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WRCカナリア諸島:トヨタは5台のGRヤリス・ラリー1で開幕4連勝を狙う

©TOYOTA

トヨタは、4月24日〜27日にかけてスペイン領カナリア諸島のグランカナリア島で開催されるWRC初開催のイベント、シリーズ第4戦ラリーカナリア諸島(ターマック)に、TGR-WRTはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン、計5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリー。開幕から続く4連勝を狙う。前戦に引き続き、チーム監督はユハ・カンクネンが代行する。

またWRC2部門には、9台のトヨタGRヤリス・ラリー2がエントリー。TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかるも参戦する。このラリーには3期生の後藤正太郎と松下拓未もWRC3にエントリーする。

(以下、発表リリース)


WRC 第4戦 ラリー・イスラス・カナリアス プレビュー
WRC初開催のターマック・ラリーに
5台のGR YARIS Rally1で参戦

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、4月24日(木)から27日(日)にかけて、スペインのカナリア諸島で開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦「ラリー・イスラス・カナリアス」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。WRC初開催となるターマックラリーで、開幕4連勝を狙います。

2025年のWRCは、3つの新しいラリーが年間カレンダーに加わりますが、ラリー・イスラス・カナリアスはその最初のイベントとなります。ラリーの舞台となるのは「グラン・カナリア島」。大西洋に浮かぶ、北西アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島を構成する島のひとつであり、漁業の基地や美しいビーチリゾートがあることで知られています。ラリー・イスラス・カナリアスの前身となるイベントは1977年に初めて開催され、以降、スペイン国内ラリー選手権や、ERC(ヨーロッパ・ラリー選手権)の一戦として行われてきました。そして49回目となる今年は、いよいよWRCのシリーズ入りを果たし、島北東部の都市ラス・パルマスのサービスパークを基点とするターマック(舗装路)ラリーとして行われます。スペインでのWRC開催は2022年の「ラリー・スペイン」以来となりますが、本土の北東部コスタ・ドラダ(黄金海岸)を舞台としていた過去の大会とは大きく異なる場所での戦いとなります。

今シーズン、TGR-WRTは第1戦ラリー・モンテカルロでオジエが、第2戦ラリー・スウェーデンと第3戦サファリ・ラリー・ケニアでエバンスが優勝し、開幕3連勝を達成。チームはマニュファクチャラー選手権で26ポイント差をつけて首位に立ち、エバンスはドライバー選手権で36ポイント差を築きシリーズをリードしています。今大会では彼らふたりと、元世界王者のロバンペラの3名がマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして参戦。ラリー・スウェーデンで2位表彰台を獲得した勝田は、自己ベストリザルトの更新と、ドライバーズポイントの獲得を目指します。また、今季がトップカテゴリーフル参戦初年度のパヤリは、5人のドライバーの中で唯一このラリーへの出場経験があり、ERCとして開催された2021年大会にRally4カテゴリーのクルマで出場しました。

ラリー・イスラス・カナリアスのステージは島の広い範囲に展開し、その多くがアップダウンの激しい山岳地帯を走行します。全体的に非常にツイスティなコーナーが続き、片側は岩壁、片側はガードレールやガードストーンに囲まれたスリリングなセクションも多くあります。路面は全体的にスムーズで、一部に溶岩石を含む舗装が施された路面は摩擦力が非常に高いため、グリップレベルは安定しています。しかし、そのためタイヤへの負荷はかなり大きく、ドライバーはタイヤの摩耗を上手くコントロールしながら走る必要があります。また、島しょ部という立地により、天候の急変も予想されます。

ラリーはラス・パルマスがホストタウンとなり、サービスパークはグラン・カナリア・スタジアムの隣接地に設けられます。最初の走行セッションであるシェイクダウンは24日木曜日の午前中に行なわれ、同日の夜9時から始まるセレモニアルスタートでラリーは開幕。競技は翌日の25日金曜日から始まります。金曜日のデイ1は、島の中心部に設けられた3本のステージを、サービスパークでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。26日土曜日のデイ2は島の北部が主舞台となり、3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その後、一日の終わりにはラス・パルマスでスーパーSSとして1.80kmのショートステージが行なわれ、バスケットボール・アリーナのコート内もステージとして走行します。7本のステージの合計距離は124.08kmとなり、デイ2は3日間で最長の一日となります。最終日となる27日、日曜日のデイ3は島の南側エリアが舞台となり、2本のステージを各2回走行。その間にはレーシングカート・サーキットでスーパーSS、SS16「コスタ・カナリア」が行われます。SS15の再走ステージとなる、最終のSS18「マスパロマス2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。18本のステージの合計距離は301.30km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1082.20kmが予定されています。

なお、今大会には全部で9台のGR Yaris Rally2がエントリー、今回がWRC2初陣となるドライバーもいます。スペイン国内選手権王者のアレハンドロ・カチョン(スペイン)は、トヨタ・スペインからのエントリーとなり、テオ・マルティン・モータースポーツが用意するクルマのステアリングを握ります。また、昨年ERCで選手権2位を獲得したマシュー・フランチェスキ(フランス)はAMDモータースポーツから出場。かつてトヨタのWRCワークスドライバーとしても活躍した、アルミン・シュワルツの息子であるファビオ・シュワルツ(ドイツ)も、初めてGR Yaris Rally2でWRC2に挑みます。

その他にも、TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかる、ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ/テオ・マルティン・モータースポーツ)、カルロス・モレノ(スペイン/レースセブン)もWRC2にエントリー。WRC2シリーズリーダーのオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)とゲオルグ・リンナマエ(エストニア/レッドグレイ)もGR Yaris Rally2で出場しますが、今大会に関してはWRC2のポイント獲得対象外となります。

ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
チームの全員がラリー・イスラス・カナリアスでの新たな挑戦を楽しみにしています。WRCとして開催されるのは今回が初めてですが、最後に参加したのは10年前ながら、実は私自身も過去に6回出場した経験があるラリーなので、再び参加するのがとても楽しみです。ステージは非常に走りやすく、ドライバーたちもきっと楽しむことができるはずです。我々のドライバーの多くはこのラリーへの出場経験がありませんが、開幕戦以来の出場となるセバスチャンも含むラインナップは強力ですし、チームもしっかり準備を進めてきました。シーズンの序盤は良いスタートを切ることができたので、もちろんこの勢いを維持できることを期待しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
今シーズンの開幕から良いラリーが続いていますが、私のアプローチは何も変わりません。ただ良い戦いをして、可能な限りのベストな結果を目指すだけです。このラリーのステージの特性としては、全体的にとてもクリーンで、非常にツイスティなコースが予想されます。近年WRCのターマックラリーの多くは、路面がダーティなコースが多かったため、このような本格的なレーシングスタイルのコースのラリーを走る機会を失っていました。コーナーのカットがほとんどないため、ステージの出走順は大きな影響を与えないでしょう。そのため、出走順トップで走ることの優位性はほとんどないと思います。おそらく全員が同じようなコンディションで走行することになり、公平な戦いになるでしょう。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
これまで出場してきた他のターマックラリーとは大きく異なるであろう、新しいターマックラリーに出ることに興奮しています。ERCとして開催された過去のイベントの映像を見た限りでは、安定したコンディションのとても良いラリーで、思い切り楽しむことができそうです。このような初めて走る道で、新しいペースノートを作成するのはきっと大きな挑戦になるでしょうし、速く走るためには全てにおいて正確さが求められます。先週のスペインでのテストでは確実に進歩することができましたし、ターマックでのフィーリングも良くなりました。自分たちにとってはトリッキーなラリーが何戦か続いたので、状況を好転させて良い結果を出したいと思っています。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
新しいラリーに出場するのは、いつだって心躍ります。誰も道を知らない状態から仕事をスタートしなくてはならないというのは、ラリーの本質のようなものです。全てのステージを新たに探索することになるレッキは非常に大変でしょうし、良いペースノートを作成することがこのラリーで速く走るための鍵となります。ただし、過去にはこのような状況が私に合っていたので、今回も上手く対応し上位争いに加われるよう頑張りたいと思います。ステージはとても美しく見えますが、大西洋の島なので天候が急変する可能性もあります。グリップの高いサーキットスタイルのステージに戻れるのは楽しみですし、優勝争いに加われるように頑張ります。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
他のドライバーから聞いたところ、ラリー・イスラス・カナリアスは最も素晴らしいターマックラリーの一つということなので、本当に楽しみです。コーナーのカットや路面のダートがほとんどない純粋なターマックラリーなので、クルマの最大パフォーマンスと空力性能を存分に発揮し、走りを思い切り楽しむことができそうです。自分の過去のサーキットレースでの経験を思い出させるようなコンディションなので、それが良いパフォーマンスを発揮する助けとなることを願っています。また、今回のラリーでも新しいタイヤを使うことになるため、ステージでどのようなパフォーマンスを発揮するのか確認し、できるだけ上手く適応していく必要があります。
サミ・パヤリ / マルコ・サルミネン

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
ケニアからカナリア諸島に舞台が移ることは、チャンピオンシップ内の2つのラリー間で最もコントラストが大きく変化するような状況だと思います。自分は4年前にRally4車両でこのラリーに出場したことがあり、とても気に入りました。サーキットレースに最も近いラリーの一つだと思いますし、特にいくつかのステージは道幅が広く、路面がとてもクリーンでコーナーをカットをする場所も少ないのが特徴です。先週のテストではドライとウェットの両方のコンディションで走ることができ、クルマにいいフィーリングを感じることができました。ケニアでは問題が起こらないように走ることが鍵となり、それが結果に繋がりました。しかしここでは大きな問題が起こる可能性が低いので、自分たちにとって楽しいラリーになることを願っています。

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