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2025年シーズンWRC第3戦サファリは、3月23日(日)に競技最終日が行われ、トヨタのエルフィン・エバンスが優勝、1分9秒9秒差の総合2位にはヒョンデのオィット・タナック、3位には同じくヒョンデのティエリー・ヌービルが入っている。総合4番手につけていた勝田貴元は、最終SSで横転を喫しながらも5位で走り切った。
ラリーはSS16までを終えた段階でエバンスが総合首位、1分57秒4差の総合2番手にはタナック、4分33秒4差の総合3番手にヌービル、5分6秒6差の総合4番手に勝田がつけている。この日は、サービスパークが置かれたナイバシャ近郊を舞台とするSS17〜SS21の5SSで争われる。SS走行距離は65.99kmとなっており、誰に何が起きても不思議ではない路面コンディションのため、目の離せない展開となりそうだ。
オープニングのSS17は、SS2の再走となる「Mzabibu(8.27km)」。空は晴れているものの、コースの一部には大きな水たまりが残る難しいコンディション。ここではタナックがヌービルを従えてベストタイムをマークした。リスクを避けたドライビングでSS4番手タイムとなったエバンスとの差を、5.7秒削り取ることに成功した。SS18「Oserengoni 1(18.33km)」は勝田が一番時計をマーク。ブッシュに突っ込みあわやと思わせるシーンもあったが、前のSS17でハーフスピンを喫してロスしたタイムを取り戻すかのような走りを見せた。SS2番手には、前日の走行を見送って日曜日のポイント獲得に焦点を合わせるヒョンデのアドリアン・フルモーがつけている。ここでも首位のエバンスは慎重な走りに徹し、最後まで走り抜く構えだ。なおSS17を終えた段階でパンクとマシントラブルに見舞われていたロバンペラはこのSSスタート前にリタイアを決断している。
続くSS19「Hell’s Gate 1(10.53km)」は、最終パワーステージの舞台となるコースだ。ここを制したのはフルモー。SS2番手にヌービルが続き、勝田がSS3番手で続いている。上位争いはコンスタントな走りを続けるエバンスがタナックに対して1分38秒3差をキープしている。
ラリーはサービスを挟んで、SS20へ。SS18の再走ステージとなるここでは、再び勝田が一番時計をたたき出した。SS2番手にはフルモー、SS3番手にヌービルが入っている。総合4番手の勝田と総合3番手を行くヌービルとの差は32.9秒と、なかなか縮まらないものの、着実にプレッシャーをかけ続け勝機を伺う格好だ。最終SSを前にして、首位エバンスと総合2番手のタナックとの差は1分20秒4。エバンスはこのマージンを活かして決着をつけたいところだ。また、日曜日のみの結果でいえば、ここまでフルモーが勝田を0.3秒リードしてトップに立っている。こちらの決着にも注目だ。
最終SSはSS19の再走ステージ。路面はドライで、空には雲が出ているものの、雨が降り始めそうな気配はない。ラリー1勢では最初にフルモーがコースインし、5分38秒2というタイムをマーク。上位陣の走行を待つ。後続のドライバーたちがフルモーのタイムを超えられないまま、出走順は総合4番手の勝田に。勝田はコースインして1km前後の地点で横転、観客の助けを借りてマシンを起こし走行を再開したものの、最初のスプリットタイムで3分近くの遅れを喫してしまい、総合順位でもポジションを落としてしまうことに。続くヌービルは暫定SS2番手タイムでフィニッシュ、3位以上を確定させた。総合2番手のタナックもSS3番手タイムでまとめ、2位以上を手中に収めた。上位陣最終走者のエバンスはこのステージも危なげない走りに集中してSS6番手タイムでフィニッシュ。タナックとの合計タイム差を1分9秒9として、シーズン2勝目、通算11勝目を獲得した。
最終SS終了時点での総合順位は、エバンス、ヌービル、タナック、トヨタのサミ・パヤリ、勝田、Mスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールというトップ6。パワーステージはフルモー、ヌービル、タナック、ミュンステール、パヤリがそれぞれボーナスポイントを得た。スーパーサンデーはフルモー、ヌービル、タナック、エバンス、Mスポーツ・フォードのジョッシュ・マカリアンという順になっている。
暫定ポイントは、ウイナーのエバンスが27点(25点+2点+0点)、2位のタナックが23点(17点+3点+3点)、3位のヌービルも23点(15点+4点+4点)、日曜日を制したフルモーが10点(0点+5点+5点)を獲得している。ドライバーズランキング上位は、首位エバンスが88点、2番手には52点でヌービル、3番手には49点でタナック、4番手には35点で勝田がそれぞれ浮上した。マニュファクチャラーズポイントは、トヨタが158点、ヒョンデが122点、Mスポーツ・フォードが43点、TGR-WRT2が25点となった。
次戦は4月24日〜27日に開催されるラリーカナリア諸島。長年ERCの1戦として開催されており、WRCとして開催されるのは初めて。シーズン初の本格的ターマックラリーであり、大西洋に浮かぶグランカナリア島全域のマウンテンロードが戦いの舞台となる。2020年にはフルモーがフォード・フィエスタ・ラリー2で優勝を果たしている。
WRCサファリ 暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 4:20:03.8
2. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +1:09.9
3. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +3:32.0
4. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7:18.7
5. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +8:15.7
6. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1) +11:35.3
7. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +14:11.6
8. J.ソランス(トヨタGRヤリス・ラリー2) +17:26.6
9. J.セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1) +28:45.5
10. F.ザルディバール(シュコダ・ファビアRSラリー2) +35:38.8