フォルクスワーゲン・モータースポーツは、現在のWRCカレンダーの中で唯一、未だに勝利を果たしていないWRCドイツ戦に挑む。フォルクスワーゲンにとってのWRC母国戦は3度目の挑戦。セバスチャン・オジエには今季のタイトル3連覇が確定するチャンスも浮上しており、チーム一丸となって勝利に貪欲に臨む構えだ。
2013年、2014年は、それぞれオジエとヤリマティ・ラトバラが首位に立っていながら、不運なリタイアを喫していた。しかし、両ドライバーは今季のドライバーズ選手権で首位、2位につけている。さらに、アンドレアス・ミケルセンは唯一ドイツ戦でポディウムフィニッシュを果たしており、WRC初勝利が待たれる存在だ。
「ラリードイツでは、難しいことはしない。それぞれが懸命に臨んで、完璧に仕事をこなすだけだ」とチーム代表のヨースト・カピート。
昨年までとは異なり、オジエとラトバラのマシンはシャシーを新調せず、モンテカルロ、メキシコ、ポルトガル、ポーランドで使用してきたシャシーを使用する。チームはコルシカとドイツでテストを行い、第2世代のポロR WRCの基本チューニングに取り組んできたという。
このドイツでWRCタイトル3連覇確定の最初のチャンスが訪れるオジエだが、そのためには優勝に加えパワーステージでの勝利が絶対条件だ。
「ラリードイツには、複雑なフィーリングがある」とオジエ。
「2011年にはここで勝っているが、2014年はマイナーなミスを犯した。でも今年はもっといい走りがしたいし、間違いなくそれは可能だ。それには集中して、ミスを避け切らなくてはならない。テストではブレーキの作業に取り組んできたので、準備は万端。タイトル確定の可能性は出ているが、それだけに集中はしない。ラリーを順調に走り切りたい。もちろん、ポディウムの真ん中に立てれば理想的だけどね」
ラトバラは、昨年のフランスで舗装戦初勝利を挙げており、ターマックへの苦手意識も払拭。母国フィンランドでの2連覇を果たし、勢いをつかんだ中で今年のドイツを迎える。
「チームにとっての母国戦となるドイツは、もちろん特別」とラトバラ。
「フィンランドで勝ったことで、モチベーションは格段に高まった。ここまで流れがよくなかったが、自分の母国で真っ向対決にも勝てることを見せられた。ラリードイツでは、ミシュランの新しいタイヤ、H4が投入されるので、テストではポロR WRCのセットアップ調整も行った。今年はコルシカでもテストを行ったので、舗装戦に向けての準備は整っている。ドイツでは、2013年は土曜日の午後まで、昨年は日曜日の午前まで首位に立っていたから、今年はフィニッシュまでリードに立っていられたらいいね。現実的な目標はトップ3かな」
一方、フィンランドでは序盤に痛恨のリタイアを喫したミケルセン。このドイツで気持ちを切り替えて臨む。
「ドイツ戦に向けて、ブドウ畑でテストをした。舗装戦はモンテカルロ以来となるが、楽しみにしているよ」とミケルセン。
「昨年は、フォルクスワーゲン最上位の3位に入ることができたが、今年はもちろん、さらに上を目指したい。首位争いができると思っているが、昨年は友人のティエリー・ヌービルが勝っているし、シトロエンのクリス・ミークやマッズ・オストベルグも舗装に強い。天気も変わりやすいから、いろいろな難関が待ち受けている。フィンランドでリタイアしたことで、選手権争いでは3位から後退してしまったので、ドイツで好成績を収めて3位に返り咲きたいね」