2024年に悲願のWRCドライバーズタイトルを獲得したヒョンデのティエリー・ヌービル。ディフェンディングチャンピオンとして、2025年の開幕戦直前のチームインタビューに登場したが、心持ちはいつものシーズンと変わらないことを語った。
Q:新王者としてシーズンに臨むにあたって何か変わりましたか?
ティエリー・ヌービル(以下、TN):正直、あまり思い当たらない。カウンターがリセットされて新しいシーズンが始まるわけだが、モチベーションも目標も情熱もまったく変わっていない。
Q:ほかのドライバーに対する見方も変わっていませんか?
TN:今年に入って初めて会う人もいるが、以前からお互いをよく知っているし、特に変わったことはないと思う。ひとつ言えるとすれば、タイトル争いに関して肩の荷が下りた感じかな。でも、プレッシャーは常に感じているし、ブランドのために結果を出さなくてはならない点は変わらない。常にベストドライバーでありたい、そして成功したいという思いは以前と同じだ。それが、うまくいかなかった時のモチベーションになって僕らをプッシュしてくれる。決して諦めないのは、そのプレッシャーが存在するからだ。
Q:新学期が始まるような感じですが、開幕戦を目前に控えて、いまの精神状態を教えてください。
TN:新しいシーズンが始まることにワクワクしているし、ラリーモンテカルロは誰が何と言おうと伝説のラリーだ。ほかとは雰囲気がまったく異なるイベントだしね。だから、モンテをスタートできるのは、とてもうれしい。この雰囲気のなか、何が起こるか誰にも分からない。天候も絶えず変化するし、タイヤチョイスも重要になるし、ワクワクしている。
Q:ポイントシステムやタイヤなど、今年は多くの新しい要素があります。どのように適応しますか?
TN:ハイブリッドの件やリストリクターの径が少し小さくなったり、ポイントシステムなど、様々な変更点が存在するが、最も重要なのはタイヤのサプライヤーが変わったことだ。一日しかなかったテストデーでの天候条件が、今回のラリーでのコンディションとかなり違っていたので、タイヤをきちんとテストすることができなかった。この未知の要素があるので、最も重点を置くのは、ステージの走行を通じて新しいタイヤを理解して、それに適応していくことになるだろう。それができれば、これまでのようにフルアタックできるだろう。だから、今の時点ではどうなるか分からない。
Q:アドリアン・フルモーがチームに新規加入しましたが、彼はチームに馴染んでいますか?
TN:アドリアンがどのような人物なのか僕が説明するには、時期尚早だと思う。ライバルチームでの彼の成長は、ここ数年、僕自身も見てきたし、難しいシーズンも経験している。でもここ2年で大きく成長したと思うし、昨年はトップスピードと安定感でいうと、とてもいいパフォーマンスを見せた。ヒョンデがこの機会を活かして彼と契約したのは、いいことだと思う。でもチームメイトとしては、今年に入ってからヒョンデ・モータースポーツで会ったのが初めてだったし、今年のシーズンについても少し話をしたが、ラリーの準備やラリー中の協力などについてはまだ分からない。
(Keiko Ito)