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全日本ラリー北海道:シーズン5勝目の新井大輝/松尾俊亮がJN-1タイトルを確定

©Jun Uruno

■レグ2
ラリー2日目は「SSS イケダ(0.50km)」、「オトフケ・リバース(6.12km)」の2ステージを、サービスを挟んでリピートする4SS、13.24km。リタイアが続出しタフな1日となった初日から一転、「ヤム・ワッカ(23.49km)」1本よりも短い距離を走行し、フィナーレを迎える。

帯広市内の北愛国交流広場に設置されたサービスパークには、朝から雲ひとつない青空が広がり、コンディションはドライ。首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は、2番手のハリー・ベイツ/コーラル・テイラー(トヨタGRヤリス・ラリー2)に51.6秒という大きなアドバンテージを持って、2日目をスタートした。新井大輝はショートステージのSS9こそ、ベストのベイツから1.6秒差の10番手タイムとなったものの、SS10ではしっかりとベストをマークし、午前中のセクションを問題なく走り切る。

JN-1クラス優勝の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)/ RALLYPLUS

北愛国でのサービスを挟んだ後半のセクションも、新井大輝はペースをしっかりとコントロールし、トップでフィニッシュ。シーズン5勝目を決め、最終戦ハイランドを待たずに2020年シーズン以来となるJN-1クラスの王座獲得を確定させた。なお、コ・ドライバーのタイトルに関しては、最終戦ハイランドまで持ち越しとなっている。

前日のポップオフバルブのトラブルを解消したベイツは、この日は3本のベストを並べて、49.1秒差の2位。3位にはグラベルで2戦連続表彰台となった奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)。2分03秒6差の4位には、新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)が入った。

5番手を走行していた大竹直生/橋本美咲(トヨタGRヤリス)は、最終のSS12を走行中にエンジントラブルでストップ。その後、出火にまで至ってラリーリタイアとなった。この結果、鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX S4)が5位、初日のブレーキトラブルにより大きく遅れていた福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が6位と、ひとつずつ順位を上げている。

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今シーズンはR5マシンでWRCラリージャパンへの参戦を表明している新井大輝は「僕らのチームはトラブルでリタイアか勝利という状況だったので、(前戦カムイの後)エンジンのオーバーホールも含めて、できることはすべてやってこのラリーに挑みました。正直、ラリージャパンに向けて、あまりクルマを酷使したくなかったんですが(笑)、それでもタイトルを決められて良かったです」と喜びを語っている。

日本での初参戦を終えたベイツは「2位でフィニッシュできて本当にハッピーだよ。フィニッシュにたどり着けてホッとしているし、日本で戦えたことに心から感謝している。昨日はトラブルがあったけど、今日のGRヤリス・ラリー2は完璧だったし、全体的に素晴らしい週末になった。ヒロキともステージごとに僅差の争いができて本当に楽しかった。ラリー中、オーストラリアの国旗を振ってくれているのがたくさん見えて、日本のラリーファンに歓迎されていることが感じられてうれしかった」と笑顔で振り返った。

優勝争い加われなかった奴田原は「リタイアが続出するなかで、しっかり走り切れたのは、チームのハードワークがあったからこそです。自分としては、もう少し上手く走りたかったという思いはあります。まだまだグラベル2戦目なので、いくつか課題を感じました」と、悔しさをのぞかせている。

JN-2クラス優勝の石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)/ Jun Uruno

JN-2クラスは、初日を終えて2番手以下に大きなアドバンテージを手にした石川昌平/大倉 瞳(トヨタGRヤリス)が、残されたステージでも安定したペースを刻みトップでフィニッシュ。シーズン初勝利、JN-2クラス初勝利を手にした。1分36秒9差の2位に堀田信/河西晴雄(トヨタGRヤリス)。関根正人/松川萌子(トヨタGRヤリス)は最終日にペースを上げたが、堀田に9.2秒届かず3位に終わった。マシントラブルを解消し、再出走にまわった松岡孝典/北田 稔(トヨタGRカローラ)は、ステージ中断となったSS12以外の全ステージでベストタイムをマークしている。

待望のJN-2クラスでの初優勝をチームに持ち帰った石川は「松岡選手がリタイアしてからは、完走ペースに切り替えて走りました。GRヤリスではなかなかタイムが出せなくて苦労しましたが、チームの皆さんの助けもあってここまで来ることができました。初日は松岡選手とトップ争いができましたし、そこは自信を持っていきたいです」と、喜びを語った。堀田は2位という結果に「速い選手がたくさんエントリーしていましたし、5位か6位に入れれば……と思っていました。上位にリタイアもあり、頑張って走っていたら2位に入れて、本当にうれしいです」と笑顔を見せた。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)/ RALLYPLUS

JN-3クラスは、初日トップの山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が、危なげなく首位をキープ。第5戦モントレー以来となるシーズン3勝目を決めた。長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)、上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)、曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)による僅差の2番手争いは、SS10でベストタイムをマークした曽根が長﨑をパスして、2番手に浮上。SS11では長﨑が曽根を2.3秒先行し、両者の差が0.8秒で最終SS12へと向かうが、JN-1でのアクシデントにより赤旗が出たためステージが中断。このステージを走行できなかったクルー、車両火災の影響を受けたクルーにノーショナルタイムが与えられた結果、2位に曽根、3位に長﨑というオーダーでラリーを終えた。

選手権の大一番で勝利を手にした山本は「カムイまでは思ったようにクルマを動かせなかったりタイムが出なかったりしましたが、チームやパーツメーカーの皆さんに事前テストに付き合っていただいて、だいぶ改善されました。クルマも本当に良くなりましたし、安心して攻めることができました」と、チームへの感謝を語った。2位を得た曽根は「実は今シーズン限りで、シリーズ参戦を辞める予定です。地区戦を盛り上げながら、全日本にはスポットで出ようと考えています。還暦を過ぎると色々大変ですから……(笑)。ラリーをやめるわけではありませんしし、皆さんのおかげでここまでやってこられたので悔いはないです」と、今シーズン限りでシリーズ参戦に一区切りをつけることを明かしている。

JN-4クラス優勝の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)/ Jun Uruno

JN-4クラスは、初日首位の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)が、SS9とSS10でもベストを並べ、2分09秒5という圧倒的な強さでカムイに続くグラベル2連勝、ラリー北海道連覇を果たした。2位に小倉雅俊/平山真理(ホンダ・シビック・タイプR)、3位に高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)、4位に西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、初日と同じオーダーでラリーを終えた。

シーズン3勝目を決めた内藤は「去年がうまく行き過すぎで、なぜあんなに速かったのか自分でも分からないところがあったので、今年もうまく行くのか少し不安があったのですが、SS1から大差をつけることができました。去年のラリー北海道と同じように自信を持って走ることができましたね。ライバル選手のポイントを考えながら走ったのも、久々でした」と、選手権連覇に向けて視界も良好の様子。内藤に大差をつけられた小倉は「エンジンの調子がなんとなくおかしくて、内藤選手(のタイトル争い)を助ける形になってしまいましたね。なんとかごまかしつつ、フィニッシュまでたどり着くことができました」と、悔しさを露わにした。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ)/ RALLYPLUS

JN-5クラスは、首位の松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ)が前日の最終サービスでギヤボックスを交換し、最終日をスタート。初日に大きなアドバンテージを得た松倉はペースをコントロールし、カムイに続くグラベル2連勝。最終戦ハイランドを前にJN-5クラス連覇を確定させた。2位に大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)。SS10で冨本諒/里中謙太(トヨタ・ヤリス)をパスした三苫和義/遠藤彰(ホンダ・フィット)が3位を得ている。

盤石の強さを披露した松倉は「クルマがすごくコントローラブルで、セッティングもだいぶ煮詰まってきました。今回はギヤボックスが壊れましたが、このクラスの中では特に車体が頑丈で、それもアドバンテージになりました」と、勝因を語る。2位の大倉は「SS10の途中でインカムが壊れてしまい、コ・ドライバーの声がまったく聞こえなくなってしまいました。有視界で走ったことで、タイムを落とすことになりました。2ループ目はフレッシュタイヤを入れてレグポイントを狙っていたんですが、ステージ中断で走れなくなって残念でした」と悔しさを見せた。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)/ RALLYPLUS

JN-6クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、危なげなくフィニッシュ。初日のSS1からすべてのステージでベストを並べ、完全勝利を決めた。2位は海老原孝敬/原田晃一(ホンダ・フィット)が丹後以来の表彰台を獲得。中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z)が、鷲尾俊一/菅野総一郎(ホンダCR-Z)とのチームメイト同士のバトルを制して3位を得ている。

タイトル決定後の難しいラリーでも圧倒的な強さを見せつけた天野は「今回は初日の陸別でドライブシャフトが壊れましたが、すぐにサービスだったので、事なきを得ました。結果的には6分ほど差をつけることができたので、大きな問題になりませんでした」と、余裕のコメント。2位を得た海老原は「最終日、午前中のサービスに戻るリエゾンでアンダーガードが外れてしまいました。サービスで少し直して午後に挑みましたが、最後のSSで赤旗が提示され中断となったことで、無事に戻ってくることができました」と、振り返った。

全日本ラリー選手権第7戦RALLY HOKKAIDO 最終結果
1 JN-1 新井大輝/松尾俊亮 Ahead Skoda Fabia R5 1:06:09.5
2 JN-1 ハリー・ベイツ/コーラル・テイラー GR YARIS Rally2 +49.1
3 JN-1 奴田原文雄/東駿吾 ADVAN KTMS GRヤリスラリー2 +1:30.2
4 JN-1 新井敏弘/井上草汰 SUBARU WRX S4 +2:03.6
5 JN-1 鎌田卓麻/松本優一 WinmaX DL シムス WRXSTI +3:42.7
6 JN-1 福永修/齊田美早子 OSAMU焼肉ふじ☆CTE555ファビア +3:59.1
7 JN-1 柳澤宏至/竹下紀子 MATEX-AQTEC DL GRヤリス +4:28.4
8 JN-2 石川昌平/大倉瞳 ARTAオートバックスGRヤリス +5:57.8
9 JN-2 堀田信/河西晴雄 LINKplug-initzzGRヤリス +7:34.7
10 JN-2 関根正人/松川萌子 GセキネンDLカヤバWMGRヤリス +7:43.9
13 JN-3 山本悠太/立久井和子 SammyK-oneルブロスYHGR86 +9:05.1
15 JN-4 内藤学武/大高徹也 YH TEIN アーリット スイフト +9:49.2
16 JN-5 松倉拓郎/山田真記子 DL☆Gセキネン鹿ソニックラブカデミオ +10:43.1
28 JN-6 天野智之/井上裕紀子 TRT・DLアクア GR SPORT +14:23.4

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