WRCメキシコのスタート前に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。開幕2戦でノーポイントと苦しい滑り出しとなったラトバラ。80kmのステージが勝負に与える影響を問われ、グラベルグランプリと称される母国戦を引き合いに出し、メキシコ独特の難しさを答えた。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
ヤリマティ・ラトバラ=JM‐L(フォルクスワーゲン・モータースポーツII)
マルティン・プロコップ=MP(ジッポカー・チェコ・ナショナルチーム)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・モータースポーツ)
ベニート・ゲラ=BG
エリック・カミリ=EC(MスポーツWRT)
Q:
ヤリマティ、2016年は厳しい滑り出しとなった。メキシコでは、どのように流れを変えていくのか。
J-ML:
この状況でプレスコンファレンスに呼ばれているんだから、まずその質問だと思ったよ! 最後に出席したのはスペインで、ラリー後の会見だった。今回はラリー前に呼ばれたけど、悪い流れはここで断ち切って日曜日にもまた会見で座っていたいもんだね。その通り、今季の滑り出しは自分にとって難しい形となった。2戦で0ポイントだが、戦い続けなくてはならない。今回は走行順が有利だし、このラリーはとても過酷だ。いいリズムをつかんで、ステージにうまく対処し、確実にフィニッシュをしなくてはならない。
Q:
言う通り、今回は走行順がいい。そのアドバンテージを活かしていくのか。80kmステージは、どれだけ勝負に影響すると思うか。
J-ML:
僕らの戦略は、いいリズムをつかんでラリーを楽しみ、その上で結果がどうなるか、だ。チャンスがあれば、狙っていく。このラリーは、耐久勝負だ。シーズンの中でも一番長いし、最長ステージも設定される。どのステージもロングだ。このラリーでは、攻め方を変えて取り組まなくてはならない。道幅が広く全開で攻められるフィンランドとは違うんだ。あの80kmのステージは、一番難しいという訳ではないと思う。距離が長いことは、もちろん試練だ。でも金曜日には、エル・ショコラッテという、コースサイドに石が散乱するツイスティで厳しいステージがある。80kmステージの方がリズムに乗りやすいし、路面もクリアだ。最初の2日間で、差が出始めると思う。ロングステージだけで勝負が決まるとは考えていない。
Q:
マルティン、WRC再開だ。ダカール参戦でモンテカルロは欠場だった。どんな経験だったか。
MP:
楽しめたよ。特別な経験だった。WRCでの参戦が長く続き過ぎていた。新しい経験ができたし、モチベーションもすごく高まった。耐久レースという以上の素晴らしいイベントだった。みんなもやった方がいいよ。
Q:
耐久戦を経験したことでロングステージにも役立ちそうか。
MP:
ダカールとは速さが違う。ダカールのマシンはあまりパワーがないし、ブレーキングもグリップもだ。体へのプレッシャーもあまりない。ラリー車をドライビングするのは体力的にも難しいが、ダカールでは集中を維持することが大切だ。5、6時間もドライブイするのはとても過酷だ。1、2時間で他の事を考えるようになる。そこからうまくできるようになり、イベントが終わる頃には、6時間集中していた時もあった。
Q:
今季のWRCの参戦プランは。
MP:
いい質問だ、まだ分からない。たぶん4戦。将来何をするか、決めなくてはならない。またダカールに参戦することも考えているし、向こう数週間にはサーキットレースにも参加する。正しい選択をしなくてはならない。
Q:
ティエリー、メキシコでは過去いい成績を残している。今回の目標は。
TN:
自分の好きなイベントの一つだ。2013年にここで初めてポディウムに上がったのは、忘れられない思い出だ。ここに来るといつもモチベーションが高まるし、ペースもいい。走行順もヤリマティの後といいので、優勝を狙える。
Q:
80kmステージに関しては。
TN:
ヤリマティに対して十分なアドバンテージを握っていられるはずだ!
JM-L:
こんなコメントも自分にはモチベーションになるんだよ!
Q:
シェイクダウンではいい走りをしていた。セットアップには満足か。
TN:
道がとてもよかったしコンディションも最高だったけど、道が広かった。コース脇に石やダートがあるとステージの性格も変わる。この点は残念だが、それでも(ラリーでも)いい走りをしたいね。
Q:
今回の目標は。
TN:
そうだね、できれば優勝したい。ここ2戦ではいい速さを見せてこられた。スウェーデンでは、テクニカルトラブルがなければポディウムに上がっていた。優勝争いをすることが目標。ヤリマティは速いだろうし、いつものようにオジエも。他にもライバルはいる。
Q:
ベニート、またWRCで会えてうれしい。今回の目標は。
BG:
また参戦できてうれしい。WRカーは一年ぶりだ。シェイクダウンは順調だった。メキシコのロングステージは、誰にとってもチャレンジングだ。全力を尽くす。市街地での最初のステージはファンのためのものだが、石畳をグラベルタイヤで走るのは簡単じゃない。スーパーSSにはビッグジャンプもある。まずは、他のドライバーの走りを見たい。スタート順的には道は少しクリーンになるだろうから、できるならプッシュしていく。
Q:
テストはしたか。シェイクダウンでのフィーリングは。
BG:
大したテストはしていない。スポンサーのための同乗デイのようなものだ。マシンに関しての作業はあまりしていない。シェイクダウンは問題なかった。自分のベストタイムが出せたし、プライベーターではトップだったと思うからいい滑り出しだ。
Q:
今季他の参戦予定は。
BG:
スポンサー獲得に苦戦しているが、WRCには戻りたい。2012年はプロダクションタイトルを獲得し、自分の最高のシーズンだった。上のクラスにステップアップしたいが、スポンサーを得るのは難しい。WRC2のヨーロッパ戦全戦に出られれば、もしかしたら来年は全戦出られるかもしれない。
Q:
エリックのように初めてメキシコに参戦するドライバーに何かアドバイスを。
BG:
エリック、メキシコにようこそ。ロングステージでは、落ち着いてペースを維持し集中力を保たなくてはならない。ここでは小さなミス一つでコースからはじき出されてしまい、いい結果は望めなくなる。
エリック、メキシコにはラリーも来るのも初めてだ。楽しみにしているか。
EC:
ここに来られてとてもうれしい。いい国だし、レッキもシェイクダウンも順調だった。グラベルは好きな路面。ベニートが言ったように他のグラベル戦とは違い、一つのミスで終わる。ラリーが始まるのが楽しみだ。
Q:
モンテとスウェーデンではいずれもアクシデントに見舞われた。そのことについてどう感じているか。今回、この流れを変えられるか。
EC:
今はそのことは忘れる。モンテはアンラッキーで、スウェーデンは自分のミスだった。ペースノートを間違えてコースオフしたが、このことはもう忘れてラリーに専念する。あまり深くは気にしていないよ。
Q:
グラベルラリーはこれが8戦目だね?
EC:
そう、あまり多くはない。前回のスウェーデンは、初めてのスノーラリーだった。ここでは走り切る事が自分の仕事だ。
Q:
コ・ドライバーを昨年までのベンジャミン・ベイラスに戻したが、なぜか。
EC:
ニコラス(リンガール)には感謝しているが、僕にとってはベンジャミンが一番馴染んでいる。不安はないよ。