カナダから戻ってきた僕のRXスーパーカーがもたらしたもの。僕らチームと僕自身は、これまでにないほどの大きな挑戦に直面していた。このマシンを元の姿に戻して、FIA世界ラリークロス選手権でのリードを守るために万全の体制を整えるというミッションだ。
世界RXフランス戦まで、あと1週間半。僕もチームのみんなも、このレースにスタートすることができるのか、100%の確信が持てなかった。僕のRXマシンはコンディションが最悪だった。カナダ戦のフィニッシュラインを超えた後に起きたアクシデントに巻き込まれたからだ。幸いにも、僕のスポンサーでノルウェー最大のカーディーラー、ベルテル・オースティーンが、パートナーシップの威力を発揮してくれた。アクシデントの後すぐにCEOが電話をかけてくれて、マシンを修復するための支援を申し出てくれたんだ。僕の考えだけど、こうしたことが選手権を支えてくれていることの表れだと思う。
カナダでは、マシンを空路でヨーロッパに戻す決断をしたので、ダメージ全体を分析する時間がなかった。 僕らの目に映っていたのは、シートから後ろが完全にダメージを受けていたマシンの姿。つまり、マシンの半分をまるまるリビルトしなくてはならないってことだ。
傷心のうちにカナダを後にした僕は、ノルウェーのオスロにあるベルテル・オースティーンのボディショップで、アクシデント後に初めてマシンと対面した。ここまで僕のチームスタッフが素晴らしい仕事を行ってくれたので、修復作業の前半は予定を前倒しすることができた。ここからPSRXのメカニックと、ベルテル・オースティーンの友人たちは、昼夜を問わない作業の日々に突入する。
カナダでのアクシデント翌日、朝食の席で僕らは修復作業全体の計画を立て始めた。一つ確かなことは、僕らのチームには誰一人として物静かな人間がいないってことだ! それぞれの口から行わなくてはならない課題が挙がった。そして、チームの全メンバーに担当が割り振られた。
空路でヨーロッパに戻ったマシンは、オランダのアムステルダムに到着した。難局に直面した僕らの事情を察して、僕らの元スタッフがマシンのピックアップを申し出てくれた。スウェーデンのトルスビーにあるチームHQにマシンが着くと、僕らのメカニックが数時間でマシンをシャシーだけに分解。翌日には、ダメージを受けたシャシーはノルウェー・オスロのベルテル・オースティーンへ出発していた。そして修復されたマシンがチームHQに戻り、ベルテル・オースティーンの仲間の助けも借りながら最後の準備に取りかかり、8月26日、ついにフランス戦に旅立つ準備が整った。みんな、本当にありがとう!
僕の体に関しては、骨には異常はなかったけど、背中の打ち身がひどかったんだ。日に日に良くなっていったけどね。今は、フランスでちゃんとレースができるよう祈るばかりだ。そして、カナダで取り戻した選手権リードを死守できるように、ってこともね。