WRCスウェーデン:WRCチャレンジプログラムの2期生と3期生がフルスノーイベントで多くの学び – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

WRCスウェーデン:WRCチャレンジプログラムの2期生と3期生がフルスノーイベントで多くの学び

©山本雄紀/ジェームズ・フルトン/TOYOTA

WRC第2戦ラリースウェーデン(グラベル&スノー)では、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀がトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に、3期生の後藤正太郎と松下拓未がルノー・クリオ・ラリー4でWRC3部門に参戦。山本と小暮はそれぞれ部門9位、17位でフィニッシュ、松下はクラス4位を獲得した。後藤はメカニカルトラブルによりリタイアとなった。

後藤と松下は3月7日〜8日に開催されるフィンランドラリー選手権サボンリンナラリーで引き続きウインターラリーに参戦。このイベントには4期生のコ・ドライバーである前川富哉も、ヤルコ・ニカラと組んでラリー4クラスに参戦する。

(以下、発表リリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生の小暮と山本、3期生の後藤と松下が
フルスノーイベントのラリー・スウェーデンで多くの経験を積む

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀、3期生である後藤正太郎と松下拓未が、2月13日(木)から16日(日)にかけてスウェーデン北部のウーメオーを中心に開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」に出場。WRC全戦で唯一の「フルスノーイベント」となる伝統のウインターラリーで、山本はWRC2クラス9位、小暮は17位で完走。松下はWRC3クラス4位を獲得しましたが、後藤はメカニカルトラブルにより残念ながら完走を逃しました。

後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ/TOYOTA

ラリー・スウェーデンは厳寒期の北欧、スウェーデンを舞台に開催されるスノーラリーです。北部の都市ウーメオーの周辺に展開する、森林地帯の未舗装路面は雪と氷に覆われ、今年はとくに氷の層が厚く、気温もマイナス10度以下になるなど理想的ともいえる路面コンディションで4日間にわたりラリーが行なわれました。森林地帯の氷雪ステージは全体的に非常にハイスピードで、特殊な金属製のスタッド(=スパイク)が多数打ち込まれた、雪道専用の「スタッドタイヤ」が氷に食い込むことで高いグリップ力を発生。そのため、スウェーデンはWRCの中でもトップ3に入る高い平均速度を誇るハイスピードラリーとしても知られ、若手ドライバーたちにとっては挑戦し甲斐がある一戦となりました。

WRCのサポート選手権であるWRC2は、WRCのトップカテゴリーであるRally1車両に次ぐパフォーマンスを誇るRally2車両が多数エントリー。スウェーデン人のオリバー・ソルベルグや、フィンランド人のローぺ・コルホネンなど雪道育ちの強豪北欧ドライバーたちが速さを競う中、このラリーへの出場3年目の小暮と山本は、これまでの経験を活かしながら競争力のあるペースを発揮するべくラリーに臨みました。昨年に続き彼らはRally2車両のGR Yaris Rally2で出場。しかし、今年からタイヤサプライヤーがハンコック・タイヤに変わったことで、新しいタイヤの特性を理解し、ドライビングを合わせ込みながらの走行となりました。

トピ・ルフティネンとコンビを組む小暮は順調にラリーをスタートしましたが、金曜日のSS6で雪壁に当たりスタック。デイリタイアとなってしまいました。一方、今年からジェームズ・フルトンをコ・ドライバーに迎えた山本は、SS3でやはり雪壁でスタックし50秒程度をロス。WRC2クラス11位で金曜日を終えました。山本は土曜日のSS11でもスタックしてさらに多くのタイムを失いましたが、用意されたステージは全て走行。一方、再出走を果たした小暮は7番手タイムを2回記録するなど安定した走りで土曜日を走破しました。最終日の日曜日は、両者ともトップ10以内のタイムを刻み、山本はWRC2クラス9位でフィニッシュ。小暮はクラス17位で完走しました。

小暮ひかる/トピ・ルフティネン/TOYOTA

今回がWRCイベント初出場だった3期生の松下と後藤は、有望な若手ドライバーが集結するWRC3カテゴリーに、Rally3車両のルノー・クリオRally3で初挑戦。今回は彼らにとっては最も長い距離を走行するイベントとなりましたが、初めて走行するスウェーデンのスノーロードでふたりとも高いパフォーマンスを発揮。金曜日には何度か3、4番手タイムを記録し、ユッシ・リンドベリと組む後藤は4位で、ペッカ・ケランダーと組む松下は5位で金曜日を終えました。土曜日のステージでは松下が速さを示し、2番手タイムを2回記録。一時的に3位まで順位を上げました。一方、後藤もオープニングから3ステージ連続で3位につけるなど好調を維持。しかし、午後のステージで雪壁に当たりタイムを失ってしまいました。それでも、土曜日が終了した時点で松下が4位、後藤が5位と、両者とも上位争いができる順位につけていました。

日曜日は後藤にとってアンラッキーな最終日となり、ラリー最長ステージのSS16で松下を抜き4位に順位を上げるも、続くSS17でメカニカルトラブルによりリタイアを喫することに。一方、松下はSS17で4位に順位を戻し、初のWRCイベントをWRC3クラス4位という好成績で終えました。

松下拓未/ペッカ・ケランダー/TOYOTA

ユホ・ハンニネン(チーフインストラクター):
ひかると雄紀については、全体的にまずまずの週末でした。ひかるは金曜日にコースオフを喫したことで好結果の望みを断たれ、雄紀はいくつか小さなミスを犯してタイムを失いましたが、ほとんどのステージは彼らにとって良いものだったと言えます。ただし、彼らが良いペースを発揮しながらもクリーンにラリーを走り抜けられるように、我々はさらに一貫性を高めるべく改善を進める必要があります。タイヤも彼らにとっては新しい要素であり、ほとんどのドライバーにとってそうであったように、ラリー全体を通して彼らは適応を試みていました。一方、正太郎と拓未にとってはポジティブなWRC初挑戦となりました。残念ながら正太郎は日曜日に技術的な問題に見舞われましたが、それほど多くの距離を走り損ねたわけではありません。彼らにとって重要なのは、できるだけ多く走行距離を稼ぐことです。また、経験が不足していたにも関わらず、ふたりともミスなく、安定したスピードを維持していたので、将来有望だと思います。

小暮ひかる
まずまずのスタートを切り、金曜日の午後はもっとプッシュしようとしたのですが、予想以上にタイトなコーナーがひとつあり、スピードが速すぎて雪壁にハードにぶつかってしまいました。土曜日に再出走した時はリズムを掴むのに苦労しましたが、その後はどんどん良くなり、タイムも上がって行きました。昨年の自分のパフォーマンスと比較すると、確かに改善が見られましたが、新しいタイヤにドライビングを合わせるのにまだ苦労しているので、今後に向けて分析する必要があります。

山本雄紀

TOYOTA

簡単な週末ではありませんでしたが、完走し、全てのステージを走破できたのは本当にポジティブなことです。ステージのコンディションは、レッキの時にはほぼ完璧に見えたのですが、実際は思っていたよりもトリッキーでした。ラリー中は刻々とコンディションが変わっていきましたが、新しいタイヤを学ぶ上では良い経験になりました。雪壁に当たるなど、今週末のスタートはあまり良くなかったのですが、最終日にはタイヤをもっと理解しようとセットアップを変更し、それが上手くいきました。クルマをさらに信頼できるようになりましたし、速いペースに近づくこともできたので、良かったです。

後藤正太郎
全体的には、自分にとって驚くほど良いラリーになりました。ペースは アークティック・ラップランド・ラリーの時よりもずっと良かったですし、ペースノートもドライビングも大幅に改善したと思います。ラリー序盤はタイヤに慣れるのにやや苦労しましたが、その理由の一つはシェイクダウンでクルマに問題が発生し、タイヤをあまり試せなかったことです。最初のステージではブレーキをロックさせて、エンジンが止まってしまいました。しかし、その後はとても良いペースで走ることができました。土曜日の午後にはもう少しペースを上げようと試み、何度か危ない場面もありましたが、幸いにも走り続けることができました。日曜日にクルマに問題が発生したため残念ながら完走できませんでしたが、全体的にはとても満足のいくラリーでした。

松下拓未
自分にとっては素晴らしいWRCデビュー戦になったと思いますし、このイベントに出場できたことを本当に嬉しく思います。最初のステージから最後のステージまで、安定したペースを維持できたと思います。もちろん、ハンコック・タイヤという違いはありますが、アークティック・ラップランド・ラリーに出た時と比べると、クルマのフィーリングはかなり良く感じられました。夜のウーメオー・スプリントステージはとても楽しく、さらにプッシュできると感じましたし、ペースも悪くありませんでした。また、自分のドライビングに関しては改善すべき点が多く見つかりましたが、それもまた将来に向けてはポジティブな要素です。

ラリー・スウェーデンの結果(WRC2クラス)
1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR Yaris Rally2) 2h42m02.3s
2 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2) +42.5s
3 Mikko Heikkilä/Kristian Temonen (Škoda Fabia RS Rally2) +1m08.3s
4 Lauri Joona/Samu Vaaleri (Škoda Fabia RS Rally2) +1m43.9s
5 Isak Reiersen/Stefan Gustavsson (Škoda Fabia RS Rally2) +3m03.4s
6 Fabrizio Zaldivar/Marcelo Der Ohannesian (Škoda Fabia RS Rally2) +3m35.3s
9 山本 雄紀/ジェームズ・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2) +7m17.3s
17 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2) +34m38.0s

ラリー・スウェーデンの結果(WRC3クラス)
1 Taylor Gill/Daniel Brkic (Ford Fiesta Rally3) 2h51m17.7s
2 Matteo Fontana/Alessandro Arnaboldi (Ford Fiesta Rally3) +1m13.1s
3 Ali Türkkan/Oytun Albayrak (Ford Fiesta Rally3) +1m31.1s
4 松下拓未/ペッカ・ケランダー (Renault Clio Rally3) +1m50.0s
5 Kerem Kazaz/Corentin Silvestre (Ford Fiesta Rally3) +2m48.3s
6 Adam Grahn/Maja Bengstsson (Ford Fiesta Rally3) +6m50.2s
R 後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ (Renault Clio Rally3)



RALLY CARS