全日本ラリー三河湾:勝田範彦/保井隆宏がGRヤリス・ラリー2で三河湾連覇 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー三河湾:勝田範彦/保井隆宏がGRヤリス・ラリー2で三河湾連覇

©Jun Uruno

■レグ2

ラリー2日目は「豊川宮路山(10.70km)」、「岡崎桑谷とぼね(6.57km)」、「深溝運動公園(4.80km)」の3ステージをサービスを挟んでリピートし、最後に前日も走行したギャラリーステージ「SSSキズナ2(0.70km)」で締めくくる7SS、44.84km。ハイスピードセクション中心の前日から一転、ツイスティな林道ステージが中心の1日となる。

JN-1クラスは、初日のSS1でデフトラブルによりレグ離脱していた新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)が早朝までかけてマシンを修復し、再出走にこぎつけた。前日のSS7においてヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)がミスコースにより1分間のペナルティが科されたことを受けて、鎌田卓麻/松本優一(ファビアR5)が首位で最終日をスタートする。

4.8秒差の2番手に勝田範彦/保井隆宏(GRヤリス・ラリー2)、12.0秒差の3番手の奴田原文雄/東駿吾(GRヤリス・ラリー2)、31.2秒差の4番手に福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアRSラリー2)、45.3秒差の5番手に新井敏弘/小坂典嵩(スバルWRX VBH)、55.9秒差の6番手にコバライネンというオーダーで最終日をスタートした。

オープニングのSS8はマシントラブルを解消した新井大輝が、勝田に9.6秒差をつける圧巻のベストタイム。鎌田は16.5秒差の4番手タイムに沈み、勝田が鎌田に2.1秒差をつけて首位に立った。3番手タイムのコバライネンは福永をかわして総合4番手に浮上。このステージでは新井敏弘がコーナーでマシンをヒットし、右フロントの足まわりにダメージを負ったことでリタイアを決めている。

レグポイントを狙う新井大輝はSS9、SS10と連続ベストタイムをマーク。一方、SS9では鎌田が、イン側の側溝に引っかけてスピンし、道が狭いためにコース復帰まで20秒以上もタイムロスしてしまう。これで奴田原が首位の勝田に22.2秒差の2番手にポジションアップ。午前中のセクションを終えて、首位勝田と2番手奴田原との差は20.4秒。24.9秒差の3番手に鎌田、47.0秒差の4番手にコバライネン、1分14秒8差の5番手に福永というオーダーで続く。

サービスを挟んだ午後のセクション「昨日のペナルティで順位も下げたし、無理な走りはしない」と語っていたコバライネンが、SS11とSS12で連続ベスト。鎌田と奴田原をかわして一気に2番手にポジションアップを果たした。

JN-1クラス優勝の勝田範彦/保井隆宏(トヨタGRヤリス・ラリー2)/RALLYPLUS

首位の勝田は、多くの観客が集まったSS14「SSSキズナ2」をベストタイムでまとめ、三河湾2連覇を達成。2位は1分間のペナルティを科されながら、首位まで26.6秒差に迫ったコバライネン。30.7秒差の3位に奴田原が入り、トヨタGRヤリス・ラリー2勢が全日本ラリー選手権において初めてポディウム独占を達成した。58秒差の4位にはファビアR5での初ラリーを走り切った鎌田、1分45秒7差の5位には福永が入っている。

ライバルがトラブルやミスで脱落するなか、堅実な走行で開幕戦を制した勝田は「今回、16年ぶりに保井(隆宏)選手と組みましたが、コ・ドライバーとしての成長に驚きました。ラリー中は色々と助けてもらいましたし、彼からのアドバイスが気づきになりました。タカ(勝田貴元)からのドライビングに関するアドバイスも合わせて、これからもっと速くなれそうな予感がしています」と、喜びを語った。

RALLYPLUS

コバライネンは「今日は特別なことはしていない。クルマをフィニッシュまで持ち帰っただけだよ。今日の午前中はとにかく慎重に走ったし、午後もハードプッシュしなかった。それでも、クルマのフィーリングは本当に良かった。次の唐津に向けてスピードは問題ないと実感した。でも、やっぱり優勝できなかったことが悔しいね。最後まで昨日のペナルティのことが頭にあったよ」と、2位にも悔しさを露わにしている。

3位で表彰台に上がった奴田原は「午後は頑張って走ったんですけど、最後ヘイキに逆転されてしまいましたね。それでも、舗装路において色々とクルマが上がってきたと実感しました。あとは、細かく見つめ直したいところもあって、もう少しですね。唐津に向けて頑張ります」と、コメントした。

JN-2クラスは、オープニングとなるSS8で2番手につけていた内藤学武/大高徹也(トヨタGRヤリス)がパンクに見舞われ、6番手までポジションダウン。その後、内藤はSS10ではペースノートのベンドを間違えて止まり切れず、スピンしてヒット。無念のリタイアに終わった。一方、初日首位の大竹直生/橋本美咲(GRヤリス)は「あくまでもMORIZO Challenge Cup(MCC)優勝が目標」と、2日目は慎重な走りに切り替え、SS8を終えてクラス4番手に順位を下げている。

混戦が続いた最終日、安定したスピードを披露したのが山田啓介/藤井俊樹(GRヤリス)。SS8でベストを刻むと一気に首位に浮上し、そのまま最終SSまでトップの座を守り切って昨年に続き開幕戦を制した。12.3秒差の2位には小泉敏志/村山朋香(GRヤリス)。3位には、ツイスティなセクションでペースを上げた三枝聖弥/木村裕介(スバルWRX STI)が入っている。一方、SS11まで3番手につけていた貝原聖也/西﨑佳代子(GRヤリス)は、SS12でコースオフを喫してリタイア。MCCは、初日クラストップの大竹が制している。

JN-2クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)/Jun Uruno

昨年ドライブしていたMCC仕様から、フルスペックのJN-2マシンを初めてドライブした山田は「JN-2のフルスペックマシンも含めて、色々と初体験の多いラリーでした。この僅差の展開では、何かトラブルがあったら逆転されていたと思います。いいクルマを用意してくれたチームに勝たせてもらいました」と、チームへの感謝を語った。小泉は最終日は連続ベストで勢いに乗りながらも、サイドブレーキのトラブルでペースを落とすことに。「SS11とSS12で連続ベストを獲ったところで、サイドブレーキが効かなくなりました。ツイスティなセクションで曲がり切れず、かなりタイムロスしてしまいました。今回の反省点を改善して、次の唐津は最初からプッシュできるようにしたいです」と、小泉は気を引き締めた。

JN-3クラスはこの日、波乱続きの展開となった。初日首位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が、オープニングのSS8で右フロントタイヤをパンク。首位の座を長﨑雅志/大矢啓太(GR86)に明け渡した。その後、長﨑はSS12まで首位の座を守るが、SS13でダストに乗った際に左リヤを側溝に落とし、エンジンストール。再始動に時間がかかり、このステージでベストの山本から3分32秒遅れでのフィニッシュとなり、3番手まで順位を落としてしまった。フィニッシュを目前に再び首位に返り咲いた山本は、ショートステージのSS14を慎重に走り切って、開幕戦勝利を持ち帰った。2位は山本のチームメイトで全日本5戦目の下口紘輝/小林一貴(GR86)が、うれしい全日本初表彰台を獲得。3位は無念の表情を見せた長﨑が入っている。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)/Jun Uruno

地元ラリーを制した山本は「諦めずに最後まで走ったのが良かったですね。タイムで見れば午前中にパンクした分を巻き返せなかったんですが、結果的に長﨑選手のアクシデントがあって振り出しに戻りました。パンクしながらも2番手の位置に残れたことが、勝利につながりましたね」と、冷静にコメント。全日本初表彰台を手にした下口は「今回のラリーにおいて、自分ができる範囲で良い状態に持っていけたと考えています。ただ、上位との差が開いてしまったので、そこは次戦に向けての課題ですね。2位は上位選手の後退もありましたが、最高の結果になって良かったです。次は飛鳥に出る予定です」と、喜びを語っている。

JN-4クラスは、ツイスティなコースが中心となる最終日にベテラン勢が逆襲。昨年、チャンピオンと同ポイントのシリーズ2位となった高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)は、初日首位の藤原友貴/宮本大輝(スイフトスポーツ)から7.1秒差の3番手スタートから猛プッシュ。SS10と11で連続ベストを刻むと、一気に逆転。その後も2番手以降との差を広げ、総合でも11位に食い込む追い上げを見せて開幕戦優勝を果たした。逆転を許した藤原は最終盤まで2番手を死守していたが、わずか700mのパイロンコース、最終SS14で痛恨のミスコース。ウオータードラムへの接触もあり、計1分10秒のペナルティを科されたことで4位まで順位を下げることになった。これで、筒井克彦/本橋貴司(スイフトスポーツ)が2位、須藤浩志/新井正和(スイフトスポーツ)が3位に繰り上がった。

JN-4クラス優勝の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)/Jun Uruno

テクニカルなステージ中心の最終日に強さを見せた高橋は「このラリーで勝つことができて、本当に良かったです。午前中はかなりタイヤに負荷をかけていたので、午後は無理をしないように走りました。逆転できたのは経験の差ですかね(笑)。タイヤの状況を見ながら走ったことが勝因です」と、笑顔を見せた。予想外の2位表彰台を手にした筒井は「接戦となった初日は本当に楽しかったです。最終日は高橋選手に離されてしまいましたが、須藤選手からのプレッシャーも激しい中、2位が獲得できて良かったです」と、肩をすくめている。

JN-5クラスは、快調に首位を走行していた中溝悠太/佐々木裕一(トヨタ・ヤリス)が、SS11で痛恨のコースアウト。ここで戦線離脱となった。中溝のリタイアにより、2番手を走行していた小川剛/山本祐也(ヤリス)が首位に浮上し、そのままフィニッシュ。ホンダ・フィットで参戦した2021年の第4戦久万高原以来、4年ぶりの全日本勝利を手にした。初日を終えて7番手まで順位を落としていた河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)は、最終日の追い上げで2位表彰台を獲得。3位は今回が全日本参戦11戦目の阪口知洋/野口智恵美(日産マーチ)が、自身初となる3位表彰台を掴んでいる。

JN-5クラス優勝の小川剛/山本祐也(トヨタ・ヤリス)/Jun Uruno

久々の全日本勝利を手にした小川は「まずは、フィニッシュに戻ってこられただけで良かったです。リハビリがてらでしたが、勝てたのは本当にラッキーでしたね。テストをせずに、ぶっつけ本番で挑んだラリー。今日のテクニカルなステージではなかなかギヤ比が合わなくて上れなかったのですが、ようやく最後に慣れてきました」と、安堵の表情。前日から大きく順位を上げた河本は「総合的に見ると、思った以上の結果が出せました。準備やクルマのメンテナンスなどラリー前にやってきたことが、いい方向につながりました。すごく大変でしたが、その苦労も報われました。手伝って頂いた人にも喜んでもらえそうです」と、周囲への感謝を語っている。

JN-Xクラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタRAV4 PHEV)が、この日のオープニングのSS8こそ清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)に一番時計を譲ったが、それ以外の全SSをベストタイムを並べ、トップフィニッシュ。マシンを変えても、その強さを見せつけた。ステージによっては天野をしのぐスピードを披露した清水が2位。3位は前日と変わらず、中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z)が入った。

JN-Xクラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタRAV4 PHEV)/ Jun Uruno

ニューマシンでの初陣を勝利で飾った天野は「狭いSSではだいぶタイムを落としましたね。ツイスティな林道は、道の上にいるのが精一杯でした。もう少し踏めそうでしたが、ちょっとでもラインを外れてしまうと脱輪してしまうので……。マージンもありましたし、無駄なことをしてクルマを壊さないように安全第一で走りました。あとは、ウエットでこのマシンの挙動がどうなるかですね」と、余裕のコメント。2位の清水は「今回、JN-5クラスに割って入るタイムを記録できるようになりましたし、自分自身のドライビングは成長していることを実感しました。天野選手と比べると、物差しが分からなくなってしまいますからね(笑)」と、成果を語っている。

全日本ラリー選手権開幕戦ラリー三河湾最終結果
1 JN-1 勝田範彦/保井隆宏(GR YARIS Rally2) 54:42.1
2 JN-1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(AICELLO速心DLヤリスRally2) 55:08.7
3 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVAN KTMS GRヤリスRally2) 55:12.8
4 JN-1 鎌田卓麻/松本優一(Castrol TEIN DL SKODA) 55:40.1
5 JN-1 福永修/齊田美早子(スミロン☆焼肉ふじ☆CTE555ファビア) 56:27.8
6 JN-2 山田啓介/藤井俊樹(FIT-EASYソミック石川DLGRヤリス) 58:14.9
7 JN-2 小泉敏志/村山朋香(DLドリームドライブGRヤリス) 58:27.2
8 JN-2 三枝聖弥/木村裕介(名古屋スバル ラック DL WRX) 59:42.0
9 JN-2 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 Rally) 1:00:04.5
10 JN-3 山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86) 1:00:49.5
11 JN-4 高橋悟志/箕作裕子(ミツバWMDLマジカル冷機スイフト) 1:01:02.9
28 JN-5 小川剛/山本祐也(itzzノアBRIDE DL ANヤリス) 1:03:59.0
27 JN-X 天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・RAV4 PHEV) 1:03:57.1

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