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全日本ラリー三河湾:MCC開幕戦に9名がエントリー。大竹直生が大差をつけて勝利

©TOYOTA

2月28日〜3月2日に愛知県蒲郡市を拠点として開催された全日本ラリー選手権開幕戦「ラリー三河湾」(ターマック)では、創設2年目を迎えるMORIZO Challenge Cup(MCC)も開幕。シーズン初戦には、昨年を上回る9台のエントリーを集めた。今季から対象車両には、マニュアルミッションのトヨタGRヤリスに加え、高性能スポーツ8速AT(GR-DAT)を搭載車両も加わったほか、女性ドライバーを対象とした賞典も設けられるなど、様々な発展が見られた。エントラントには、第2戦以降からの参戦を表明しているチームや複数ドライバーでシェア参戦を試みるチームもあり、シーズンを通してさらなる盛り上がりが期待される。

今回のラリーでは、参戦2年目の大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 RALLY)がスタートから首位を譲らない強さを見せ、勝利を飾った。

(以下、チームリリース)


MORIZO Challenge Cup 第1戦 Rally三河湾2025 Supported by AICELLO
9名の若手が集結した開幕戦
大竹が2位以下に大差をつけて勝利

3月1日(土)〜2日(日)にかけて、2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第1戦「RALLY三河湾 2025 Supported by AICELLO」が、愛知県蒲郡市を拠点に開催され、JN-2クラス内の若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ(TGR-WRJ)から参戦する大竹直生選手/橋本美咲選手が優勝を飾りました。

TOYOTA

MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に2024年から導入された、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリー。今シーズンもJN-2クラス車両規定をベースとした「トヨタGRヤリス」で争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで28歳以下)のドライバーが対象。MCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。また、シリーズ年間成績優秀者には、副賞としてTGR WRCチャレンジプログラム最終選考の参加資格が与えられます。

開幕戦のラリー三河湾には大竹直生選手、ジール・ジョーンズ選手、長尾綱也選手、最上佳樹選手、木内秀柾選手、松原周勢選手、稲葉摩人選手、兼松由奈選手、平川真子選手と、昨年を上まわる9名がエントリー。林道やショートサーキット、ダートコースも含めた様々なキャラクターを持つ14のスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)が、選手たちを待ち受けます。

ラリー初日、序盤から素晴らしいスピードを見せたのは、MCC参戦2年目となる大竹選手。SS1からSS4まで連続ベストタイムをマークし、ラリーをリードしました。ショートサーキットと海沿いの一般道を組み合わせたSS5は兼松選手が獲得するも、SS6では大竹選手が再びベストを獲り返し、順調に後続との差を広げていきます。

この日を締めくくるSS7は、ダートコースが舞台。GR-DAT搭載車両の長尾選手が今大会初のベストタイムをマークしました。風が少なくダストが滞留するなか、ここまで好タイムを記録していた稲葉選手、最上選手、ジョーンズ選手、松原選手は痛恨のミスコースを喫しペナルティが科されたことで、大きく順位を落としました。この結果、首位の大竹選手から52.1秒差の2番手に兼松選手、58.1秒差の3番手に木内選手、63.3秒差に長尾選手という順位で初日を終えています。また、平川選手はSS4でクッションドラムに接触した際、車両にダメージを負い、SSを走り切ったのち大事をとってレグ離脱を決めました。

ラリー最終日、十分なリードを確保した大竹選手が慎重なペースに切り替えた一方、2番手の兼松選手がSS9で大竹選手を上まわるタイムをマークしました。しかし、サービスを挟んだ午後のセクション、SS11を制した稲葉選手が兼松選手をかわして、2番手に浮上。SS8、SS9とSS12でベストタイムをマークしたジョーンズ選手も、4番手まで順位を戻しています。

首位の大竹選手はSS13、SS14とベストタイムで締めくくり、2位の稲葉選手に1分以上の大差をつけて勝利。昨年からMCCに参戦する稲葉選手は、初の表彰台獲得となりました。今回が日本のラリー初出走ながらも、3度のベストタイムを刻んだジョーンズ選手が3位表彰台を獲得しています。

■大竹直生(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
目標どおり、ペースをコントロールしながら走ることができました。初日、あまり無理せずに走ってマージンを得られたことで、2日目は余裕を持つことができました。特に危ないと感じた林道は極力抑えて、周囲のタイムを気にせず、自分のペースで走りました。このようなラリーの戦い方は初めてで、本当に勉強になりました。初日、プッシュが必要な時にもっと安全に速く走れた気がします。そうした見極めは、次戦以降に向けた課題だと思っています。

■稲葉摩人(MCC2位)
MCCで2年目のシーズンですが、初めての表彰台です。今回のラリーは精神的に本当に鍛えられました。これまでであれば、『落ち着いて』と言われても『いや、自分なら』と焦ってしまう局面がありました。1年間走ってきたことで、慢心してはいけない、落ち着いて戦わなければならない、でも力は抜かなければならないと、ラリーの奥深さを知りました。コ・ドライバーの竹下紀子選手からは『鼻歌を歌いながら走りなさい』という指示もありましたし、辻井利宏監督からも、自分の走りに向き合うことを課題に挙げていただきました。自分の走りを見直すことで、ここまで成長できるのかと驚いています。あらためて、チームの皆さんに感謝したいです。

■ジール・ジョーンズ(MCC3位)
最終日は良いペースを発揮できましたし、自分が持つパフォーマンスを見せられたと思っています。林道SSでは良いペースで走れましたが、ジムカーナやラリークロスの経験がないので、そこが課題だと感じました。MCCで戦えることを証明でき誇らしく思いましたし、経験の少ないターマックでの自信を得ることができました。ここで戦うチャンスを実現してくれたチームとパートナーに感謝しています。シリーズは今後も続きますし、次のラリーが楽しみです。

■兼松由奈(MCC4位/最優秀女性ドライバー賞)
楽しく走ることができました。初日に他のドライバーにペナルティが科されたことで、思いがけず順位が上がって、表彰台争いになりました。最終日はクラス2番手タイムを2回記録できたので、得意な場所では十分戦えること、そして苦手な場所でのタイムを伸ばしていかなければならないと実感しました。自分の長所と課題がはっきりと分かった、本当に勉強になったラリーでした。今回、焦ってシフトミスをしてしまうことが多かったのですが、間に合えば次戦の唐津からDATを導入するので、シフトミスの心配がなくなりそうです。

TOYOTA

■松原周勢(MCC5位)
率直に、GRヤリスのスピードを実感しました。これまで経験してきた2輪駆動車よりも、インカットやギャップを越えた際の安定感がとても高く、信頼して突っ込むことができましたが、スピードが乗りすぎて危ない局面もありました。今回、自分の経験として、マシンの様々な特色をつかめたと感じています。大きく成長できた一戦になりました。

■木内秀柾(MCC6位)
ラリーを終えて、悔しさと自分の未熟を実感しました。まだクルマをしっかり操れていないため、タイムに繋がっていないと感じています。GRヤリスが持つポテンシャルはもっと高いのですが、自分がそれを活かすことができませんでした。走っていてもそれを感じる瞬間がたくさんありましたし、すごく悔しかったです。

■長尾綱也(MCC7位)
DATの性能に助けられたラリーでした。今回、舗装路面や新しいタイヤの使い方などを学ぶことになりましたが、MTではここに複雑なシフト操作が絡んできます。それがDATによって、簡略化された印象です。10kmを超えるロングSSは未知の領域だったので、だいぶ苦戦しましたが、コ・ドライバーの安藤裕一選手は100%を越えないように僕をしっかりコントロールしてくれました。ノートづくりを含めて指導をいただいているので、今回の完走は間違いなく安藤選手のおかげだったと思います。

■最上佳樹(MCC8位)
昨年に続き2年目のMCC参戦です。昨年のラリー三河湾では『怖い』としか思えなかった初日の高速SSを気持ち良く走ることができました。昨シーズンを通じてメンタル面で成長したことを自分としても感じています。ラリーは初日のペナルティもあり、最終日は順位を意識せずに走ることになりました。それでも『乗れていないな』と感じることが多かったので、このあたりを課題として、次戦の唐津に挑みたいです。

■平川真子(MCC9位)
サーキットも林道も走る、盛りだくさんのラリーでした。初日はレグ離脱となってしまいましたが、チームの皆さんがクルマを修復してくれて、最終日はしっかり走り切れたので、ひとまず安心しています。チームの皆さんが暖かく見守ってくださっているので、気持ち良くラリーを走ることができています。開幕戦を終え、その中で課題がたくさん見つかったので、必ず次につなげていきたいと思っています。

全日本ラリー選手権第1戦 Rally三河湾2025 Supported by AICELLO
MORIZO Challenge Cup最終結果

1 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 Rally) 1:00:04.5
2 稲葉摩人/竹下紀子(MATEX-AQTEC DL KYB Yaris) +1:12.7
3 ジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン(CUSCO WM DL GR Yaris) +1:27.7
4 兼松由奈/山下秀(ロッソモデロ 大東建託 GRヤリス) +1:51.6
5 松原周勢/槻島もも(CUSCO WM DL GR Yaris) +2:56.6
6 木内秀柾/藤田めぐみ(CUSCO WM DL GR Yaris) +3:13.8
7 長尾綱也/安藤裕一(WPMS GRヤリスDAT) +3:40.7
8 最上佳樹/小藤桂一(FIT-EASY Racing ZEAL GRYARIS) +5:15.1
9 平川真子/竹原静香(GR YARIS GR4 Rally DAT) +33:48.3
参戦9台、出走9台、完走9台

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