2024年シーズンWRC開幕戦ラリーモンテカルロは、1月25日(土)に3日目の6ステージが行われ、トヨタのセバスチャン・オジエが、チームメイトのエルフィン・エバンスを20.3秒差に従えて首位の座をキープ。24.6秒差の総合3番手にはヒョンデのアドリアン・フルモーがつけている。
土曜日のルートは、サービスパークが置かれたギャップ西側のエリアに置かれた「La Motte-Chalancon / Saint-Nazaire(27.00km)」、「Aucelon / Recoubeau-Jansac(15.48km)」、「La Batie-des-Fonts / Aspremont(17.85km)」の3SSをサービスを挟んでリピートする。SS11/SS14が安全上の理由で、20.85kmから15.48kmに短縮されたことで、SS走行距離は120.66kmに変更された。それでもラリー最長の距離を走行する1日となる。
この日のルートはドライ路面がメインとなるが、ウエットやマディな箇所も点在。トップクルーの多くはソフトをメインに、スーパーソフトを組み合わせてサービスをスタートした。前日、最終ステージ後のロードセクションでラリー続行を断念したグレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ・フォード)はマシンを修復し、再出走を果たしている。
オープニングのSS10は、クリーンな路面を走行した先頭スタートのミュンステールが、セバスチャン・オジエ(トヨタ)に0.8秒、カッレ・ロベンペラ(トヨタ)に1.8秒、勝田貴元(トヨタ)に3.0秒差をつける初ベスト。総合2番手を争うエルフィン・エバンス(トヨタ)と、アドリアン・フルモー(ヒョンデ)が、5.0秒差のSS5番手タイムで並んだ。上位の順位は変わらず、首位オジエと総合2番手エバンスの差は16.8秒。エバンスを1.6秒差でフルモーが追う。以下、39.5秒差の総合4番手にロバンペラ、56.6秒差の総合5番手にオィット・タナック(ヒョンデ)、1分39秒9差の総合6番手で勝田が続く。
このステージ、前日からトラブル続きのヌービルは、スタートで1分近くをタイムロス。「ステージスタート時にローンチしたらアラームもなく、急にパワーを失ってしまった。ジャパンと同じでターボトラブルかと思ったが、止まってリセットしたらうまくいった」と、首を傾げた。前後のタイムが離れていたため、総合8番手をキープしている。
安全性の確保を理由に距離が短縮されたSS11。タナックがフルモーに6.9秒差、エバンスに9.0秒差のベストタイム。フルモーは0.5秒差ながらエバンスを上まわり、総合2番手に順位を上げた。13.0秒差のSS5番手タイムに沈んだ首位のオジエは「この走行順だと、前走車によって掻き出されたグラベルで路面がかなり汚れてしまう。予想はしていたが、それ以上だったよ」と、肩をすくめる。
SS12は、初日から少しずつペースを上げてきた勝田が、今回のラリーで初となる一番時計をたたき出した。前後ともにタイム差があり、総合6番手のまま順位は変わらないが、「想定していたとおりのトリッキーなステージでした。かなりスリッパリーでしたが、いいタイムで走れましたね」と笑顔を見せた。首位のオジエは2.4秒差のSS3番手タイムをマークし、フルモーとの差を17.2秒へと再び拡大した。総合2番手のフルモーと3番手のエバンスとの差は2.8秒。総合4番手のロバンペラと5番手タナックとの差は1秒に縮まっている。
ギャップでのサービスを挟んだ午後のセクション、サービス周辺では弱い降雨もあったが、ステージのコンディションはドライのまま。午後も午前中と同じように、ドライを想定したソフトとスーパーソフトの組み合わせで、トップクルーはサービスを後にした。
SS13、1回目の走行で荒れた路面を警戒したフルモーは、ベストタイムのタナックから6.4秒差のSS7番手タイムに沈む。1.9秒差のセカンドベストで走行したエバンスが総合2番手に浮上。タナックもロバンペラを捕らえ、総合4番手に順位を上げている。続くSS14もタナックがベストを刻み、SS4番手タイムながらも2.4秒エバンスを上まわったフルモーが、総合2番手の座を取り返した。勝田はマシンエラーが出たことで20秒近くをロスするが、ポジションに影響はない。
この日を締めくくるSS15、タナックがベストを刻み、午後に行われたすべてのステージを制し、総合5番手のロバンペラとの差を21.1秒に拡大。フルモーはベストから7.0秒差のSS7番手に遅れ、SS2番手タイムのエバンスが4.3秒差をつけて再度総合2番手にポジションアップを果たしている。
首位のオジエはインカットによるコンディション悪化の影響を受け、ベストタイムこそなかったものの、危なげなくトップを走行。エバンスに20.3秒差をつけて最終日に挑むことになった。「楽な1日ではなかったし、路面に掻き出されたマッドで何度か危ない局面もあった。少しだけ後続との差を拡大できたけど、明日もまだトリッキーなステージが続くことになる」と、オジエは慎重に言葉を選んだ。
エバンスと総合3番手のフルモーの差は4.3秒。さらに連続ベストで猛追したタナックがフルモーの2.5秒差に迫っており、サンデーポイントが掛かった最終日は、熾烈な表彰台争いが繰り広げられることになりそうだ。前日からひとつ順位を落としたロバンペラは、首位から55.0秒差の総合5番手。SS14でマシンのマイナートラブルに見舞われながらも、無事に走り切った勝田は1分43秒7差の総合6番手につけている。
競技最終日はSS16〜SS18の3SS、SS走行距離は50.90km。オープニングのSS16は日本時間1月26日の14時39分にスタートする。
WRCモンテカルロ SS15後暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:42:48.2
2. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +20.3
3. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +24.6
4. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +27.1
5. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +55.0
6. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:43.7
7. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:09.9
8. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +5:17.5
9. J.マカリアン(フォード・プーマ・ラリー1) +8:25.4
10. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:33.0