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ERC開幕戦ラリーシエラ・モレナ(ターマック)が4月3日〜6日にスペインのコルドバで開催され、今季からマシンをシュコダ・ファビアRSラリー2にスイッチしたニコライ・グリアジンが優勝を飾った。
土曜日のSS5を終えた時点では地元スペインのアレハンドロ・カチョン(トヨタGRヤリス・ラリー2)が首位に立ち、グリアジンに10.1秒のリードを築いていた。さらに、同じくスペインのホセ・シュアレス(ファビアRSラリー2)もグリアジンまで14.5秒差と、首位への望みを残していた。しかし、この日最後のSS7、イベント最長の27.19kmステージ2回目の走行で、グリアジンが11.6秒差をつける驚愕のトップタイムをたたき出した。このイベントには、ティエリー・ヌービル、エルフィン・エバンスがそれぞれラリー1マシンでインターナショナル・イベリア杯部門に参戦していたが、グリアジンのタイムはこのふたりをも上まわった。
これで首位に立ったグリアジンは、28.8秒のリードを築いて最終日を迎える。SS8はパンクのリスクが高いと見られていたため慎重に滑り出したが、SS9、SS10で連続ベストをマークして、コルドバのサービスパークに戻ってきた。その後、SS11でもステージウインを奪取し、42.9秒のリードを維持してパワーステージを迎えると、ここも2番手タイムでまとめ、最終的にその差を46.0秒にまで広げて、自身5度目のERC優勝を飾った。
「このような度胸のいるステージが自分は好きだし、マシンもこのステージでいい動きをしてくれた」と語るグリアジンは、まだ27歳。
「フルアタックはしていなかった。もちろんプッシュはしていたけど、このようなステージでのマシンのフィーリングは、とても楽しめるものだった」
グリアジンは、今季のERCは新チームJ2Xラリーチームから参戦しており、チームにとってはデビューウインとなった。グリアジンは、パワーステージでも4ポイントを獲得している。ERCにパワーステージが導入されて以来、これが25回目のパワーステージとなった。
「この週末はかなりタフだったが、チーム全員の雰囲気は完璧だったので、モチベーションを高め続けられた。ERCでの5回目の優勝はうれしいが、もっと増えたらさらにいいね」
グリアジンが圧勝を飾った一方、猛烈な追い上げで2位に入ったのはヨアン・ボナート(シトロエンC3ラリー2)。SS2で12番手にまで後退したが、そこから挽回し、自身17回目のERCでのポディウムに上がったボナートは「本当に信じられない」とコメントを残した。
最終日を2番手で迎えたシュアレスは、この日最初のステージで左リヤのパンクを喫して4番手に後退したが、SS9でアンドレア・マベリーニ(ファビアRSラリー2)をかわして3番手に復帰すると、ポジションをキープしてフィニッシュを果たした。マベリーニは4位でのフィニッシュとなったが、パワーステージを制して5ポイント獲得に成功している。
ペペ・ロペス(ヒョンデi20Nラリー2)は、SS10で左フロントのパンクに見舞われ、ミコ・マルチェク(ファビアRSラリー2)にかわされ6位でフィニッシュ。今季のフル参戦を表明したマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)は、ブレーキとパワーのトラブルに苦しみながらも6番手につけてパワーステージを迎えたが、トランスミッションのトラブルに見舞われ8位でのフィニッシュとなった。7位には、ラリー2にステップアップした昨年のERC4/ジュニアERCチャンピオンのミーレ・ヨハンソン(ファビア・ラリー2Evo)が入っている。
ヒョンデi20Nラリー2でERC参戦を発表していたステファン・ルフェーブルとサイモン・ワグナーが、それぞれ9位、10位に入った。
ヨス・フェルスタッペン(ファビアRSラリー2)は総合12位でマスターERCではトップフィニッシュを飾った。元F1ドライバーのフェルスタッペンは、SS9のフィニッシュ地点で息子のマックスがF1日本GPで優勝したことを告げられ、ラリーのフィニッシュ地点で息子の成功に言及した。
「マスターERCで優勝できたのはうれしいが、一番の目標はこれではない」とフェルスタッペン。
「トップ勢に近づきたかったが、難しかった。満足している部分もあるが、改善すべき点もたくさんある。学びながら経験を積むしかないが、あともう少し強くなれるのかやってみたい。でも、マックスが勝ったことの方が重要。本当によかった」
Mスポーツ・フォードから参戦したジョン・アームストロング(フォード・フィエスタ・ラリー2)には、厳しい結果となった。モータースポーツ・アイルランド・ラリーアカデミーのアームストロングは、SS2でステージウインを奪取したが、SS8で膨らんだ際にサスペンションを破損。最終的にリタイアを余儀なくされた。
ERC3はトリスタン・シャルペンティエ(フォード・フィエスタ・ラリー3)、ERC4/ジュニアERCはセルジ・ペレス(プジョー208ラリー4)がトップフィニッシュを飾った。
(Graham Lister)
ERCシエラ 最終結果
1 N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) 2:01:49.5
2 Y.ボナート(シトロエンC3ラリー2) +46.0
3 J.シュアレス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:24.8
4 A.マベリーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +1:37.6
5 M.マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:02.2
6 P.ロペス(ヒョンデi20Nラリー2) +2:38.6
7 M.ヨハンソン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:51.1
8 M.オストベルグ(シトロエンC3ラリー2) +3:00.1