WRCフランスのスタート前に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。1万コーナーのラリーと呼ばれるワインディングが特徴のコルシカ戦。地元ラウンドでタイトル獲りに挑むオジエは、自信にあふれる姿勢で会見に臨み、ラリーの愛称についても、おどけてみせた。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
セバスチャン・オジエ=SO(フォルクスワーゲン・モータースポーツ)
エリック・カミリ=EC(MスポーツWRT)
クレイグ・ブリーン=CB(アブダビ・トタルWRT)
ヘイデン・パッドン=HP(ヒュンダイ・モータースポーツN)
Q:
セブ、変わりやすいコンディションになることもありそうだが、この週末に向けての気分は。自信はあるか。
SO:
そう思うよ。余裕を感じられる環境が整っている。選手権ではいい位置につけているし、このラリーを走るのは好き。昨年は引き立て役になったから、今年は絶対に勝ちたいというモチベーションがとても高まっている。だからもちろん、ここにいれてうれしいよ。天気は幸い、昨年よりもかなりいい。週末の間に変わることもあるだろうし、土曜日は雨が降りそうだ。そうなれば、少し難しくなる。とてもチャレンジングなラリーになりそうだから、スタートが待ち切れない。シェイクダウンでのフィーリングはよかったので、明日の朝までそれが維持できれば。最初のステージから、すぐに山場が来るからね。
Q:
ステージがチャレンジングということだが、ターマックのステージをドライブするのは楽しいのでは。
SO:
そうだね、特に今日のように太陽が輝いている時は、文句なしに楽しいよ。ここのステージはグリップするからね。ここはコーナーが多いとよく言われる。ヘイデンが数えたらしいけど、1万はなかったらしいよ! それでも、リズムをつかまなくてはならないし、ドライバーがステージでリラックスできるヒマはない。もちろん、コ・ドライバーは大忙しだ。もちろん楽しいよ。少なくとも僕は好きだね。
Q:
ここでタイトルが決まる可能性も出ているが、ライバルたちの結果による部分もまだ大きい。4連覇確定は念頭にあるか。
SO:
あまりない。今の段階では、まだ自力で達成できる部分が少ないからね。そのことを意識する意味はないと思うが、もちろんチャンピオンになるためには、ポイントを重ねなくてはならないし、全部のラリーでポイントを得る必要もないかもしれないが、ほとんどのラリーでは必要だ。ここではもちろん、いいポイントを獲得することを狙っていく。一番いいのは勝つことだし、言うのは簡単だが、達成するのは少し難しい。ベストを尽くすよ。必死でリスクを負うようなつもりはないが、クリーンな走りを心がけて、無茶をせずにポイントを獲得できたらいいね。
エリック、アジャクシオ出身の家系なので、特別なイベントだ。ここで期待するリザルトは。今の気分は。
EC:
もちろん、このイベントにフォードのワークスドライバーとして参加するのだから、特別なイベントだ。魔法のような感じだし、明日のスタートが楽しみ。このイベントは子どものころから何度も見てきたので、自分がステアリングを握るのは不思議な気持ちだよ! でも、ここからはそうしたことは忘れて、地元とはいえ集中しなくてはならない。他のラリーと一緒だ。
Q:
ドイツでは思うような内容にならなかった。今回は戦略を変えるのか。
EC:
今回は、今後のために自信をつかむことがプラン。ステップバイステップで進んで行かなくてはならない。ドイツでは、それがキチンとできなかった。午前のシェイクダウンでは、スピードにかなり驚いた。オジエが言ったようにコーナーが多いので、正確にクリアしていかなくてはならない。明日はたぶん天気はいいと思うが、土曜日は雨が降るかもしれないので、キッチリとラリーをフィニッシュして、常にいいフィーリングをキープして、自信をつけたい。
Q:
2016シーズン、自分のパフォーマンスを振り返って、自分のペースには満足しているか。年末までに、さらに成長を期待できるか。
EC:
チームメイトのマッズと対等な走りができたので、WRCでのシーズンとしてかなりいい出来だと思う。もちろん、経験のないラリーでは難しかった。4年前に始めて、すべてを何とかしようとするのは簡単じゃない。クラッシュすることもあったが、自分のフィーリングとしては、こんなものだと思う。プッシュも必要だが、ラリーをフィニッシュしなくてもならないので、両方を達成しなくてはならない。自分の速さを披露しつつ、WRCに留まらなくてはならないから、限界を見つけるのは簡単にはいかない。
クレイグ、今回はシトロエンでの初めての舗装ラウンドということで、どんな走りをしてくれるのか楽しみにしている。アイルランド人ドライバーとしては、舗装は好きな路面か。
CB:
そうだね。アイルランドでは、あまりグラベルラリーはないんだ。僕はターマックラリーで成長したし、アイルランド選手権や英国選手権でも好きな路面だった。ここは少し違って、太陽が輝いている。母国と似ているところはないね。常にグリップがあるし、WRカーで走るのは大きなステップアップだ。
Q:
この週末の目標は。それから、チームからの指示はあるか。
CB:
この週末は、新しい経験がたくさんある。まずWRカーでの初ターマックラリー。この点が一番タフだと思うので、現実的なターゲットはなく、順位も考えていない。とにかく、自分たちがどこまでできるかだ。フィンランドでも同じような感じだったが、終わってみればあんなに特別な結果を収められた。これと同じことをするのは、かなり難しい。とにかく自分のリズムで走って、満喫することを目指す。それが一番、大きなことだと思うし、今年はそれが自分のリザルトだと思う。ここまで、本当に楽しめているよ。今日のシェイクダウンでさえ、本当に楽しかったから、週末が終わるまでこのリズムを維持していきたい。
Q:
新型マシンでのテストにも参加している。来年のシトロエンの新型マシンについてはどうか。クレイグ・ブリーンがそれに乗るという手応えはあるか。
CB:
速いし、目が回りそうだったよ!まずは、本当に素晴らしい経験だった。あの新型マシンの開発や、WRCの新しい時代の幕開けに関わることができて光栄だ。あんなに新しいマシンをドライブするチャンスが得られるなんて、子どもの頃の夢がかなったようなものだよ。大事件だ。テストや開発作業はとても楽しかったし、マシンに乗るだけでなく、チームやエンジニアたちと仕事をするのだけでもね。彼らにはたくさん素材を持っていて、何年も勝利を重ねてきたので、家族のようなものだ。その中にいながら、できるだけたくさん勉強をするよう心がけている。本当に充実しているよ。
Q:
では、来年、WRカーに乗る姿を見ることになりそうか。チームの一員として参加するのか。
CB:
それを決めるのは自分ではないけど、言ったように、自分は必死にペダルを踏むだけ。あとは、チームが決める。
セブがこのラリーのコーナーの多さについて触れた際、コーナーを数えたということだったが、4800で合っているか?
HP:
そうだね。でもカットできるコーナーも探していたから(笑)もっと多いと思うので、一年で一番チャレンジングなラリーだと思うよ。タイヤにもマシンにも、もちろんマシンの中にいる僕らにとっても、とても厳しい。だから、しっかり計画を立てて、ラリーを通して安定感を持ちたい。
Q:
ターマックでの自分にスキルについて、未熟であることを素直に認めている。今のレベルはどの辺りだと考えるか。
HP:
まだいいレベルにはいないよ。競技者としては当然、思うような速さが出せないことを思い知らされるのは悔しいことだ。同時に、現実を見なくてはならないことも分かっている。自分の舗装経験はまだ少ないし、ステップバイステップで勉強している。身に付けるのが難しい時もある。WRCというプレッシャーのかかる環境の中で舗装の走り方を学ばなくてはならないことも、たぶん余計にプレッシャーに感じるのかもしれない。でも、テストは順調だったし、ドイツの時よりも余裕を感じられるようになっている。
Q:
今回、ポディウムは狙えるか。
HP:
まだ早いと思うな。他がトラブルに遭わない限りはね。言ったように難しいラリーだと思うので、トラブルを避けてクリーンに走り、自分のペースで攻める。後は、神のみぞ知る、だよ。
Q:
誰もが難しくてチャレンジングなラリーになると言っている。自分にとって、難しい面は何か。
HP:
変化が激しいこと。タイヤのマネージメントはドライだとしても鍵になる。土曜日は雨になるかもしれないしね。そうなれば、他の要素も加わる。もちろん、ここでは路面変化も激しいし、50kmステージは、3、4本の違うステージが1本になったようなものだ。だから、完璧なセットアップを得ることなんてできないし、自分が対応するしかない。もちろん、コーナーも多いから頭で覚えるのは不可能。だから、ペースノートも、他のラリーよりも重要性が高い。