WRCチャイナのキャンセルにより、次戦はツール・ド・コルスを迎えるWRC世界ラリー選手権。シリーズ屈指のツイスティ・ターマックラリーだが、フォルクスワーゲン・モータースポーツのヤリマティ・ラトバラは、ギアボックスのスペアがない状態で迎えることになる。ラトバラに与えられていた2基のユニットのうちひとつに、ドイツ戦で原因不明のトラブルが発生したためだ。
ドイツ戦でラトバラは、開幕ステージのスタートからわずか7kmでリタイア。翌日はスペアのギアボックスを装着して再スタートしている。FIAのコンポーネント・ペアリング規定により、トップドライバーはドイツ戦、コルシカ戦の2戦を通して使用できるギアボックスが2つに制限されているため、ラトバラはドイツで交換したギアボックス1基しか使用できない。
この規定があるために、フォルクスワーゲンは不調のギアボックスを開けて原因を調査することができず、同じ問題が再発する可能性は否めない。
ラトバラは、最初にギアボックスの不調を感じたのは、コーナーでハードにブレーキをかけたときだったという。
「6速から5速は大丈夫だったが、4速に入れようとしたときにステアリングホイールにあるパドルでシフトダウンできなかった」とラトバラはWRC.comに明かしている。
「非常用レバーで対応して低速ギアを操作したが、パドルシフトに戻るとうまくいかなかった。今回はマニュアルレバーがとても固く感じた。強くプッシュして壊れた。またパドルで試したが、異音がしたのでギアが噛みあっていないのだと分かった。オイルの強い臭いがしたので、マシンを止めた」
このときにチーム代表を務めていたヨースト・カピートは、今後、同様の問題が起きないように何が起きたのかを解明すると言明していた。しかし、それが行われるのは、早くても次戦以降になる可能性が高い。
「問題は、ギアボックスが封印されていて、コルシカがドイツのペアになっているので、それまでは調査ができないことだ」とチームのテクニカルディレクター、フランソワ・クサビエ・ドゥメゾン。
「今の段階では、何が原因なのか分からない。ギアボックスはリビルトしたばかりだったし、何かが起こり得るとは思えなかった。本当に驚いた」
「ギアボックスを適合させるための作業には長く取り組んできたし、このような問題は起きたことがない。これが一回限りであることを心から願うよ」