全日本ハイランドマスターズ:ヘイキ・コバライネン/北川紗衣がGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ハイランドマスターズ:ヘイキ・コバライネン/北川紗衣がGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク

©Jun Uruno

■レグ2

ラリー2日目は「大山線(5.35km)」、「駄吉上り(5.36km)」、「無数河 – アルコピア(6.08km)」の3ステージをサービスを挟んでリピートする6SS、33.58km。前日まで降り続いた雨は上がり、天候は曇り。ただ、ステージによってドライの路面とウエットが残る路面が入り混じり、非常にトリッキーなコンディションとなった。

首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)と、新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)の差はわずか3.9秒。コバライネンは「まだ、完全に自信を持ってドライブできていないし、ヒロキに勝つことは簡単じゃない」と気を引き締めた。

オープニングのSS7、コバライネンが新井大輝に1.0秒差をつけるベストタイム。4.4秒差の3番手タイムに福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)、5.6秒差の4番手タイムに奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)、8.7秒差の6番手タイムに新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)のオーダーで続く。3番手の福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)を捉えたい新井敏弘だが、5番手の奴田原が1.8秒差に迫ってきた。

SS8は新井大輝がコバライネンに3.7秒差のベストを刻み、その差を1.2秒に縮める。ここでは4番手タイムの奴田原が、ほぼウエットの路面にドライタイヤがまったく合わなかった新井敏弘をパスし4番手にポジションを上げている。続くSS9も新井大輝がコバライネンに4.3秒差をつける連続ベストタイムをたたき出し、3.1秒差をつけて首位のポジションを獲り返した。

サービスを挟んだ午後のセクション。SS10はコバライネンが、新井大輝に1.8秒差のベスト。その差は1.3秒差に縮まった。続くSS11もコバライネンが、スローパンクチャーした新井大輝を7.6秒も上まわる連続ベストをたたき出し、6.3秒差をつけて再びラリーリーダーの座に立った。

JN-1クラス優勝のヘイキ コバライネン/北川紗衣 (トヨタGRヤリス・ラリー2)/ Takuji Hasegawa

最終のSS12、新井大輝はスタートから1km地点でターボパイプのトラブルにより、大幅にペースダウン。このステージもベストタイムでまとめたコバライネンが、上行大動脈瘤の開胸手術から復帰後、そしてトヨタGRヤリス・ラリー2での初勝利をチームに持ち帰った。終盤で大きく遅れた新井大輝だったが、コバライネンから33.2秒差の2位でフィニッシュを果たした。

コンスタントに3番手タイムを並べた福永が、1分06秒7差の3位表彰台。今回がGRヤリス・ラリー2で走る初の本格的なウエットターマックコンディションとなった奴田原は、1分26秒9差の4位。1分56秒8差の5位は、最終日は路面とタイヤのマッチングに苦しんだ新井敏弘。自身のペースを守った鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)は、2分25秒4差の6位で走り切った。

Naoki Kobayashi

手術からの復帰3戦目での勝利にコバライネンは「今年起こったすべての出来事の後、予定どおりにラリーに復帰して、そしてここで優勝できた。本当にうれしいよ。最後にヒロキがトラブルに見舞われたのは残念だったけど、僕らは最後までプッシュし続けた。チームにとっても最高の結果になったね」と、喜びを噛み締めた。

今回のハイランドマスターを、11月のWRCラリージャパンへの準備と位置づけていた新井大輝は「SS11でのスローパンクチャーに、SS12はターボパイプ。最後は散々でしたね(苦笑)。それでも今回のハイランドでセットアップを変更すると、クルマがどう動くかが分かりました」と、収穫を語っている。

JN-2クラスは、25.6秒差を追う2番手の小泉敏志/村山朋香(トヨタGRヤリス)が、この日行われたSS8以外の全ステージでベストタイムを刻み、首位の石川昌平/大倉瞳(GRヤリス)との差を一気に縮めてみせる。それでも、石川が3.5秒差で逃げ切り、ラリー北海道に続くシーズン2勝目を手にした。三枝聖弥/木村裕介(スバルWRX STI)は、SS7で泉陽介/石田一輝(三菱ランサーエボリューションⅩ)をパスし、3位。この結果、三枝は自身初となる全日本ラリー選手権タイトルを手にしている。5位の貝原聖也/藤沢繁利(トヨタGRヤリス)は、最終戦にして待望のMORIZO Challenge Cup(MCC)初勝利を飾った。

JN-2クラス優勝の石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)/ Takuji Hasegawa

シーズン終盤、尻上がりに調子を上げた石川はシーズン2勝目に「今日は小泉選手が速かったのと、僕自身がセッティングを外したりドライコンディションになってタイムが伸ばせなかったりと、苦しい展開になりました。それでもなんとか勝てて良かったです」と、安堵の表情をみせた。初優勝まであと一歩届かず僅差の2位に終わった小泉は「苦手とするウエットが足を引っ張った感じがしています。クルマの調子も良く、アップデートできた点は良かったのですが、ウエットや湿った路面を攻め切れないという課題が見えました。この点を底上げしていく必要があると痛感しています」と、悔しさを見せた。

JN-3クラスは、初日首位の鈴木尚/島津雅彦(スバルBRZ)を、ベテランの上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)と曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)が追う展開。初日3番手につけていた長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)は、SS8でスタートから2kmの左コーナーでアウト側のガードレールにフロントをヒット。サスペンションを破損し、7分遅れでステージは走り切ったがラリー続行を断念した。SS11で鈴木を捉えた上原が首位に浮上、曽根も6.3秒差の2番手に順位を上げた。山口清司/丸山晃助(トヨタGR86)がベストタイムをマークした最終のSS12は、上原と曽根が同タイムの3番手。上原が逃げ切り、2023年の嬬恋以来の勝利を決めた。2位に曽根、3位に鈴木、4位にが入った。

JN-3クラス優勝の上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ) / RALLYPLUS

久々の全日本勝利をターマックで決めた上原は「今回は手強いライバルたちがどんどん脱落するなか、無傷で帰ってこられました。自分でもびっくりです。こうやってライバルと戦って走り勝ったのは、本当に久しぶりです」と、笑顔を見せた。今シーズンで全日本のフル参戦にひと区切りをつけることを表明していた曽根は「色々ありましたが、展開的にもタイヤ選択も含めて楽しいラリーでした。何よりもフィニッシュまでちゃんと帰ってこれて良かったです」と、納得の表情を見せた。

JN-4クラスは、初日トップの内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)が、SS8とSS11でベストタイムをマークし、高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)との差を拡大。最終SS12では、高橋が内藤に3.6秒差をつけるベストタイムをたたき出したが及ばず。最終的に27.5秒差にリードを広げた内藤がシーズン4勝目を決め、レグポイントも含めてフルポイントを獲得した。この結果、内藤と高橋が同ポイントで並んだが、選手権規定により、最大得点33点を持つ内藤が逆転でシリーズ2連覇を達成した。

JN-4クラス優勝の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)/ Takuji Hasegawa

フルポイント獲得という厳しい条件をクリアし、2連覇を達成した内藤は「奇跡の逆転チャンピオンです。最終ステージはとにかくミスをしないで、同じペースを守って走れば、まくられることはないだろうと考えていました。振り返ると本当に面白い1年でした。あまり意識していないつもりでしたが、タイトル防衛の焦りがあった気がします。2年連続でチャンピオンなったことは、自分としても大きな自信になります」と、喜びを語った。内藤と同点で並びながらタイトルにわずかに届かなかった高橋は「最後まで頑張りましたし、やれることはやりました。でも、最後は何かが噛み合わなかったんですね」と、清々しい表情を見せている。

JN-5クラスは、前日までのウエットコンディションから一転、ウエットとドライが混在するコンディションでタイヤ選択が決まった大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、SS7からSS11まで連続ベストをたたき出し、首位松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ)との差を0.2秒差にまで縮めて最終SS12を迎える。すると、大倉はここでも松倉を4.9秒引き離すベストを刻む。終わってみれば、この日行われたすべてのステージでベストを並べ、鮮やかな逆転優勝。久万高原、丹後に続くシーズン3勝目を飾った。2位に松倉、3位には吉原將大/槻島もも(トヨタ・ヤリス)が入った。

JN-5クラス優勝の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) / Jun Uruno

大逆転勝利を決めた大倉は「レグ2は全部獲れましたね。ダンロップタイヤが本当に良かったです。今日はタイヤに助けられました。マシンに関しても、チームが毎戦ブラッシュアップしてくれて、ここまで仕上げてくれました。最終戦にそれがハマり、総合力で勝ち切ることができました」と、勝因を語った。前日までのアドバンテージを守り切れなかった松倉は「今日はタイヤで決まってしまいましたね。大倉選手に『あっぱれ』と言いたくなるようなタイムを出されてしまいました」と、コメント。3位に入った吉原は「どこかで勝てるかな、と思ったシーズンだったのですが、甘くないですね。最後は追いつきたかったです。今回は、前戦でマシンをクラッシュし、急遽貸していただいたマシンで参戦できたので、とにかく感謝の気持ちで走りました」と、新チームを立ち上げて臨んだ今シーズンを振り返った。

JN-6クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、この日も全SSでベストタイムを並べる、圧巻の展開。初日のSS1からすべてのステージで一番時計を並べ、前回のラリー北海道に続き、完全勝利を決めた。2位に清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)、3位に松原周勢/HARU(トヨタ・アクア)と、前日と変わらない順位でのフィニッシュとなった。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) / Jun Uruno

JN-6クラスとしては最後のラリーとなるイベントを、完全勝利で締め括った天野は「全部のSSでベストが獲れたのでそれが一番良かったです。清水さんがかなり速くなってきて僅差のタイムが多かったのですが、全部のSSで勝てたので、それなりの差を築けました」と、余裕のコメント。シーズンを通して天野をターゲットにしてきた清水は「天野選手は、まだまだ余裕がある感じでしたね。今回はウエットや泥など、色々な路面コンディションを経験できました。路面とタイヤの使い方など、確実に自分のモノにできたと思います」と、成果を語っている。うれしい全日本初表彰台となった松原は、開幕戦の三河湾に続き、2度目の全日本挑戦。「無事にフィニッシュまで帰ってこられて、本当に良かったです。最後のループは終始安定していて、怖いものはないぞ、と言う走りができたかなと思います。三河湾の後、中部・近畿戦で戦ってきて、すごく成長を感じられたラリーになりました」と、喜びを語っている。

全日本ラリー選手権第8戦M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ最終結果
1 JN-1 ヘイキ・コバライネン/北川 紗衣(AICELLO速心DLヤリスRally2) 57:24.6
2 JN-1 新井大輝/松尾俊亮(Ahead Skoda Fabia R5) +33.2
3 JN-1 福永修/齊田美早子(OSAMU焼肉ふじ☆CTE555ファビア) +1:06.7
4 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVAN KTMS GRヤリスラリー2) +1:26.9
5 JN-1 新井敏弘/井上草汰(SUBARU WRX S4) +1:56.8
6 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(WinmaX DL シムス WRXSTI) +2:25.4
7 JN-1 柳澤宏至/竹下紀子(MATEX-AQTEC DL GRヤリス) +3:14.4
8 JN-2 石川昌平/大倉瞳(ARTAオートバックスGRヤリス) +4:07.2
9 JN-2 小泉敏志/村山朋香(若甦DLドリームドライブGRヤリス) +4:10.7
10 JN-4 内藤学武/大高徹也(YH TEIN アーリット スイフト) +5:04.9
11 JN-3 上原淳/漆戸あゆみ(埼玉スバル・DL・KYB・シャフトBRZ) +5:19.3
29 JN-5 大倉聡/豊田耕司(AISIN GR Yaris CVT) +7:30.0
41 JN-6 天野智之/井上裕紀子(TRT・DLアクアGR SPORT) +10:58.2

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