ヒョンデは、アドリアン・フルモーとコ・ドライバーのアレクサンドル・コリアが2025年のWRCにヒョンデi20Nラリー1ハイブリッドで全14戦に参戦することを発表した。フルモーは、Mスポーツ・フォードからの移籍となる一方、ヒョンデはすでにティエリー・ヌービル、オィット・タナックのフル参戦を発表しており、3人のドライバーをレギュラー参戦する体制に舵を切り、2024年シーズンでは目前に迫りながら獲り逃したマニュファクチャラーズタイトル獲得に挑む。
キャリアを通じて目覚ましい成長と安定感を示してきたフルモー。ラリー1の導入年は厳しいシーズンを過ごし、2023年はWRC2での参戦に後戻りしてスキルを積んで自信を高める決断をくだした。この年は英国ラリー選手権タイトルを獲得すると、2024年は気持ちを新たにラリー1でのフル参戦に挑戦。安定して上位を狙えるポテンシャルを披露して、最終戦のラリージャパンでは自身初めて、ターマックラリーでのポディウムフィニッシュを達成した。
ヒョンデは2025年、マニュファクチャラーズタイトルを狙うために、より安定したレギュラーラインナップの体制を敷いて競争力を高める構え。フル参戦ドライバーとして、フルモーはヌービル、タナックというチャンピオン経験ドライバーをアシストする立場としての活躍が期待される。また、3台目のクルーがレギュラーになることで、改訂されたWRC規定のなかで、貴重な実戦での走行経験が確保され、チームはシーズンを通して勢いをつけ、その流れを維持できると考えている。
フルモーは、Mスポーツ・フォードのドライバーとして参加するモンツァラリーショー(12月5日〜8日、イタリア)が終わり次第、ヒョンデ・モータースポーツに合流。2025年のWRCシーズンに向けての準備を開始する。
一方、2024年にサードカーのシェア参戦を担ってきたドライバーについても、可能性の模索を続けているとしている。今季は、エサペッカ・ラッピがWRCスウェーデンで優勝、WRCサルディニアとWRCアクロポリスでダニ・ソルドがポディウムフィニッシュ、アンドレアス・ミケルセンもポイント圏内でフィニッシュを重ねて、最終戦までマニュファクチャラーズタイトルを争ったチームに貢献してきた。
ヒョンデ・モータースポーツ社長でチーム代表を兼任するシリル・アビテブールは「2024年にサードカーをシェアするアプローチをとったことで、WRCでチーム最強のシーズンのひとつとなり、そのために大きく貢献してくれたエサペッカ、ダニ、アンドレアスに心から感謝したい」とコメントを寄せる。
「来シーズンの新たな挑戦のためには、3台すべてのマシンの一貫性と安定性が非常に重要になる。そのためにも、2024年に素晴らしいシーズンを収めたアドリアンとアレクサンドルが我々のチームの一員となることをうれしく思う。今季の彼の素晴らしい戦績に感銘するだけでなく、ラリー1に復帰するまでの経験を経たことで新たな考え方と姿勢を持つようになった。ティエリー、オィット、アドリアンというラインナップが、2025年の世界のステージで強力な存在になると確信している」
WRCジャパンで3位フィニッシュを果たしてヒョンデへの移籍が発表されたフルモーは「2025年シーズン、ヒョンデ・モータースポーツから参戦することに、心から沸き立っている」とコメント。
「自分とアレックスにとって大きなチャンスであり、チームとの作業を始めることを楽しみにしている。ドライバーは、常に成長を見据えて自分をプッシュするもの。この機会は、適切なタイミングの適切なステップアップだと感じられる。ヒョンデは何年もWRCで存在感を示してきたので、今後、その一員となれることを誇らしく思う。 ベストを尽くし、この旅を進める準備はできている」