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2014年02月06日
【小林直樹のWRC取材顛末記】モンテカルロ編
皆さん、はじめまして。僕は1997年からWRCを取材しています。世界中のラリーを追いかけていると、毎回ひどいめにあったり、感動したり、色々なことがあります。昨年までは会員限定の速報誌「RALLY PLUS」でコラムを書かせてもらっていましたが、今年からはこのブログでWRCの舞台裏を皆さんに少しでも知ってもらえたらうれしいです。
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さて、ここ何年もずっと、僕の仕事初めは東京オートサロン(幕張メッセ)からラリーモンテカルロ(モナコ)に直行というハードスケジュールが恒例となっています。幕張メッセで3日間みっちりと撮影を終え、そのまま羽田空港へ。しかし……予想以上の渋滞で、空港に到着したのはけっこうギリギリ。汗だくなのでシャワーくらい浴びてから飛行機に乗りたかったのに、なんとラウンジが工事中ということでシャワーも浴びられず、そのままニースへ旅立ちました。今年も先が思いやられます……。
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ニースの空港で出てきたレンタカーはフォード・フィエスタ。予約時に車種までは選べないので、レンタカー屋ではいつもちょっとしたクジ引きのような気分ですが、WRカーのベース車が出てくるとうれしいものです。でも、ここでもちょっとした事件が。モンテは雪が降ることを想定してタイヤチェーンも借りておくのですが、よく見たらタイヤとチェーンのサイズが違うじゃないの〜。ヨーロッパではこういうことがよくあるので皆さんも気をつけてください。
今年は何年かぶりにモナコのカジノ前でセレモニアルスタートをするというので楽しみにしていました。いい場所を確保しようと早めに行ったのですが、あいにく天気は土砂降りの雨。しかも! ちゃんと確認せずに現場に行ったら、なんとスタート順はフルリバース。寒い中、ぐしょぐしょになりながらトップのオジエが来るまで撮り続けました……。でもやっぱりカジノ前のスタートは奇麗でいいですね。
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翌日は300㎞離れたギャップへ移動し、その翌日からいよいよシェイクダウン。サービスパークに着いてまずぶったまげたのはヒュンダイの巨大なモーターホームです。1Fが整備エリア、2Fがホスピタリティーエリアになっていて、なんと2Fから整備中のマシンを見下ろせるのです。こんなのWRCでは初めて。すげーなー。本気だよ、この人たち。とにかくすごかったです。
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モンテといえば「雪のモンテ」ですよね。雪の写真が撮りたいと思っていたのに、今年はなかなか雪に遭遇できず。最終日のチュリニ峠に向かう途中も、ほとんど雪がなかったので半ば諦めつつ、少し早めにオンコースでステージに入ろうとしたら、手前でオフィシャルと警官に止められてしまいました。何を聞かれるかと思ったら「チェーンは持ってるか?」って、上は雪なの!? その時点では窓の外は土砂降りで、とても雪が降っているとは信じがたかったのですが、残り2㎞のところで雨がみぞれになり、あっという間に雪に変わり、なんと残り1㎞で僕のフィエスタは上れなくなってしまいました。行けると思ったのにー。
仕方なくそこでジャッキアップし、チェーンをつけていると、通りがかりの地元のおじさんに声をかけられました。「チュリニまで行くの?」「そうだよ」「チェーンをつけるのを手伝ってあげから乗せてってよ」「もちろん♡」
あとたった1㎞なのに、雪のなか30分もチェーンをつけるのを手伝ってくれたおじさん。本当にありがとう! むちゃくちゃ寒かったけど、ラリーにはこういうあたたかい出会いがいくつもあります。だから毎年ひどいめにあうのにまた来ちゃうんだよねえ。