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©FIA
今季のWRC、第2戦はシーズン唯一のピュア・ウインターラリーをスウェーデンで迎える。豊富な雪のコンディションを確保するために2022年から同国北部のウメオを拠点に移したイベントで、WRCのトップドライバーが選手権屈指の高速ステージに挑む。
今回が72回目の開催となる長寿イベントでは、今季5戦で構成されるジュニアWRC(フォード・フィエスタ・ラリー3のワンメイク)も開幕する。FIAラリースタードライバーのテイラー・ギル、マックス・スマートのほか、FIAとWRCプロモーターによる女性ラリードライバー育成プログラム「Beyond Rally Women’s Driver Development Programme」からクレア・シューンボルンとリシア・ボーデが参戦。ふたりは、今季の残り4戦のシートをかけてこの一戦での選抜に臨む。
昨年のジュニアWRCチャンピオン、ロメ・ユルゲンソンは、シリーズ特典として、このスウェーデンで初めてラリー2マシンで参戦。フォード・フィエスタ・ラリー2でWRC2部門に挑む。また、2024年のジュニアERCチャンピオンのミーレ・ヨハンソンは、シリーズ特典として今季のジュニアWRCに参戦する。
■ハンコックはスタッドタイヤを供給
今季からWRCの公式タイヤサプライヤーを務めるハンコックは、すべての4WD車両にタングステン鋼のスタッドが埋め込まれたウインターi*Pike SR10Wを供給する。ラリー1マシンがイベント中に使用できるタイヤ本数は最大28本。
■エントリー状況
トヨタ・ガズーレーシングWRT:この第2戦にも5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリー。前戦モンテカルロを制したセバスチャン・オジエは、スウェーデンは参戦プログラムには入れていない。エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラは、2020年、2022年にそれぞれスウェーデンを制している。マニュファクチャラーズ選手権には勝田貴元をノミネート。トヨタ・ガズーレーシングWRT2からエントリーするサミ・パヤリに加え、プライベーターのロレンツォ・ベルテッリも登場する。
ヒョンデ・シェル・モビスWRT:このスウェーデンでアップグレード版のi20Nラリー1を投入。現チャンピオンのティエリー・ヌービル、2023年にスウェーデンを制したオィット・タナック、チームからの初参戦となった前戦モンテカルロでいきなり5位フィニッシュをマークしたアドリアン・フルモーは、昨年のスウェーデンで自身初のポディウムフィニッシュを飾っている。
Mスポーツ・フォードWRT:ラリー1でのフル参戦2年目に挑んでいるグレゴワール・ミュンステールと、モータースポーツ・アイルランド・ラリーアカデミー出身で今季からラリー1での参戦を始めたジョッシュ・マカリアンをエントリー。また、今季6戦の参戦が発表されたマルティンス・セスクスは、今季初戦に臨む。プライベーターのジョルダン・セルデリディスは、昨年のセントラルヨーロピアンラリー以来のWRC参戦となる。
■サポートカテゴリー
WRC2部門には20台、WRC3にはジュニアWRCの12台を含め計22台がエントリーしている。
WRC2のトップシードは、今季からプリントスポーツが走らせるトヨタGRヤリス・ラリー2での参戦を開始した地元スウェーデン出身のオリバー・ソルベルグ。同じマシンでは、エストニアのゲオルグ・リンナマエ、TGR WRCチャレンジカッププログラムの2期生、小暮ひかると山本雄紀、フィンランドのルーペ・コルホネン、先日、18歳でフィンランドラリー選手権のアークティック・ラップランドラリーを史上最年少で勝利したトゥッカ・カウッピネンもエントリーしている。
シュコダ・ファビアRSラリー2勢では、フィンランドのミッコ・ヘイッキラ、ラウリ・ヨーナ、スウェーデンのイザック・レイエルセン、ポンタス・ティデマンド、パラグアイのファブリツィオ・ザルディバールが登場する。
シトロエンC3ラリー2のラケーレ・ソマスキーニは初めてのWRCスウェーデン参戦。WRCマスターズカップにはマイケル・スロウロウがGRヤリス・ラリー2で初めて参戦する。
WRC3部門には、パラグアイ出身の現王者、ディエゴ・ドミニゲスのほか、マッテオ・シャティロン(ルノー・クリオ・ラリー3)、マッテオ・フォンタナ(フィエスタ・ラリー3)もエントリーしている。
■ラリールート
今年のWRCスウェーデンのルートには、シェイクダウンとなるウメオ中部のStrandpromenaden(3.44km)、金曜日のAndersvattnet(20.51km)とBack(10.80km)、土曜日のKolksele(16.06km)と多くの変更が行われている。
木曜日の午前にシェイクダウンを行った後、競技はこの日現地時間19時05分から、Umea Sprint(5.16km)の1回目の走行から始まる。このステージの終盤は、スタートセレモニーが行われるレッドバーン・アリーナの敷地を走行する。
金曜日は、ウメオでのサービスを挟んで3SSを2ループした後、Umea Sprintの2回目の走行で締めくくられる。
土曜日は、Kolksele, Sarsjoliden(14.23km)、Vannas(15.65km)の3本を2ループした後、日曜日にはパワーステージに指定されているUmea(10.08km)の1回目の走行を行う。
日曜日は2024年と変わらず、Vastervik(29.35km)を2回走行した後、Umeaのパワーステージで締めくくる3SSでの構成となる。
■ラリースウェーデンアイテナリー
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■ラリーデータ
開催日:2025年2月13日〜16日
サービスパーク設置場所:ウメオ
総走行距離:1060.05km
総ステージ走行距離: 300.22 km(SS比率28.3%)
総SS数:18
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#1)
オィット・タナック(#8)
アドリアン・フルモー(#16)
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
エルフィン・エバンス(#33)
カッレ・ロバンペラ(#69)
勝田貴元(#18)
[Mスポーツ・フォードWRT]
グレゴワール・ミュンステール(#13)
ジョッシュ・マカリアン(#55)
[トヨタ・ガズーレーシングWRT2]
サミ・パヤリ(#5)
選手権外でラリー1マシンでのエントリー
ジョルダン・セルデリディス(#9、Mスポーツ・フォードWRT)
マルティンス・セスクス(#22、Mスポーツ・フォードWRT)
ロレンツォ・ベルテッリ(#37、トヨタ・ガズーレーシングWRT)
■2025年ラリースウェーデン最終結果
1 E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) 2:33:04.9
2 E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +29.6
3 A.フルモー(フォード・プーマ・ラリー1ハイブリッド) +47.9
■近年のWRC開催でのウイナー
2024年 E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド)
2023年 O.タナック(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1)
2022年 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2021年 COIVD-19のため開催キャンセル
2020年 E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)