[更新日]:
2012年03月24日
【赤龍ブログ7】いよいよ(ようやく)開戦前夜!
3月5日月曜日、チームレジストレーションの日です。
早朝、テキサス側でヘルプしてくれているポンセから
SMSテキストが入りました。
我々のラリーカーを積んでいるトラックが
無事、レオンに近づいているとの知らせ。
朝の11時頃には到着するから準備しといて、
とのことでした。
彼はわざわざテキサスからメキシコ側に入って、
軍隊のチェックポイントまでトラックを誘導してくれたそうです。
我々はこの日、早めに起きて先ず空港のレンタカー屋に戻りました。
レンタカーオヤジの約束どおり、VWジェッタが我々を待っていました。
これがなかなか良いクルマなんですよ! メキシコの悪路仕様で車高も微妙に高く、
マニュアル車で窓も手動。カーステはなし、でもエアコンありの完全レッキ仕様。
すっかり気に入りました。その間、飛行場で待っている間、
WRCご一行様がどんどん到着していました。
大抵ドライバーや関係者の皆は、月曜に現地に到着するので
きっとローブ様達もこの中に居たのでしょう。
我々はジェッタをピックした後、ラリーHQとなるポリフォラムへ向かいました。
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この場所は屋内の展示場で、通常はコンベンション等に使われている巨大施設です。
皆さんも映像で見たことがあると思いますが、WRCチームはエアコンが効いた心地よい屋内。
我々、ノーマネー軍団はコレでも食らえ! と、ポリフォラム外部の通路部分スペース。
昼間はピーカン、高地なのですぐ日焼けしてしまう気合いの入る環境です。
ほとんどのWRカーもメキシコでは、窓ガラスにスモークを入れています。
もちろん我々のゴルフはスモークなんて入れてませんよ。
入れたら観客の皆さんが我々の頑張っている姿を見れないじゃないですか(笑)。会場でバタバタしている間、再度SMSが携帯に入ります。ポンセからです。
「トラックがレオンに到着。ポリフォラムからもう少しの地点、待機されたし」。
実は、今回ポンセからは一切トラック会社名もトラックの形、模様も伝えられていませんでした。
彼が意地悪しているというわけではなく、
我々や他チームがトラックの情報や写真をソーシャルメディア上にアップしてしまうと、とっても危険なのです。
その情報が外部に漏れると、テキサスからレオンの中間に居る山賊や麻薬組織、悪徳警官たちが
そのトラックを襲撃、ドライバーを人質に取り、ラリーカーを盗む可能性があるからです。
21世紀の盗賊たちはソーシャルメディアをも活用して、情報をキャッチするという手に出てるのです。
ラリーカーは最高の逃走用車両ですからね。。。よってポンセはわざとトラックの情報を誰にも伝えませんでした。
さすがポンセ、グアナファト出身ということもあり頼りになります。
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そして1台白い大型トラックがポリフォラム裏口を入ってきました。
今日の月曜は搬入日なので、会場では沢山のトラックは行き来しているのですが、
カンであの中に自分たちのラリーカーが入っていると分かりました。
ドライバーに聞いたところ「ああ、そうだよ。いま停めるからまっとれぃ」とあまり疲れた表情もなく、
JASONの誘導で上手くバックでポリフォラムの搬入口につけました。
ドライバーがトラックから降りてきた際、思わずハグを。
「良く頑張ってブツを運んでくれた!ここまでの道大丈夫だったかぃ?」
「ああ、全く問題なかったっぺよ~。ノ~プロブレマ!」とのこと。
さすがプロです。きっとショットガンを持った山賊たちに追われ、命からがら逃げたのに、ノ~プロブレマです。
彼には他の2チームとも相談して、多めにチップを渡しました。
これからまた気をつけて、国境まで戻ってくれ。またラリーが終わったら会いましょうと。到着したラリーカーをざっとチェック。室内も荒らされた様子もなく、オールOK!
さあ、クルマも到着、準備万端。あとはレジストすれば、正式なコンペティターです!
時間も調度良く、ポリフォラム内の選手/チーム登録窓口も開いていました。
窓口の彼らはもちろん英語も喋れるし、毎回同じスタッフなので、彼らは我々のことを覚えてくれていました。
メキシコで東洋人ふたりチームは珍しいですからね。
登録が終わると、ざっとお土産を渡されます。お土産というより、今回のラリーで必須のキット。
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内訳は。。。
チームパス×3/ゲストパス×2
レッキ車両ステッカー(フロントガラス用)
サービス車両ステッカー
レッキ補助車両ステッカー
ラリーカー用ラリーメキシコステッカーキット(車両ナンバーも含む)
ルートブック Day1/Day2/Day3
レッキルートブック
大型マップブック
オルタネートルートブック(ステージがキャンセルされた時に使う抜け道ガイド)
ラリーガイド2
サプリメンタリーガイド(チーム用の更に詳しいラリーガイド)
ラリーメキシコオフィシャルガイドそして今回の車輌ナンバーは207!
フランス車のモデル名みたいで覚えやすくてふたりとも気に入りました。
そしてなんと、我々の写真やスペイン語での紹介も正式スペクテイターガイドに出ているではないですか!
レッドドラゴンもローブ、ペター、ケンブロたちの大物チームと同じ土俵に上がれたことになりますよね!
もちろん彼らより写真も紹介記事も小さいし、ページの後ろの方ですが、
いったいスペイン語でなんと書いてあるのでしょう。スペイン語の分かる方がいたら教えて下さい。
それから正式ガイドの表紙はなんとVW POLOラリーカーのテスト時の写真。
今回ラリーメキシコで出場しているVW車は我々のゴルフと、USAチームで双子兄弟チームのビートルだけなので、
VWが大型スポンサーであるラリーメキシコでは、
メーカーが我々だけをサポートしているような錯覚が(笑)!
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午後は、自分たちのサービスエリアを確保。
クルマ2.5台程を止めれるスペースで、我々的には十分のサイズでした。
ゴルフにすべて押し込んできたツールやパーツも取り出し、大体の作業は終了。
この時点で、まだチームメンバーは我々ふたりだけでしたが、
アメリカ側から今回単発で雇ったメカニックひとりとメディア担当ひとりが明日の火曜に到着する予定。
ラリーは頭数が多ければ多い程スムーズにいくので、早くメンバー全員が揃って欲しいところです。そしてこの日、月曜はラリーウイークで我々が最後にゆっくりできるであろう唯一の時。
なぜなら、明日からレッキが朝早くから始まり、過酷なスーパー労働が待っているからです。
この日のあまりの時間を使い、我々はポリフォラム内に入り、WRCチームの搬入作業を見学に行きました。
ほとんどのWRCカーは外には出ておらず、まだ封筒に入った状態。もちろん本当の封筒ではないですが、
ラリーカー輸送用に作られたとてもコンパクトな設計のケージに収まっており、これで世界中に発送されます。
この日、ポリフォラム内は朝から晩まで、搬入作業や重機の音がエコーしていました。
お客さんもまだ入れていなので、中は関係者のみ。
この作業音が聞こえるのはラリーが始まる前と、終了後。
いよいよWRCが始まるんだと我々の気分も高まってきました。