WRCスウェーデン:激戦の首位争いを展開したトヨタ2台が1‐2フィニッシュ – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCスウェーデン:激戦の首位争いを展開したトヨタ2台が1‐2フィニッシュ

©TOYOTA

WRC開幕戦ラリースウェーデン(グラベル&スノー)は競技最終日となる2月17日、SS16〜SS18の走行が行われ、トヨタ勢はエルフィン・エバンス/スコット・マーティンと勝田貴元/アーロン・ジョンストンが最後まで激しい首位争いを展開し、1‐2フィニッシュを飾った。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは総合5位、サミ・パヤリ/マルコ・サルミネンも総合7位でのフィニッシュを果たし、トヨタはマニュファクチャラーズ選手権でのリードを広げた。
(以下、チームリリース)


WRC 第2戦 ラリー・スウェーデン デイ4
チームメイト同士のバトルを制したエバンスが今季初優勝
勝田は総合2位を獲得し、TGR-WRTは1-2フィニッシュを達成

TOYOTA

2月16日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンの最終日デイ4が、スウェーデン北部ウーメオーのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)が優勝。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合2位に入り、チームは開幕から2戦連続で1-2フィニッシュを飾りました。また、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合5位を獲得。TGR-WRT2からエントリーしたサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合7位でフィニッシュしました。

ラリー・スウェーデンの最終日デイ4は、サービスパークの北東エリアに展開する「ベステルビーク」のステージをSS16/17として2回走行した後、最終のSS18「ウーメオー」でフィニッシュ。3本のステージの合計距離は67.32kmでした。早朝のウーメオー周辺はやや雲が多く、気温はマイナス10度程度。ステージの路面は最終日もしっかりとしたアイスに覆われ絶好のコンディションが保たれました。ただし、夜中に降った雪によりステージの一部路面は少量の新雪に覆われ、出走順が早いドライバーたちにとってはやや不利な走行条件となりました。

土曜日のデイ3終了時点で、首位エバンスと総合2位の勝田の差は3.0秒。2台のGR YARIS Rally1による激しいトップ争いは最終日も続き、今大会最長となる、全長29.35kmのベステルビーク1本目のSS16では、勝田がベストタイムを記録。5番手タイムのエバンスより7.5秒速いタイムで首位に立ち、総合2位に後退したエバンスに4.5秒のリードを築きました。

ウーメオーでの15分間のサービスを経てスタートしたベステルビークの再走ステージ、SS17ではエバンスが反撃。2番手タイムのティエリー・ヌービル(ヒョンデ)より6.7秒、3番手タイムをオィット・タナック(ヒョンデ)と分け合った勝田より8.2秒速い圧巻のベストタイムで、勝田を逆転して首位に復帰。3.7秒のリードを築きました。そして迎えた最終のパワーステージ、SS18ではエバンスが、2番手タイムの勝田に0.2秒差のベストタイムを記録し、差を3.8秒に拡げて今シーズン初優勝、WRCキャリア10勝目を飾りました。なお、二人の勝敗を分けた3.8秒は、ラリー・スウェーデンの歴史において最僅差となります。

エバンスのラリー・スウェーデンでの優勝は、ヤリスWRCで出場した2020年大会以来2回目。5年前も、今回と同じく2月16日に表彰台の中央に立ちました。エバンスは、日曜日のステージのみの合計タイムで競われる「スーパーサンデー」、そしてボーナスポイントを獲得可能なパワーステージも制したことにより、1戦で獲得可能な最大ポイントの35ポイントを持ち帰ることに成功。ラリー・モンテカルロで優勝するも今回は欠場したオジエを抜き、ドライバー選手権でトップに立ちました。また、勝田も総合2位、スーパーサンデー2番手、パワーステージ2番手とエバンスに次ぐ大量ポイントを獲得。TGR-WRTは開幕から2戦連続で最大ポイントを獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権における首位の座を守り、ランキング2位のライバルチームに対するリードを48ポイント拡大しました。なお、今回の優勝によりトヨタのWRCにおける通算優勝回数は95回となり、史上2番目に多くの勝利を獲得したマニュファクチャラーとなりました。

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前日、総合5位まで順位を上げたロバンペラは、オープニングのSS16で3番手タイムを、SS17で5番手タイムを、パワーステージのSS18で4番手タイムを記録し、総合5位でフィニッシュ。また、スーパーサンデーでは5番手に入り合計13ポイントを獲得したことで、ドライバー選手権ではエバンス、オジエに続く3番手に順位を上げました。また、TGR-WRT2から出場のパヤリは、最終日も確実性を最優先した走りで経験を積み重ね、総合7位でラリーを終えました。

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サポート選手権のWRC2では、GR Yaris Rally2で出場した地元のオリバー・ソルベルグ(プリントスポーツ)がリードを守り優勝。総合でも9位を獲得しました。また、WRC2の2位にはローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)が入り、GR Yaris Rally2のカスタマーが1-2フィニッシュを飾りました。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
今回のラリー・スウェーデンは信じられないような接戦となり、私たちのドライバー2人が優勝を争う最終日は、神経がすり減るような展開になりました。エルフィンと貴元の戦い方、そして彼らの精神的な強さに、私は本当に誇りを感じています。エルフィンは1本目のステージで首位を失った後、2本目のステージで反撃に転じました。貴元は既に勝つための準備ができており、プレッシャーがかかる状況でもミスを犯さず、素晴らしいパフォーマンスを維持できることを示しました。ラリー全体を通して上位のドライバーたちの間には数秒の差しかなく、このような戦いが3日間続いたことは素晴らしいことです。我々のチームが最初の2戦で120ポイントという最大限のポイントを獲得できたということは、これ以上は望めないほど最高のシーズンスタートを切れたということですので、次のサファリラリー・ケニアが今から楽しみです。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)>>
素晴らしい週末でした。ラリーの大半でトップを走っていましたが、マージンは常に僅かでしたし、決して楽な展開ではありませんでした。今朝は最初のステージで、全力で戦いを仕掛けてきた貴元に少し不意を突かれる形になりましたが、幸いにもなんとか盛り返し、次のステージでは良いペースを取り戻すことができました。最終結果にはとても満足していますし、パワーステージで勝てたことも非常に嬉しく思います。私たちにとっては素晴らしいシーズンのスタートとなり、これ以上は望めないほどです。通常、ラリー・モンテカルロで良い結果を残した後に、スウェーデンでも良いリザルトを収めるのは難しいのですが、良いコンディションが我々にチャンスを与えてくれましたし、それを最大限に活かすことができたのではないかと思います。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)>>
全体的には、自分にとっては難しい週末でした。全力でプッシュしようとしたのですが、最終日も望んでいたようなペースやパフォーマンスを発揮することができませんでした。とても残念ですが、今回が今シーズン唯一のスノーラリーですし、次は全く異なるタイヤを装着するグラベルラリーなので、より強くなるために焦点を絞って努力する必要があります。今回はトップ争いをずっと、近くでフォローしていましたが、自分たちのチームのドライバーが1-2フィニッシュを達成し、チームに最大ポイントを持ち帰ってくれたことを本当に嬉しく思います。素晴らしい仕事をしたエルフィンに祝意を表すとともに、友人である貴元のことも誇りに思います。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)>>
エルフィン、そして自分のすぐ後ろに迫っていたヒョンデ勢とのバトルを満喫しました。ラリー全体を通して非常に激しい戦いが続き、プレッシャーを感じながらも心から楽しむことができました。最終的に、チームのために良い仕事をすることができましたし、クルマをフィニッシュに導き、多くのポイントを獲得できたことを嬉しく思います。チームのこの素晴らしい結果を祝福するとともに、最後から2本目のステージで素晴らしい走りをみせたエルフィンに脱帽です。次回、勝利を目指してさらにプッシュする準備はできています。週末を通してスピードを維持できたことは今後の自信につながるでしょうし、ケニアに向けても良いフィーリングを得ることができました。

<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)>>
全体的には本当に楽しいラリーでしたし、大きなミスを犯すことなくフィニッシュすることができて良かったです。それでも、金曜日の朝にタイヤがリムから外れてしまい、多くのタイムを失ってしまったことは非常に残念です。また、そのこともあって翌日以降の出走順があまり良くないものになってしまいました。それでも、自分たちには良いペースと瞬間的なスピードがあったと思いますし、トップ3のステージタイムを記録したことも含め、フィーリングは良かったです。今回は貴重な学習経験となりましたし、サポートしてくれたチームに感謝しています。

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<<ラリー・スウェーデンの結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h33m39.2s
2 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3.8s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +11.9s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +16.8s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +32.8s
6 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +2m09.4s
7 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m27.0s
8 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +4m08.6s
9 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m23.1s
10 ローペ・コルホネン/アンシ・ヴィニッカ (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m05.6s
(現地時間2月16日15時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<第2戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 エルフィン・エバンス 61ポイント
2 セバスチャン・オジエ 33ポイント
3 カッレ・ロバンペラ 31ポイント
4 ティエリー・ヌービル 29ポイント
5 オィット・タナック 26ポイント
6 勝田 貴元 25ポイント
7 アドリアン・フォルモ− 21ポイント
8 マールティンシュ・セスクス 8ポイント
9 サミ・パヤリ 6ポイント
10 ジョシュ・マッカーリーン 6ポイント

<<第2戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 120ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 72ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 25ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 11ポイント

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、3月20日から23日にかけて、アフリカのケニアで行われる第3戦「サファリ・ラリー・ケニア」です。長い伝統と知名度を誇るこのグラベル(未舗装路)ラリーは、2021年にWRCのシリーズに復帰。以降、2023年までの3年間は乾季にあたる6月下旬に行われていました。しかし、2024年大会からは降水量が多くなる3月に移動したことにより、降雨により路面コンディションが大きく変化する可能性もあります。サファリ・ラリーのステージは非常にハイスピードな道、「フェシュフェシュ」と呼ばれる軟らかい砂に覆われた道、岩や石が転がる荒れた道など変化に富み、雨が降ると路面は一気にぬかるんで非常に滑りやすくなります。



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