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2025年シーズンWRC第3戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)は、3月22日(土)に3日目の6SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位をキープ。1分57秒4秒差の総合2番手にヒョンデのオィット・タナック、4分33秒4秒差の総合3番手にはヒョンデのティエリー・ヌービルがつけている。
多くのクルーを苦しめた前日に続き、ラリー3日目もサービスパークが置かれたナイバシャ周辺のラフグラベルを走行。ルートの一部をシェイクダウンでも使用した「Sleeping Warrior(26.97km)」、「Elmenteita(17.31km)」と「Soysambu(28.97km)」という3SSを、サービスを挟んでリピートする6SS、146.50km。2日目よりは短いものの、SS総走行距離が140kmを超えるタフな1日となる。
前日降った雨により、マディなセクションが多く残るなか、勝田貴元(トヨタ)がソフト5本にハード1本、グレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ・フォード)がソフト2本にハード4本を選択。それ以外のクルーはソフトタイヤ4本にハードタイヤ2本の組み合わせでスタートした。サンデーポイントとパワーステージを狙うアドリアン・フルモー(ヒョンデ)は、マシンへのダメージを考慮し、3日目の走行を回避している。
マディな箇所と岩が剥き出しになったセクションが混在する、オープニングのSS11。エルフィン・エバンス(トヨタ)が、カッレ・ロバンペラ(トヨタ)に8.2秒差のベストタイムをマークし、その差を15.9秒に拡大した。リヤタイヤをパンクさせながらフィニッシュしたオィット・タナック(ヒョンデ)は、首位から1分35秒8差の総合3番手をキープしている。
総合4番手のヌービルは、スタートから20km地点で左フロントタイヤをパンクしてストップ。SS中の交換を余儀なくされ、2分以上をロスすることに。右フロントタイヤをリム落ちさせながらも、SS3番手タイムで走り切った勝田がヌービルをかわし、総合4番手に順位を上げた。
マッドなセクション中心のSS12は、エバンスが勝田に1.7秒差のベストタイムを刻む。ロバンペラは左フロントタイヤをパンクしたまま走行し、21.7秒差のSS3番手タイム。これでエバンスとの差は37.0秒差に拡大した。
続くSS13でもロバンペラが再び左フロントタイヤをパンクし、ベストタイムの勝田から1分20秒9秒も遅れた9番手タイム。総合3番手のタナックが17.0秒差に迫ってきた。首位のエバンスは2度のハーフスピンを喫しながらも25.4秒差のSS3番手タイムでまとめ、ロバンペラとの差を1分32秒5に拡大し、午前中のセクションを終えた。
ナイバシャでの40分のサービスを挟んだ午後のセクション。午前中の走行によって荒れた路面を考慮し、トップクルー全員がソフト4本ハード2本でサービスを後にした。SS14はSS13に続き、勝田が再びベストタイムをマーク。午前中パンクに苦しめられたロバンペラには、さらに厳しい試練が待っていた。ステージ終盤、ロバンペラは左リヤのサスペンションアームを破損。このステージはベストの勝田に15.3秒差の2番手タイムで走り切るが、リエゾンで足まわりの応急処置を強いられ、SS15のスタートTCに1分の遅着を余儀なくされた。
10秒のペナルティを科されたロバンペラは、足まわりにダメージを負ったままSS15を走行し、ベストのグレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ・フォード)から、3分近く遅れた12番手タイム。ロバンペラはタナックに加えて、右リヤタイヤをパンクしながら走った勝田にも抜かれ、総合4番手にドロップした。SS16では勝田が右フロントタイヤをパンクし、ステージ内で交換。ロバンペラは損傷箇所を労るためにペースを落としており、ヌービルが勝田とロバンペラを抜いて、総合3番手へと一気にジャンプアップしている。
この日も多くのクルーがパンクやトラブルに見舞われるなか、大きなミスもなく走り抜いたエバンスが、総合2番手のタナックに対し、1分57秒4という大きなアドバンテージを手にした。ただ、最終日にも70km弱の距離が残されており、一度のパンクで2分というタイムを一瞬で失ってしまうことを、エバンスも理解している。
勝田は午後だけで2度のパンクに見舞われながら、ヌービルから33.2秒差の総合4番手。まだ十分表彰台を狙える位置につける。午後のセクションでサスペンションを壊し、大きくタイムロスしたロバンペラは首位に6分6秒差の総合5番手。以下、総合6番手にサミ・パヤリ(トヨタ)、総合7番手にミュンステールのオーダーで、3日目を終えた。
競技最終日はSS17〜SS21の5SS、SS走行距離は65.99km。オープニングのSS17は、日本時間3月23日の12時42分にスタートする。
WRCサファリ SS16後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:38:39.3
2. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +1:57.4
3. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +4:33.4
4. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +5:06.6
5. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +6:06.0
6. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7:00.4
7. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1) +11:02.0
8. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:08.3
9. J.ソランス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +12:14.1
10. J.セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1) +24:39.1