世界ラリークロス選手権第3戦ノルウェー戦は6月14-15日、ノルウェーのトロンハイム郊外ヘルで開催された。
ノルウェーで開催される初めてのラリークロス世界戦には、母国戦を待ちわびたペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)とヘニング・ソルベルグ(サーブ9-3)が兄弟揃って登場。同じくノルウェー出身で、前戦の英国で勝利を飾り選手権首位に立つアンドレアス・バックラッド(フォード・フィエスタST)などの選手権強豪に加え、ジャック・ビルヌーブ(プジョー208)、ケン・ブロック(フォード・フィエスタST)、マティアス・エクストローム(アウディS1)といったモータースポーツ各界のビッグネームが揃った。
4回のヒートを終えてセミファイナルへの進出を決めた12名には、ソルベルグ兄弟、ブロック、昨年のGRC王者のトーマス・ヘイッキネン(VWポロ)に加えて、ラトビア出身の18歳、レイニス・ニッティス(フォード・フィエスタST)の名前も。ニッティスは、14日に行われた2回のヒートを終えて首位に立つなど絶好調だ。
12名を2組に分けて行われたセミファイナルは、ヘイッキネン、バックラッドなどシリーズ上位につけるドライバーがファイナル進出を逃すなど大波乱の展開となったが、ソルベルグ兄弟が揃って進出しブロック、ニッティスとの対決が実現するなど、盛り上がりは最高潮に達した。
注目のファイナル、ペターはスタート直後にジョーカーラップに入り、上位争いの混乱を避ける作戦に出る。先頭でジョーカーセクションに入ったことにより、暫定順位は4位となるもののクリアラップの状態で走行できるようになり、順調にラップを重ねる。一方、首位に立ったニッティスは、好調の勢いのまま快進撃を見せ、ジョーカー走行を最終周まで持ち越した。そして大回りのジョーカーエリアを抜けて僅差で首位を維持したのはニッティス。ペターの猛追も及ばず、若きニッティスが世界戦初勝利を決めた。
「本当にアメイジング、とにかくアメイジングだよ!」と興奮が冷めやまないニッティスは、選手権争いでもペターを3ポイント抑えての首位に立った。「今日のことは一生忘れない。スタードライバーの前でレースをして、世界チャンピオンよりも前でフィニッシュしたんだ。今日は15日で僕のカーナンバーも15。僕のラッキーナンバーだね。今季目指していたのは、トップ12でフィニッシュすることだったから、今日勝てるなんて想像したこともなかったよ」
一方、0.988秒差で勝利を逃したペターは「レイニスの走りには、とても感激したよ。若いのに、僕へのプレッシャーはものすごいものを感じた。勝利にふさわしい走りだった」とニッティスを称賛した。
3位には、初めて世界ラリークロス戦に登場したブロックが食い込んだ。「こんなにうれしいことはないよ。本格的なラリークロスコースを走ったのは初めてだったけど、ニッティスとペター、ふたりの素晴らしいドライバーと肩を並べてポディウムに上がれるなんて、最高だね」
断続的な雨に見舞われていたこの日、チーム・プジョー・ハンセンのティマール・ティマラザノフとティミー・ハンセン(プジョー208)はウェットタイヤを選択したことが裏目に出て思うようにグリップが得られず苦戦。それぞれ4位、6位に終わった。ヘニング・ソルベルグは5位だった。
世界ラリークロス選手権の次戦、フィンランド戦は、6月28−29日、フィンランド南部のコウボラで開催。