グラベル・グランプリとして有名なフィンランドを「4輪のエアレース」と表現するフォルクスワーゲン・モータースポーツ。1本のステージに77回ジャンプが登場した2013年のオウニンポヤでは、計30秒は宙を飛んでいたと試算している。今年、ロングバージョンで復活するこの伝統のオウニンポヤも、同チームが表せば「レーシングドライバーにとってのノルドシュライフェ、ラリードライバーにとってはオウニンポヤ」となる。
「ラリーフィンランドのことを、森のF1と表現する人が多いが、フォルクスワーゲンでは4輪のエアレースこそ、この特徴的なラリーを正確に表現していると思う」とチーム代表のヨースト・カピート。
「これだけ多くのクレストやロングジャンプが出てくるラリーは、世界を探しても他にない。さらに、狭い林道をこれだけの速さで駆け抜けるグラベルコースもフィンランドならではだ。ここですべてを決めるのは、正確なドライビング、マシンへの絶対的な信頼、完璧なセットアップだ」
2013年のこのステージで最速記録をマークしたのは、セバスチャン・オジエだ。しかし、選手権リーダーのオジエにとって、最大のライバルはチームメイトの2人。ヤリマティ・ラトバラにとっては母国戦であり、昨年の覇者だ。アンドレアス・ミケルセンは前戦ポーランドで激戦を繰り広げ、母国ノルウェーとも近く、盛大な応援が期待される。
「ラリー前には、数日間休暇を取っていた。頭の中を整頓させるためには、とてもいいんだ」とオジエ。
「シーズンも中盤なので、自分のバッテリーをチャージすることができる。フィンランドはシーズンの中でも、大好きな一戦。ベストのステージは何かと聞かれれば、間違いなくオウニンポヤを挙げるよ。2年前はコースレコードをマークしたし、また優勝したいけど、ここでは北欧勢が伝統的に強いからね。特にラトバラは今年も強いと思う」
そのラトバラは「オジエもミケルセンも、勝つために全力を尽くしてくるはずだ」とコメント。
「でも、それは僕も同じだ。最初の1秒から、最初の1mから、完全集中でドライブすることがより重要になる。目指すのは、昨年と同じように、ウィナーズポディウムに上がってあのたまらない雰囲気を味わうことだよ。母国戦だから、モチベーションもいつもより高いしプレッシャーも大きい。メンタルコーチの役割もとても重要になるね」
一方、WRC初優勝が待たれるミケルセンは「前戦のポーランドは、とてもいいラリーになった」とコメント」
「フィンランドは、僕らにはもっと難しい状況になると思う。ポーランドでは新しいステージが多かったが、フィンランドでは、伝統のステージが多くとても慣れているドライバーがたくさんいる。僕もここ何年か経験を積んで、上位陣に食いついていけるとは思っているが、ポディウムに上がれれば満足できると思う」