチャン・オジエがわずか27ポイント差の141ポイントと迫っており、当初の参戦プランも拡大する見込みだ。さらに、ヒョンデのオィット・タナック、トヨタのエルフィン・エバンスも、それぞれ137ポイント、132ポイントでタイトルを狙っているほか、5番手につけるMスポーツ・フォードのアドリアン・フルモーも、119ポイントとタイトルチャンスを残している。

WRC2部門では、選手権リーダーのオリバー・ソルベルグはアクロポリスをポイント対象イベントに入れていないことから、2番手につけるサミ・パヤリ、3番手につけるヨアン・ロッセルにとって、このアクロポリスはポイント差を詰める好機となりそうだ。

今回で68回目の開催となるアクロポリスラリーは、今季のジュニアWRCの最終戦となる。ここでは獲得ポイントが2倍になることから、2025年のWRC2参戦権という特典が与えられるタイトル争いは、まだ様々な可能性を残している。若手発掘プログラム、FIAラリー・スターから参戦するオーストラリアのテイラー・ギルとエストニアのエストニアのロメット・ユルゲンソンがタイトルを狙うなか、4戦を終えた時点で選手権に立っているのはユルゲンソンで、ギルに8ポイント差をつけている。

WRCが創設された1973年にカレンダーの一戦に含まれたアクロポリスラリーは、伝統的に暑くダスティなコンディションで、今年最後のヨーロッパでのグラベルイベントとなる。

WRCの公式単独タイヤサプライヤー、ピレリは、このアクロポリスではラリー1マシンにスコーピオンKXタイヤのハードとソフトのコンパウンドを供給。第1選択肢はハードとなる。ラリー1勢がアクロポリスで使用できるタイヤの本数は最大28本で、シェイクダウンにはさらに4本が追加される。

■エントリー状況
ヒョンデ・シェル・モビスWRT:ドライバーズ選手権では、首位、3位につけるヌービルとタナックに加え、ダニ・ソルドが第6戦サルディニア以来の参戦。3台目のヒョンデi20Nラリー1ハイブリッドをドライブする。この顔ぶれでヒョンデは、2022年のアクロポリスでポディウム独占を達成している。

トヨタ・ガズーレーシングWRT:前戦フィンランドでは5台のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドを走らせたが、今回はエバンス、勝田貴元、オジエという布陣で臨む。

Mスポーツ・フォードWRT:フルモーとグレゴワール・ミュンステールという若手ふたりに加え、地元ギリシャのジョルダン・セルデリディスがフォード・プーマ・ラリー1ハイブリッドで参戦する。

■サポートカテゴリー
前戦フィンランドでは、ラリー1デビュー戦でステージウインも奪取するなど活躍を見せたパヤリは、今回はトヨタGRヤリス・ラリー2で参戦。迎え撃つのは、ニコライ・グリアジン、ロッセル(シトロエンC3ラリー2)、同じくGRヤリス・ラリー2を駆るゲオルグ・リンナマエ、ヤン・ソランス。さらにシュコダ・ファビアRSラリー2勢では、ガス・グリーンスミス、ジョシュ・マクリーン、ラウリ・ヨーナ、カエタン・カエタノビッチ、ロベルト・ビルベスが名を連ねる。アーミン・クレマーは、娘のエラをコ・ドライバーに迎え、WRCマスターズカップにエントリー。クレマーを含め、WRC2部門には29台がエントリーしている。

このアクロポリスには、FIAウィメン・イン・モータースポーツの委員長、ブルク・チェティンカヤも登場。トルコ出身のチェティンカヤは、2018年に母国で開催されたWRCラウンド以来のWRC参戦にシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoで臨む。コ・ドライバーには、現在69歳のファブリツィア・ポンスを迎える。

■ラリールート

TOYOTA

今回のアクロポリスのルートは革新と興奮をテーマに、休息時間を最大限に確保するために修正が施された。例年、首都のアテネで行われてきたセレモニアルスタートを、今年はサービスパークとセレモニアルフィニッシュも行われるラミアで実施。代わりに土曜日にアテネがルートに含まれている。これにより、ラリーファンは土曜日の夜にスーパーSSを楽しむことができる。このスーパーSSはギリシャの高速道路のひとつを使用し、入場料も無料。アテネだけでなく、ギリシャ中部やペロポネソス地方に住むファンを含め、できるだけ多くのファンがアクセスしやすいように選ばれた。

ラリーは木曜日にシェイクダウンとセレモニアルスタートに続いてSS1が行われた後、金曜日はラミア周辺の3本を2回ループ。この日のステージ総距離は135.02kmと、イベント最長の一日となる。土曜日は南部のルートラキに移動し、イベント最長の28.67km、Renginiからスタートする3SSを2ループ。日中はルートラキのタイヤフィッティングゾーンのみで、サービスは設定されない。この日を締めくくるスーパーSS(1.97km)は、現地時間21時05分から始まる。

日曜日はこれまで使用されたことがないInohori(17.47km)からスタート。その後、Eleftheroho(18.29km)を2回走行する3SSという構成。Eleftherohoの2回目はパワーステージに指定されている。

■ラリーデータ
開催日:2024年9月5日〜8日
サービスパーク設置場所:ラミア
総走行距離:1392.24km
総ステージ走行距離:305.30km(SS比率21.93%)
総SS数:15

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
JWRC

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]

セバスチャン・オジエ(#17)
エルフィン・エバンス(#33)
勝田貴元(#18)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
オィット・タナック(#8)
ダニ・ソルド(#6)

[Mスポーツ・フォードWRT]
アドリアン・フルモー(#16)
グレゴワール・ミュンステール(#13)

■2023年アクロポリス・ラリーギリシャ最終結果
1 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) 3:00:16:7
2 E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +1:31.7
2 D.ソルド(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) +1:35.9

■近年のWRC開催でのウイナー
2023年 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2022年 T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド)
2021年 K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
2013年 J-M.ラトバラ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)
2012年 S.ローブ(シトロエンDS3WRC)



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