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ラリー三河湾初日、新井大輝がSS1でまさかのリタイア、ヘイキ・コバライネンが鎌田卓麻と僅差のバトル

©Jun Uruno

2025年シーズン全日本ラリー選手権開幕戦「Rally三河湾2025 Supported by AICELLO」の初日は、3月1日(土)に7カ所のスペシャルステージを走行。トップカテゴリーのJN-1クラスは、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)が、鎌田卓麻/松本優一(シュコダ・ファビアR5)に、4.1秒差をつけて初日トップに立った。8.9秒差の3番手には勝田範彦/保井隆宏(トヨタGRヤリス・ラリー2)がつけている。

昨シーズンの最終戦高山から約5カ月のインターバルを経て、全日本ラリー選手権は、開催2年目のラリー三河湾で新たなシーズンの幕を上げた。トップカテゴリーのJN-1クラスは、鎌田がスバルWRX STIから、シュコダ・ファビアR5にスイッチ。鎌田待望のR5は、日本のファンにもお馴染みのカストロールカラーにペイントされた。福永修/斉田美早子は、予告どおり最新のシュコダ・ファビアRSラリー2を導入。新井敏弘/小坂典嵩は、軽量化とリヤサスペンションをアップデートしたスバルWRX S4を持ち込んだ。

昨シーズンの王者、新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)は、新たに「R2R×YAHAGI Racing Team」を結成し、全日本ラリーへの参戦継続を果たした。チーム運営はR2R、車両メンテナンスなどは愛知県豊田市に本拠地を置く矢作産業が担当する。

今年のラリールートも、山間部に組まれた高低差のあるワインディングロードや、竹島埠頭を利用したフラットなコースなど、バリエーションに富んだステージ構成を採用。ラリー初日は「SSS がまごおり竹島(0.87km)」、「SSS 西浦シーサイドロード(4.44km)」、「三河湾スカイライン(10.08km)」の3SSをサービスを挟んでリピートし、最後に多くのギャラリーが集まる「SSSキズナ1(0.70km)」で締めくくる7SS、31.48km。

金曜日の夕方、今年も蒲郡駅前で華やかなセレモニアルスタートが実施された。本格的なステージが幕を上げた3月1日土曜日、オープニングのSS1からいきなりドラマが待っていた。スタート直後、先頭スタートの新井大輝のファビアR5にトラブルが発生。リヤデフのオイル漏れを起こしてしまう。新井大輝はこのステージを制した福永から1.6秒差の3番手タイムで走り切ったものの、悔しいデイリタイアを決めた。このステージではスタートで鎌田がストール、始動し直し、数秒をロスしてのスタートとなった。

SS2は鎌田が、勝田に0.5秒、コバライネンに0.9秒、奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)に2.9秒差をつける久々のベストタイム。5.3秒差の5番手タイムに沈んだ福永は総合5番手にドロップし、勝田がコバライネンに0.1秒差でトップに浮上した。以下、1.7秒差の総合3番手に鎌田、2.2秒差の総合4番手に奴田原、3.0秒差の総合5番手に福永というオーダーだ。

この日最長の10.08kmを走行するSS3も、鎌田がコバライネンに4.2秒差をつける連続ベスト。3番手から、コバライネンに2.6秒差の首位にジャンプアップした。勝田は3.8秒差の総合3番手にポジションダウンし、5.9秒差の総合4番手には奴田原がつける。総合5番手の福永は思うようにペースが上げられず、首位鎌田との差は21.5秒差に拡大した。JP-4規定マシンで孤軍奮闘する新井敏弘は、25.6秒差の総合6番手とこちらも優勝争いから脱落している。

サービスを挟んだ午後のセクション。SS4は午前中に続き、福永が鎌田とコバライネンに0.7秒差のベストタイム。SS5は、コバライネンが今回ラリー初となる一番時計をたたき出し、首位鎌田との差を一気に0.2秒差にまで縮めてみせた。ロングステージのSS6は、コバライネンが鎌田に3.4秒、勝田に4.1秒差をつける連続ベストを刻む。これで鎌田に3.2秒差をつけて、コバライネンが首位に立った。

この日を締めくくるSS7は、大歓声の中、福永がこの日3度目となるベストタイム。午前中はタイヤと路面のマッチングを踏まえて慎重に走行していたコバライネンは、気温が上がった午後にプッシュ。合計タイムで2番手につける鎌田に4.1秒差をつけて、初日を折り返した。

「今朝はミディアムタイヤのウォームアップに少し問題があったんだ。でも、午後は気温が上がってきたことで、同じコンパウンドがしっかりと機能してくれた。あと、ラリージャパンでのクラッシュもあったから、午前中はすこし躊躇してしまったんだろうね。午後は自信が戻ってきて、アタックもできたよ。明日は接戦が続いているし、午前中どのタイヤを選ぶのか考えていると」と、コバライネンは慎重にコメントした。

久々の優勝争いとなった鎌田は、「ヘイキが速かったですね。僕としては今日は上出来です。無理をせず淡々と走って、このタイムとポジションは100点満点です。これまでやってきた経験が活きて、今のスピードがあります。スバルさんに鍛えてもらったことで、無駄ではなかったと実感しています」と、納得の表情をみせている。

JN-1クラスは、8.9秒差の3番手に勝田、16.1秒差の4番手に奴田原と、ベテランのふたりは優勝争いから一歩後退。ただ、最終日に44.84kmの距離が残されており、順位が大きく動く可能性もある。ハイスピードステージで思うようにタイムを出せなかった福永は、35.3秒差の5番手。大幅にマシンをアップデートして挑んだ新井敏弘は、49.4秒差の6番手につけている。

以降、JN-2クラスはMORIZO Challenge Cupにエントリーする大竹直生(トヨタGRヤリス)、JN-3クラスは山本悠太(トヨタGR86)、接戦となっているJN-4クラスは藤原友貴(スズキ・スイフトスポーツ)、JN-5クラスは中溝悠太(トヨタ・ヤリス)、JN-Xクラスは今季からマシンをトヨタRAV4 PHEVにスイッチした天野智之が、それぞれクラス首位に立っている。

Jun Uruno



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