全日本ラリー選手権第6戦「モントレー2015 in 嬬恋」2日目は、初日を4位で折り返した新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)がSS12でトップに立ち、今季4勝目を遂げた。2位には奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)、3位には初日2位の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)がそれぞれ入賞した。
初日トップの福永修/鈴木裕(三菱ランサーエボリューションX)がSS11のゴール300m手前でフロントから土手にヒットしてクラッシュという大波乱の幕開けとなった2日目は、スタート前のサービスで「雨は初日よりも強く降る」と判断した新井が、ブレーキキャリパーをグラベル用に交換し、ラリータイヤを装着。2日目に設定されたグラベル区間で勝負をかけることを決断する。その作戦が見事に的中し、5.931km中約2.9kmのグラベル区間を含むSS12で勝田を捉え、トップに立った。一方、初日を3位で折り返した奴田原もこのSS12で2位に浮上。その後、奴田原はオールターマックのSS16で新井との差を1.0秒差にまで詰めてくるが、SS12のリピートステージとなるSS17で新井がふたたびベストタイムをたたき出し、奴田原を突き放し今季4勝目を飾った。
JN5クラスも、JN6クラスと同様に波乱の幕開けとなった。サスペンションをグラベル用に変更し、初日トップの眞貝知志/漆戸あゆみ(アバルト500ラリーR3T)を追いかける柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208GTi)だったが、SS11の約2km地点でスピンを喫し、勢いが止まらずロールオーバー。痛恨のリタイアとなった。柳澤の脱落により、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)が2位に浮上してくるが、SS11を終えた時点で眞貝とのタイム差は35.4秒。眞貝にとっては十分すぎるマージンかと思われたが、今度はその天野が眞貝を激しく追い上げてくる。JN6クラスを制した新井と同様にデイ2をラリータイヤで挑んだ天野は、わずか0.61kmのSS13で荒れたグラベル路面に苦しむ眞貝とのタイム差を一気に5.3秒にまで短縮。その後、0.491kmのSS15ではさらに2.8秒差に縮め、最終SSとなるSS17でついに眞貝を逆転。今季は第5戦まで未勝利ながらもシリーズランキングトップに立っていた天野が、待望の今季初優勝を奪った。
JN3クラスも、ラリータイヤを選択した岡田孝一/大久保叡(マツダ・デミオ)と鷹野健太郎/尼子祥一(マツダ・デミオ)が、健闘をみせた。初日トップの岡田は、この日もSS12、16、17でベストタイムをマーク。初日3位の鷹野もSS11、15でベストタイムを奪うが、岡田はトップの座を譲らず第2戦以来となる今季3勝目をマーク。鷹野も初日2位の戸塚和幸/木村悟士(トヨタ・ヴィッツRS)をSS11で捉え、第5戦に続き2戦連続の2位に入賞した。
JN2クラスは、初日を2位で折り返し、逆転優勝を狙う田中伸幸/藤田めぐみ(スズキ・スイフトスポーツ)がSS12のグラベル区間でオイルパンを石にヒットしエンジンブロー。田中の脱落により初日2位の鈴木尚/山岸典将(スズキ・スイフトスポーツ)が2位に浮上してきた。初日をトップで折り返した須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)は、ヘビーウエット路面となったこの日も2位とのタイム差を広げ、独走態勢で今季初優勝を飾った。全日本ラリー2輪駆動部門時代に活躍した須藤にとっては、2000年以来実に15年ぶりの全日本戦優勝となった。2位には鈴木が入賞し、フロントタイヤをラリータイヤに変えて挑んだ中西昌人/廣島真が3位に入賞した。今回3位に入賞した中西は、残り3戦の展開次第ではシリーズチャンピオン獲得の可能性も出てきた。
■JRC嬬恋 正式リザルト
JN6クラス
1.新井敏弘/田中直哉 富士スバルアライモータースポーツWRX 45:23.9
2.奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー +11.2
3.勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX +33.5
4.吉澤哲也/井手上達也 ADVAN加勢eレーシングランサー +1:08.4
5.石田正史/宮城孝仁 DL テイン マルシェ ランサー +1:20.7
6.炭山裕矢/保井隆宏 ADVAN CUSCO WRX-STI +1:40.5
JN5クラス
1.天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・ラックDLヴィッツGRMN 48:12.5
2.眞貝知志/漆戸あゆみ ABARTH500RallyR3T DL +9.0
3.石田雅之/遠山裕美子 加勢eレーシング インテグラ +31.0
4.上原利宏/佐瀬拓野 BF-ACTION・DLシビック +59.6
5.曽根崇仁/桝谷知彦 P.MU☆ダンロップ☆INGING86 +2:25.4
6.寺島信也/関根慎二 シロキヤ・DL・インテグラR +2:39.0
JN4クラス
1.横尾芳則/渡邉晴子 諏訪姫PLUMレーシングBS86 48:41.3
2.番場彬/亀森隆志 ADVAN Gd 高崎くす子 86 +54.7
3.石川昌平/石川恭啓 ARTAオートバックスBRZ +1:02.4
4.香川秀樹/浦雅史 BRIG ラック シビックタイプR +1:15.7
5.佐藤隆行/木村裕介 ビルシュタインMoty’s DL BRZ +1:38.5
6.加納武彦/横手聡志 ALEXBRIGKYBYH東スバルBRZ +1:59.1
JN3クラス
1.岡田孝一/大久保叡 キーストーンナビゲーターDLデミオ 52:01.4
2.鷹野健太郎/尼子祥一 WelcomeJPN・Mazda2 +47.5
3.戸塚和幸/木村悟士 PLUM AKR KUMHO Vitz +1:27.8
4.内藤学武/小藤桂一 ADVAN Moty’s BRIGデミオ +1:48.2
5.本名修也/湊比呂美 AMAZEMENT∞ヴィッツⅡ +4:14.6
6.木村謙治/沼田晴代 クムホ ロジテック アンフィニ デミオ +6:12.5
JN2クラス
1.須藤浩志/新井正和 スマッシュBRIGコマツスイフト 52:42.7
2.鈴木尚/山岸典将 スマッシュDLitzzコマツスイフト +52.0
3.中西昌人/廣島真 ADVAN・WM・KYBマクゼススイフト +1:22.4
4.加藤祐介/藤上亘 スポルテックデミオ +1:23.9
5.権田哲也/中島昌也 スポルテックSSRゼウスジャパンヴィッツ +2:21.3
6.濱岡卓也/依田統 クスコ・ブリッド・メナード・BS・FIT +3:38.2