Mスポーツは、フォード・フィエスタR5の改良版を2016年1月1日にリリースすることを発表した。
初めてのR5規定マシンとして2013年中盤にデビューしたフィエスタR5は世界で130台を売り上げ、Mスポーツでも最も成功を収めたグローバルラリーマシン。WRC2や、ERCなどの地域選手権でも強豪マシンとして名を馳せており、2年半もアップグレードがないにも関わらず、今季はカエタン・カエタノビッチがERCタイトルを収めている。
しかし、今ではシトロエン、プジョー、シュコダがR5マシンを投入させているほか、2016年にはヒュンダイもR5マシンのデビューを予定しており、R5マシンの争いは激しくなっている。Mスポーツは、R5部門での戦闘力強化を図るために、大規模なアップグレードに踏み切る。
Mスポーツの設計者とエンジニアによる開発チームは6ヶ月に渡る開発を行い、これまでに最も大規模なアップグレードだとしている。フィエスタR5は、ホモロゲーションジョーカーを8つ残しているが、最初の5つはエンジンパフォーマンスの向上に集中させ、シリンダーヘッド、ピストン、インレット/エキゾーストカム、エキゾーストマニホールドを改良させた他、新型クラッチ/フライホイールを投入する。これにより、エンジン出力は32bhp/4500rpm、発生トルク56Nm/4000rpmと、Mスポーツが設計したエンジンの中でも最も改善幅の大きいステップアップを果たしたという。
残る3つのジョーカーは、シャシー関連のアップグレードに使用され、2016年3月の投入を予定。さらにMスポーツはリアのエアロダイナミクスデバイス、フロントバンパー、サスペンションアーム、ライガー製ダンパー、補助灯の改良に関しても調査を行っているとしており、2016年第一四半期の終わりまでのリリースを予定しているという。
Mスポーツのマネージングディレクター、マルコム・ウィルソンは「このプロジェクトの進捗には自信を持っている」とコメント。
「元々のフィエスタR5は今でも安定感と競技能力のあるパッケージになっているが、このアップグレードによりパフォーマンスのレベルは次の次元に進む事になる。我々は、どのマシンについても常に開発を続けているが、今回のアップグレードはこれまでの中でも最も大規模なものと言える。現在のフィエスタR5の強さを考えれば、大変な偉業を果たしたと言っていいだろう」