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WRCサファリ:トヨタのエルフィン・エバンスが首位を堅守して最終日へ

©TGR WRT / McKlein

WRC第3戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)は3月22日、SS11〜SS16の走行が行われ、
TGR-WRTはエルフィン・エバンス/スコット・マーティンが首位を維持して最終日を迎える。この日は波乱も多く、勝田貴元/アーロン・ジョンストンとカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、サミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは、総合4番手、5番手、6番手で過酷な一日を走り切った。

(以下、発表リリース)


WRC 第3戦 サファリ・ラリー・ケニア デイ3
激しい降雨により路面コンディションが悪化する中
エバンスが首位を守り、勝田は総合4位につける

3月22日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦サファリ・ラリー・ケニアの競技3日目デイ3がケニアのナイバシャを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)が首位を守り、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組 (18号車)は総合4位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合5位に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合6位につけました。

TGR WRT / McKlein

サファリ・ラリー・ケニアの競技3日目ディ3は、サービスパークの北側に位置するエレメンタイタ湖の周辺で「スリーピング・ウォリアー」「エレメンタイタ」「ソイサンブ」という3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は146.50kmでした。雨季の始まりにも関わらず午前中は雨が降りませんでしたが、夜中に降った雨によりステージの路面は湿っているところが多く、泥状になっている区間もありました。

デイ2で首位に立ったエバンスは、デイ3オープニングのSS11でベストタイムを記録。2番手タイムの総合2位ロバンペラとの差を15.9秒に拡げました。続くSS12でもエバンスはベストタイムを刻み、ロバンペラとの差を37.0秒とさらに拡大。SS13は3番手タイムでしたが、ロバンペラがタイヤにダメージを負って大きく遅れたことにより、二人の差は1分32.5秒と大きく拡がりました。一方、デイ2でタイヤにダメージを負い総合5位に後退した勝田は、オープニングのSS11で3番手タイムを記録。ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)を抜き総合4位に順位を上げました。勝田はさらに、SS12で2番手タイムを、SS13では今大会初のベストタイムを記録するなど、上り調子で午前中のループを終えました。

ナイバシャでのミッドデイサービスを経てスタートした午後の再走ステージは、1本目のSS14「スリーピング・ウォリアー2」がスタートするタイミングで大雨が降り始め、路面は全体的にウェットコンディションに。このステージでは勝田がスピンを喫するもベストタイム、ロバンペラが2番手タイム、勝田と同じ場所でスピンをしたエバンスが3番手タイムと、GR YARIS Rally1がトップ3タイムを独占しました。しかし、ロバンペラはこの時点で左リヤサスペンションを破損しており、リエゾン(移動区間)で修理を試みましたが、SS15のタイムコントロールに遅着し10秒のペナルティを課せられることに。さらに、SS15では引き続き左リヤサスペンションが万全ではない状態で走行したことで3分近い遅れをとり、総合4位に後退しました。エバンスは雨脚が強まったタイミングでの走行だったこともあり大幅にタイムを失いましたが、それでも首位を守ることに成功。総合2位に順位を上げたオィット・タナックに2分50.4秒、総合3位に順位を上げた勝田に3分40.1秒という差をつけ、デイ3の最終ステージに駒を進めました。

デイ3最終のSS16「ソイサンブ2」は、雨が降る中スタート。5番手タイムでステージを走り切ったエバンスは、総合2位タナックに1分57.4秒差の首位で一日を終えました。前のステージで総合3位に順位を上げた勝田は、右前輪にダメージを負い総合4位に後退。しかし、総合4位のヌービルとは33.2秒差につけています。足まわりが万全ではない状態ながら最後のステージを走破したロバンペラは、3分以上の遅れをとり総合5位にポジションダウン。今回がサファリ・ラリー初出場となるパヤリは、総合6位でデイ3を終えました。

TGR WRT / McKlein

なお、今回がサファリ・ラリー初出場となるGR Yaris Rally2は、スペイン人ドライバーのヤン・ソランスがWRC2クラスでトップと5.8秒差の2位につけています。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
多くの事が常に変わり続ける、信じられないような一日でした。ここ数年で、サファリがこれほど難しい天候になったのは初めてではないかと思います。また、今日ステージが行なわれたエリアは石が鋭く、どれだけクルマが強くても、タイヤとクルマがダメージを負いやすい状況でした。エルフィンは大きな問題なく、非常にいい走りで一日を乗り切ってくれましたが、このラリーはフィニッシュするまで終わらないということを誰もが知っています。貴元はアンラッキーなパンクに何度か見舞われ、カッレはサスペンションにダメージを負ってしまいましたが、何とかサービスにクルマを運んでくれました。サミもこのような難しいコンディションのなか、初めてのサファリ出場でありながらよく頑張ってくれていると思います。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)

TGR WRT / McKlein

非常に難しいコンディションの一日でした。これこそ、間違いなく真のサファリです。一晩中降り続いた雨により、朝もかなりトリッキーなコンディションでした。そして、午後のループが始まるとまたすぐに雨が降ってきました。コンディションは恐ろしいほど安定せず、全てに気をつけて走っていたつもりでしたが、それでも簡単に多くのタイムを失ってしまいました。最後のステージは泥だらけで前がまったく見えませんでしたが、なんとか乗り切ることができたので良かったです。これだけのタイム差があっても、このラリーでは何も保証されていません。明日もまた、厳しく荒れた戦いになると思いますし、何が起こってもおかしくないので、最後まで集中し続ける必要があります。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちにとっては楽な一日ではありませんでした。午前中の始まりは良かったのですが、その後何度かパンクに見舞われるなど運がなく、午後はさらに状況が酷くなりました。スリーピング・ウォリアーのステージではぬかるんだセクションで大きな石にぶつかり、サスペンションのどこかが壊れてしまいました。その後、各ステージの前に修理を試みたのですが、上手く行きませんでした。それでも何とかステージを走り抜き、サービスに戻ることができました。明日もまたトリッキーなステージが続く長い一日ですし、多くのポイントを獲得することが可能だと思うので、ベストを尽くして戦います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
本当に悔しい一日でした。この2日間は体調不良でとても辛かったのですが、チームがしっかりサポートしてくれたお陰で走り続けることができました。ペースは良かったですし、ドライビングを楽しみながら良いタイムを出すこともできていました。何度かパンクをしたことでタイムを失ってしまったのは本当に残念ですが、ステージはまだ5本残っています。表彰台獲得まで30秒少々というタイム差は、このようなラリーではそれほど大きなものではないので、明日もプッシュし続け、その上でどうなるか様子を見たいと思います。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
非常にトリッキーで、学ぶことが多くあった一日でした。朝の時点で既に昨日とはまったく異なる課題に直面しました。濡れているところやぬかるんでいるところがたくさんあり、グリップを予測したり、どの程度のスピードを出せるのか、どのようなラインを取ればいいのかを正確に把握するのが難しかったです。午後はコンディションがさらに厳しくなりましたが、ペースを向上させることができたので良かったです。過酷なコンディションでもドライビングを改善することができましたし、走行距離が増えれば増えるほど、フィーリングも良くなっていきました。

TGR WRT / McKlein

サファリ・ラリー・ケニア デイ3の結果
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) 3h38m39.3s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m57.4s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +4m33.4s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +5m06.6s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +6m06.0s
6 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +7m00.4s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +11m02.0s
8 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +12m08.3s
9 ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンファン (トヨタ GR Yaris Rally2) +12m14.1s
10 ジョルダン・セルデリウス/フレデリック・ミクロッテ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +24m39.1s
(現地時間3月22日20時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

明日のステージ情報
競技最終日となる23日の日曜日は、木曜日にSS2として行なわれた「ムザビブ」の再走ステージとなるSS17に続き、「オセレンゴニ」と「ヘルズゲート」のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。最終ステージとなるヘルズゲートの2本目、SS21はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。5本のステージの合計距離は65.99km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は366.60kmが予定されています。



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