全日本ラリー選手権第5戦「2016 ARK ラリー洞爺 Supported by Sammy」は7月3日(日)に競技最終日となるデイ2の走行が行われ、初日トップの奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションⅩ)がこの日もライバルの追従を許さず今季初優勝を飾った。第2戦から第4戦まで3戦連続2位の奴田原は、この優勝によりシリーズトップの勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)とのポイント差を17.9ポイントに縮めた。
デイ1を襲った激しい雨も上がり、早朝から穏やかな天候に恵まれたデイ2。だが、前日の雨はこの日もラリーに大きな影響を残した。このラリーでは名物SSとなった川渡りセクションがあるSS10シータングル1では、増水した川の影響でエンジンに水を吸い込みストップしてしまうマシンが続出。このSSだけで6台のマシンがリタイアするというサバイバル戦となった。
そのなか、JN6クラスは前日トップの奴田原がこの日も快走。2本のSSでベストタイムを奪うほか、初日2番手の勝田の追い上げを許さず、最終的にはタイム差を13.1秒に広げ、今季初優勝を飾った。
「2日間通して気が抜けないラリーでした。優勝はウエット路面に強いタイヤのおかげ。次のモントレーも、この調子で行きたいですね」と、昨年の第7戦以来となる勝利を喜ぶ奴田原。2位の勝田も「SS1のミスコースで、もうこのラリーは終わったと思いました。最後まで諦めなかったことが、挽回に繋がったと思う」と、シリーズトップの座をしっかりと守り切った。
熾烈な戦いとなった3位争いは、SS3でスピンを喫し初日を4番手で折り返した新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が、初日3番手の鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)を猛追。デイ2トップポイントを獲得する速さを見せた新井だったが、鎌田が3.4秒逃げ切り3位入賞を果たした。
JN5クラスは、初日トップの柳澤宏至/中原祥雅(プジョー208 R2)が、この日も7SS中5本のSSを制する速さを見せ、第3戦、第4戦に続きクラス3連勝を飾った。川渡りセクションで次々とライバルがストップし、デイ2序盤から独走態勢となった柳澤は、「最後まで集中力をキープするのが難しいラリーでしたが、自分の走りに徹することができたと思います」と語る。この優勝により、シリーズポイントでも2位以下を大きく引き離す結果となった。また、川渡りセクションでエンジンがストップしてしまった大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)が、なんとか最後まで走り切り2位に入賞。注目のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GT86 CS-R3)も大倉と同じ川渡りでエンジンを止めてしまったが、その後復帰を果たし3位に入賞した。
JN4クラスは、初日2番手の曽根崇仁/桝谷知彦(トヨタ86)が、SS13で初日トップの石川昌平/石川恭啓(トヨタ86)を捉え逆転。初日のSS1ではミスコースしかけて大きく出遅れた曽根だったが、「雨のおかげ。これまでのグラベルでの経験を活かせたと思う」と、第4戦に続き2連勝を飾った。
JN3クラスは、2日目オープニングとなるSS9で、初日2番手の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツRS)が、初日トップの寺川和紘/石川美代子(マツダ・デミオ)を逆転し、トップに浮上。その後は寺川の逆転を許さず、開幕戦から続く連勝記録を5に伸ばした。
JN1クラスは初日トップの須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)が、2位の松原久/和田善明(マツダ・デミオ15MB)に1分以上の差を付け優勝した。
順位 | クラス | ドライバー/コ・ドライバー | 車名 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | JN6-1 | 奴田原文雄/佐藤 忠宜 | ADVAN-PIAAランサー | 52:17.4 |
2 | JN6-2 | 勝田 範彦/石田 裕一 | ラックSTI 名古屋スバルDL WRX | +13.1 |
3 | JN6-3 | 鎌田 卓麻/市野 諮 | SYMS TEIN DL WRX STI | +19.6 |
10 | JN5-1 | 柳澤 宏至/中原 祥雅 | YHクスコラリープラス208 R2 | +5:13.7 |
11 | JN4-1 | 曽根 崇仁/桝谷 知彦 | P.MU☆DL☆SPM☆INGING86 | +6:32.1 |
14 | JN3-1 | 天野 智之/井上裕紀子 | 豊田自動織機・DL・ヴィッツRS | +6:48.0 |
20 | JN1-1 | 須藤 浩志/新井 正和 | スマッシュBRIGコマツYHスイフト | +8:25.3 |